2021年7月30日金曜日

LTC2862とLTC2863が到着

 注文していたICが入荷しました。
これで差動トランシーバー3種が揃いました。
丁度良い機会なので、差動トランシーバーについて、ちょっこっと書こうかと。

差動トランシーバーICは、通常のTTLやCMOS信号を差動信号に変換するもの。
通常の信号線はGNDに対する電圧レベルで信号をやりとりするので信号線は1本ですが、
差動信号は2本の信号線を使って信号をやりとりします。
GNDに対してではなく、2本の信号線間の電圧変化で信号をやりとりするんですね。
その為、電線の数は増えてしまいますが、信号伝達は安定度は抜群。
昔からRS-422やRS-485などで使われてきました。
もっと新しいものだと、USBも差動信号ですね。

さて、今回私が購入したLTC2862とLTC2863はRS-422やRS-485向けの石です。
実はこの他にLTC2864という石も持っていまして、これで3種揃ったと書いた次第。
この3種の違いについて、さらっと書いてみます。

まずこの3種共通としてもトランシーバーICですから、
送信器と受信器が各々1個ずつ入っています。
それを踏まえた上で、個々の話へ。

①ハーフデュプレックス・イネーブル端子有り
   
ハーフデュプレックスということは、送信器と受信器の差動信号線が、
    ICの内部で接続されているという代物。
    なのでICから出ている差動信号線は2本だけです。
    送信器と受信器の差動信号線が繋がっていますから、
    各々同時に動かして通信することは不可能ですね。
    その為、送信器と受信器にそれぞれイネーブルピンが有るので、
    送信の際には送信器をイネーブルに、受信の際は受信器をイネーブルにして、
    送受信を行うことになります。

    このタイプは かなりオーソドックスな代物でして、メジャーな石ですとSN75176が有ります。
    8ピンタイプのICは、ほぼSN75176互換になってます。

    MAX485なんていう石もSN75176互換なわけですが、
    SN75176もMAX485も5V動作のIC。
    電源電圧だけ注意しましょう。
    ちなみにMAX3485は3.3V動作のICですね。
    今回私が買ったLTC2862もSN75176とピン互換なのですが、電源電圧は3~5.5V。
    つまり3.3Vでも5Vでも、どちらでも使用可能。
    汎用性を考慮してストックするには好都合なのです。

②フルデュプレックス・イネーブル端子無し
    フルデュプレックスタイプは送信器と受信器それぞれの差動信号線が、
    独立してICから出てきてます。
    そのまま信号線を独立させたまま相手側まで持っていけば、
    送信と受信を完全同時に行うことができるわけですね。

    イネーブル端子無しと書いたとおり、①のタイプと異なり、
    送信器と受信器は常にイネーブルのままで、個々に停止させることは出来ません。
    なのでこのタイプのICはRS-485向けには使えないことになります。

    今回購入したLTC2863がこのタイプのICです。
    イネーブル端子が無いおかげで8ピンのパッケージに収まっているので、
    基板をコンパクトにまとめることが出来るというわけです。 

    メジャー品は耳にしたことがないので、このタイプはレアなのかもしれません。

    なお、LTC2863も3~5.5V動作です。 

③フルデュプレックス・イネーブル端子有り
    ②のようにフルデュプレックス構成でありながら、
    ①のように送信器と受信器にイネーブルピンが存在するというタイプです。
    当然ながら8ピンでは収まらないので、14ピンのパッケージになっております。

    送信器と受信器を常にイネーブルにすれば②のタイプと同様に使えますし、
    差動信号線をICの外側で繋げれば①のタイプと同様に使うことが出来ます。
    そういう意味では3種の中では一番汎用性が高いと言えますが、
    パッケージサイズが倍近くなってしまうのが難点ですね。

    このシリーズのメジャー品はSN75180らしいのですが、
    私はSN75180を使ったことがないので、らしいという表現に。

    私がストックしているLTC2864はSN75180とピン互換なのですが、
    実は③のタイプのICを選ぶ際は、互換性に要注意。

    勘の良い方なら既にお解かりかと思いますが、
    このタイプのICは10ピン有れば足りるはずなのに、パッケージは14ピン。
    つまり4ピン分がNCやGND等に割り当てられてるのです。
    で、この4ピンの割り当てが、一部のICで異なっているんですね。
    完全に専用設計するならば気遣い無用ですが、
    互換品を考慮して基板設計する場合は、SN75180との比較が重要です。

    なお、SN75180は5V動作ですが、LTC2864は3~5.5V動作です。

以上のような感じで3種のトランシーバーICをストックすることにしたわけですが、
最後にもう1つ、全タイプ共通の話を書いておきます。
それは通信データーレート。

差動信号線は基本的にシリアルデーター通信に使われるので、
テーターレートという概念が発生します。
トランシーバーICの定格値以上の速度で通信することは出来ないという話です。
ではなるべく速いICを選んでおけば良いかという、そう単純な話ではありません。

どのタイプのICも、ラインナップを見るとデーターレートの速い物と遅い物が存在します。
これは、遅いものは低級品というわけではなく、フィルターで速度制限をかけているだけ。
逆に言えば、高速品はフィルターがかかっていません。

なんでわざわざそんなことするかと言うと、EMI対策です。

通信速度を上げると、それだけ信号ケーブルからのノイズ輻射が激しくなる上、
ケーブル長も あんまり長くできないという状態になります。
USBとかならともかく、RS-422やRS-485では安定して通信できることが重要なので、
限界ギリギリまで通信速度を上げるような使い方は少ないわけです。

