2023年8月18日金曜日

DesignSpark Mechanicalでの設計例

 先の記事に書いたケーブルフックをDesignSpark Mechanicalにて設計してみました。
DesignSpark Mechanicalのバージョンは6.0.2です。

早速、DesignSpark Mechanicalを起動し、
ファイル -> 新規作成 -> デザイン を選択します。

今回のケーブルフックは3Dプリンターにて出力する前提なので、
XY平面を選択してスケッチを開始します。

 

まずは、ディスプレーの背面に接する、長い板の部分から作ります。 

100mm×4mmの四角をスケッチします。




作例では右上角を原点に一致させていますが、これは任意で構いません。




描き終わったら「スケッチ編集終了」でスケッチモードを抜けます。

今描いたスケッチを選択し、「プル」コマンドで厚みを付けます。

  


黄色い矢印をマウスでドラッグして引っ張り、ドラッグしたままキーボードから16と入力します。
プルを開始する前に、表示面を少し斜めにしておくとドラッグしやすいでしょう。





これで16mmのプルが完了です。






次に、ディスプレーの背面から表面に伸びる板の部分を作ります。

 


 

 

先に作ったソリッドの1面を選択し 、
スケッチモードを開始します。





 

 

適当なサイズの四角を描き、
寸法拘束で高さを4mmにします。 







一致拘束で赤丸内の2点を重ねます。







一致拘束で、赤線内の2辺を重ねます。







これでスケッチは完了なので、
「スケッチ編集終了」を押します。




先程のスケッチを選択し、
「プル」コマンドを実行し、
マウスドラッグにて厚みを付けます。

 ドラッグしたまま17と打ち込み、
17mm押し出します。

 

 


 

 

 これで前に伸びる部分は完成です。





ディスプレーの厚みが実測で約16mmでしたので、
今回は17mm押し出しました。
どれくらいの余裕を取るかは経験になりますが、
この構造では さほどシビアに考える必要はありません。

 

 次に、ディスプレーのベゼルに引っ掛ける部分を作ります。

 




先程のソリッドの先端面を選択し、
スケッチを開始します。

 

 


 

 適当なサイズの四角を描き、
寸法拘束で高さを10mmにします。

赤丸内の2点を一致拘束で重ねます。






赤線内の2辺を一致拘束で重ねます。







このようになればスケッチ完成






スケッチ編集終了を押して、
スケッチモードから抜けます。




 

さて次はプルですが、先ほど描いたスケッチは途中にエッジ線が通っている為、
勝手に2つのスケッチ面に分割されてしまいます。

 



上側を選択してみた状態





下側を選択してみた状態

 

 

 

 

個々にプルするという手もありますが、スマートさに欠けます。
というわけで、以下の手順で進めます。

 編集の中の「選択」を押します。
まず、スケッチの上側の面をクリックし、
次にctrlキーを押しながらスケッチの下側の面をクリックします。


 

 

するとこのように、
両方同時に選択できます。 





あとは「プル」を押して、
いつものようにドラッグしながら、
4を入力します。

 

 

 


 

 

これで4mmの押し出しが完了です。






ここまでで、前側半分が完成です。









 

次にケーブルを掛ける、後側の部分を作っていきます。

ケーブルを掛ける部分は半円形状になっているので、
ちょっと手順が複雑です。


 

 

ソリッドを回転させ、一番最初のスケッチを描いた面を選択し、スケッチを開始します。

 

 


 

 

 「スイープ円弧」を選択します。




適当なサイズで円弧を描きます。
寸法は後から拘束で設定するので、
形状は任意で構いませんが、
中心点から下側に円弧を描いてください。

クリックする順番は
中心点->円弧端1つ目->円弧端2つ目


 

 

 

赤丸内の点と、赤線内の辺を
一致拘束にて同一線上にします。





赤丸内の点(片側の円弧端)と、
赤線内の辺を一致拘束かけます。





一致拘束かけた点と上面間の距離を
寸法拘束にて10mmに指定します。




寸法拘束にて、円弧の半径を30mmに指定します。
これで形状の基準になる円弧が完成です。

 

 



「スイープ円弧」にて2つ目の円弧を描きます。
前回同様、形状は任意でOKですが、
最初の円弧よりも下側に描いてください。




2つの円弧に対し、「同心拘束」をかけます。
(2つの中心点を一致拘束させる方法でも構いません)






寸法拘束で、2つの円弧間の距離を4mmに指定します。

 


 

 

赤丸内の点と赤線内の辺を一致拘束かけます。 






「作図線」を選択し、赤丸内の2点間に補助線を引きます。

 


 

 

「線」を選択し、赤丸内の2点を実線で繋ぎます。 





矢印が差してる2本の線に対して一致拘束をかけます。
これにより同一直線状になります。






このようにスケッチが完成したら、
スケッチ編集を終了します。




表示を少し斜めにし、
先程のスケッチをマウスで選択し、
「プル」を選択します。






ここでマウスの右ボタンをクリックし、
メニューを出します。





マウスで、「~まで」を選択します。






プルの終了面をクリックします。
今回の場合は黄色の面です。





するとこの様になります。
これで押し出しは完了です


 

 

画面内には補助線が表示されたままになっています。
このままでも問題は無いのですが、以下の手順で非表示に出来ます。


 



該当の補助線をマウスでクリックし、

 

 




マウスの右ボタンを押し、メニューを出します。





「非表示」を選べば、このように見えなくなります。

 

 

 

 

ここまでで以下のような形状が出来上がりました。







 

 

このままでも実用可能ですが、更にフィレット処理を加え、角部を丸めます。

 

まず、この角から加工を始めます。
ここはディスプレーの液晶パネルに最も接近するエッジです。


エッジをマウスで選択してから「プル」を選択します。
マウスをドラッグしていくとエッジが丸まっていくので、任意のタイミングでマウスのボタンを離します。
するとR寸法が入力可能な状態になるので、キーボードから1を入力します。
これでR1のフィレットが掛かりました。

 

液晶パネルに触れる恐れを考慮するとなるべくRを大きくしたいところですが、丸めすぎるとリムへの引っ掛かりが浅くなる可能性が有る為、今回はR1で抑えてます。




先程のエッジの外側です。
ここも同様の手順でR2のフィレットを掛けます。

 

 


 

 

上側のエッジにはR4のフィレットを掛けておきます。
あまりRを大きくしすぎると、肉厚が薄くなってしまいます。

 

 

 

 

 

次は背面側のエッジです。
ここもR4程度でよろしいでしょう。



ディスプレー背面に当たる板の下端です。
ctrlキーを使ってエッジ2か所を同時に選択してから「プル」を選択することで、複数の角へ同時にフィレット加工できます。
ここは厚みが4mmなのでR2と指定すると角が繋がって半円形状になります。





同様の手順でケーブルを引っ掛ける部分の先端も丸くしておきます。




ここも一応、フィレットをかけておきます。
Rは5位で十分でしょう。
あまりRを大きくし過ぎると、上側のRに干渉してしまいます。

 

 


 

 

次は下側です。
鋭角形状になっている事から強度に影響する部位なので、フィレット処理必須です。
今回はR10にしてみました。





これでついに完成です。






あとはSTLファイルを出力し、3Dプリンターにて出力するだけです。

割と簡単な形状でしたので、この様に過程を掲載することが出来ました。
皆さんの参考になれば幸いです。

データー置き場に このデーターを置いておきましたので、
必要であれば そちらもどうぞお使いください。
ただし、営利目的での使用は禁止といたします。