2025年4月29日火曜日

1ゲートロジック変換基板

 以前から告知しておりました、「1ゲートロジック変換基板」の正式発表です。

昨今 かなり幅を利かせてきた1ゲートロジックICですが、
表面実装タイプしか存在しない為、ユニバーサル基板やブレッドボードでの使用には、
ちと難儀する代物でした。
そこで今回の変換基板を作成する事にした次第です。 

 

実装可能な1ゲートロジックICはSOT-353パッケージなどと呼ばれている、
0.65mmピッチの物です。
東芝ですと、USVパッケージと呼称されています。

これを2.54mmピッチ、5ピンのSIP形式に変換するのが当基板です。

 以下が未実装基板の表面


 

 

 

 

 

 

 

 

実装部品は全て表面に載っています。

 

ちなみに以下が裏面です。









 

表面処理は金フラッシュメッキですので、
実装部品とハンダに留意すれば鉛フリー対応も可能です。


下側に5つ並んでいるパッド部は2.54mmピッチの足が付くところ。
ここにマックエイト製CB-1-3を実装します。
パッド中央にスルーホールが存在しますが、これはパッド強化の為で、
スルーホールに部品を差すことはありません。

 

この基板内の回路図は以下の感じ。










 

 

ロジックIC用のパスコンと、プルアップ/プルダウン用の抵抗も実装可能です。
サイズは全て1608です。(抵抗については2012も載せられます)

R1のパッドがアブノーマルな配置になっておりますが、
これはプルアップとプルダウンを実装によって選択可能にしている為です。
以下のようにチップ抵抗の実装位置によって、プルアップとプルダウンを選択可能です。




















 

なお、R2についてはプルアップのみ可能です。

 

実装可能な1ゲートロジックICは大きく3種類に分けられます。

1つ目は2入力ゲートタイプ 。
2つ目は1入力タイプ。
3つ目は3ステートバッファータイプです。

 どのタイプもパッケージ自体は共通で、
1入力タイプのみNCピンが存在するという形なので、
この変換基板で全て対応可能というわけです。

 2入力ゲートタイプを実装した場合、ピン接続は以下の様になります。
(図ではNANDゲートの例になっていますが、ANDやORゲート等も同様です)




 

次に1入力タイプを実装した場合。




 

IN2がNC扱いとなります。

 

 

最後に3ステートバッファータイプの場合。




IN2がゲート端子になります。

 

 

 

この変換基板はキットとして頒布いたします。
頒布品は基板3枚分が1セットです。
以下が内容物。








 

基板は3枚がVカット面付された状態ですので、使用時に各自で分割して頂きます。
※必ず基板分割してから部品を実装してください。
 実装後に分割する場合はVカットカッター等の専用工具を必ず使用してください。

現時点ではピンは5本連結品がが3つ同梱されます。
将来的に15本連結品が1本になるかもしれません。
その際は各自で5本ずつにカットして頂きます。

これ以外の表面実装部品は各自で用意して頂きます。
1ゲートロジックICはピン配とパッケージサイズが合致していれば、
メーカーや種類は問いません。

C1のパスコンは必須ですが、使用するロジックICの種類によって、
容量を調整してください。

R1とR2は必須ではありませんので、必要に応じて実装する感じです。

 

 

基板の作成

以下は実際にこの変換基板を作成したものです。

まず、表面実装部品をハンダ付けします。









 

 

今回実装したロジックICは東芝のTC7SH14FUです。
シュミットトリガー入力のインバーターですので、
使用形態としては1入力タイプになります。
IN2がNCになるので、必然的にR2も不要となります。

C1には0.1μFのチップコンを使用しました。
TC7SHはVHC相当なので、0.01~0.047μF位でも良いかも。

R1は10KΩでプルダウンする様に実装しています。

基板が小さい為、基板を両面テープ等で固定するとハンダ付けが楽でしょう。

 

ピンを差し込みます。










 

 

 

基板を表裏で挟み込む形状になっています。
もし変形していた場合は、ラジオペンチ等で修正し基板を差し込んでください。

ピンは2.54mmで連結されています。
必ず、連結された状態のまま実装してください。
個別に切り離してしまうとピッチが揃わなくなってしまいます。

 

ピンをハンダ付けします。










 

 

 

両面ともハンダ付けします。

 

 

最後にピンを切り離して完成です。










 

 

 

ピンの長さはお好みで構いません。

 