すると、フィルター無しの高速タイプは必要無く、低速タイプで十分という話に。
同じ速度で通信した場合、高速タイプのICよりも低速タイプの方がノイズ輻射少なくなります。

以上を踏まえると、基本的には低速タイプのIC使用が前提で、
必要な場合のみ高速タイプのICを投入する、という選択がよろしいかと。

2021年7月28日水曜日

餅は餅屋

 V/Aプロープのフェイスシートのデザインを友人のクリエイターにお願いしてました。
工業デザイナーというわけではなく、デザイン方面を幅広く手がける方。

昨日、ついにデザイン案を頂いたわけですが、
もう、私がどうこう言えるようなレベルではない、素晴らしいデザイン。
もちろん一発OKでございます。

次の問題として、加工に関する指示が有りました。
V/Aプローブのフェイスに貼り付ける為には、
外形を合わせるのみならず、コネクターが通る穴加工も必要になります。

これらの指示は、業界統一の指示方法があるわけてはないので、
シートの作成業者の指示に従って用意する必要があります。
なので、どこでシートを作成するかを決めなければ、
最終的なデーターが出力できないという話に。

プラスチックケースの表面装飾に使うシートは複数の種類がありますが、
工業用途で使われるのは一般的に塩ビシートです。

塩ビシートの印刷/作成を行ってくれる業者は結構多いのですが、
シート内の穴あけ加工も請けてくれるところは そう簡単に見つかりません。

ということで、取引先の会社さん経由で、発注しようかと考えていたのですが、
間に会社が噛むと、結構トラブるんですね、実は。
間に噛む会社がシート作成のプロならば、問題が起きることは少ないのですが・・・・

ということで、出来れば直で取引できる会社を探していたものの、
見つからないまま現在に至ってました。

余談ですが、このようなシート作成はタカチでも請けております。
物自体は悪くないのですが、問題は直で 取引が出来ない点。
必ず商社が噛む必要があるんです。
各種連絡も全て商社経由になるわけでして、ここで話がおかしくなることがあるんですね。 

実際、某製品の加工済みケースを依頼した際、
妥協品が納品されてという事例がありました。
もちろん妥協する件は こちらも了承済みだったのですが、
なぜ妥協することになったかというと、加工限界の為という風に聞いてました。
しかしこれがどうやら勘違いっぽいことに後から気付いたんですね。
間に噛んでる方の理解力が追いつかなかった為、
私とタカチの双方に誤解を与えてしまった模様。
その結果、本来なら不要な妥協をすることになったというオチです。

そんなことが有りまして、直接取引先を探していたわけですが、
ふと、グラフィックのホームページが目に止まりました。
グラフィックさんは以前からお世話になっている会社。
塩ビシート作成も行っているものの、残念ながら穴あけ加工は行ってないんですね。
なのでスルーしていたのですが、サイトを眺めてて行ける事に気付いたんです!!

確かに穴あけ加工は行っていないんですが、
ハーフカットの切り込みをデザイン内部に入れることは可能。
すると、裏紙を剥がすと中に穴が開いた状態が作れるじゃないですか!!

穴あけ加工を行っていれば、裏紙にも穴が開いてる状態になるので
位置合わせが非常に楽になるのですが、
グラフィックさんで作成してもらった場合と、かなり金額の差が出ます。
それも加味すると、グラフィックさんに依頼するのがベターと判断。

早速、友人にグラフィックで作成すると連絡。
友人はグラフィックのサイトからテンプレをダウンロード。
発注用のデザインデーターを仕上げてくれました。

そのデーターを頂き、こちらからグラフィックに発注。
特に問題無く発注処理も完了です。
グラフィックさんのように、データー作成の際の注意事項がサイトで確認できると、
デザインする人も助かるんですね。
余計なピンポンが減るわけですので。

来月上旬には出来上がってくるので、楽しみです。


2021年7月13日火曜日

超音波センサーでの水面検出

 先月からぼちぼちと、センサーのテストを行っておりました。
タイトルにも書きましたが、超音波センサーでの水面検知です。

単に水面の有無を見るのではなく、水面までの距離を測るというもの。
短距離ならば そんなに大変でもない様ですが、今回はMAX10mというスケール。
これだけの長さとなると、そもそもセンサーが限られてしまいます。

金に糸目を付けなければ、高価で強力なセンサーを使用することで、
そんなに面倒無く測れるのかと思いますが、
計画しているアプリケーションは なるべく安価に抑えたい代物。
なのでセンサーに掛けられる費用も限りあるところ。

手頃な価格で10mまで検知できるセンサーを物色していたところ、
中国メーカー製で なんとか見つかりました。
いざ実際にテストしてみると・・・・・・・・・

う~~ん、10mは無理っぽい。
だいたい6mくらいの距離から測定してみたのですが、
反射波を捉えられない模様。

完全に静止した水面ならば測れるのかもしれませんが、対象は動いている水面。
もっとセンサーを近づけてみて、どれくらいなら測定できるかも知りたがったとこですが、
残念ながら用意したセンサーケーブルの長さが足りず、
これ以上近づけることができませんでした。

とは言え、動態の水面を超音波センサーで測るのは難しいんでしょうね。

ということでセンサーの選定から やり直し。