 

頒布について 

現時点での入手方法は直接問合せしかございませんが、
7/20に開催される「つくまた2」へ参加が決まれば、
そこで頒布を予定しております。

2025年4月10日木曜日

トルクレンチ選びで四苦八苦

 各部の締め付けにトルク指定が有るという組配案件が来ました。

当方も元請けさんもトルク管理案件を手掛けたことは無いので、
トルクレンチは持っていない為、そもそも工具を揃えるところからスタート。
ちなみにパナソニックの電動ドライバーは愛用していまして、
これには設定トルクで自動停止する機能があるものの、
トルクレンチよりは精度が落ちる代物なのです。

 

生産工程にてトルク管理を経験されてる方なら お解りでしょうけど、
本来一人で管理・作業を行うものではありませんよね。
しかし悲しいことに当方は一人。
管理と作業を全て行う必要があるのです。

すると問題になるのがトルクレンチの設定管理。
単一のボルトを締め続けるのであれば、一度設定すればOKなわけですが、
今回は複数の種類が存在するので、作業中にトルク設定値を変えなければなりません。

しかし一般的なトルクレンチは目盛線を引いてあって、
それを目安に調整する代物なので、油断すると設定ミスの確率高し。
なのでトルクテスターで設定値の確認まで行うのがセットなのでしょうが、
このトルクテスターが また高価なんですよね。

 

そんなわけでどうしたもんかと熟考していたわけですが、
直読式なら絶対とは言えないものの、ミスの可能性は減らせるという結論に。

トルクドライバーについては、KTC製のGLKシリーズを選択。
デジタル式なのでトルクが直読できます。
お値段も安いとは言いませんが、まぁ手が届くレベル。

トルクドライバーが使用できない箇所についてはトルクレンチの出番。
これがちと難儀していました。
全般的に指定トルク値が小さい為、工具の選択肢が少ないんです。

弱トルクのレンチだと東日製が割と幅を利かせてる雰囲気ですが、
東日のトルクレンチは先に書いた目盛式。
なのでトルクテスターが無いと厳しいんですよね。

結局、 TONE製T8D6という製品をチョイス。
これはデジタル式ではないのですが、設定値が直読できる様になってます。
これならトルクテスター無しでも行けそう。
お値段もお手頃です。

ただ、このT8D6の範囲値未満の指定トルクも存在するので、
それをどうするか 引き続き思案中なのでした。
デジタルタイプのトルクレンチは桁が1つ違うので、手が出せないんですよね。

2025年4月6日日曜日

組配外注の弊害

 組配の新案件の打診を頂いておりまして、見積・打合せの最中。
そこで気づいた点が有りましたので、明記することに。

 

今回の組配案件、ボックス状の電子機器なのですが、
随所に締め付けトルクの指定が存在します。

すると同然、トルクドライバーやトルクレンチを使用する事になるわけですが、
それなりにコストが発生してくるわけです。

通常であれば、設計から上がってきたものを生産技術にて吟味し、
無駄なコストが発生すると思われる箇所は設計変更を依頼して、
いわゆる設計の最適化を行うかと。

 

しかし今回の案件、エンドのお客さんは組配を全て外注している模様。
その為、社内に生産技術部門が存在しません。
なので、上記のような最適化が行われず、外注先に組配の発注が行きます。

外注先が生産技術を代行できれば まだマシなのですが、
発注段階では設計内容が確定している状態。
なので最適化を行うことが不可能なのです。

すると、確定している設計内容に従って組配作業を行う必要があるわけで、
無駄なコストが複数発生してしまう、というわけです。

 

ピンと来ない方もいらっしゃるかと思うので、一例を。

D-subコネクターの固定金具にトルク指定されています。
この金具はインチネジタイプ、#4-40UNCのものです。
すると、六角の外形は3/16インチサイズを想定するのが普通でしょう。
ところが何故か、外径5mmサイズの個所が1箇所混ざっているのです。
(5mmでなければ理由は特に無い箇所)
通常の組配作業であればスルーして構わないとこですが、
このおかげでトルクレンチのソケットを2種類用意しなければなりません。
ちなみにD-subの金具用のソケットって既製品が存在しない模様。
なので特別に作製しなければなりません。
それが2個になってしまうので、無駄なコストアップというわけです。

 

組配を外注頼りする場合は、こんな弊害もあるという点に留意しましょう。