サンプリングした音声を再生する基板モジュールの話。
最近、某所向けにADSU01という再生モジュールに手を出していました。
これはビット・トレード・ワン様が販売している物です。
組込み用途を意識した設計になっているので、
そういう方面に使うには非常に使い易い設計になっています。
最近気づいたのですが、秋月電子さんが昨年の11月に、
似たような用途向けの基板を出しておりました。
AE-NSP2340A-BOという製品なのですが、
Nuvoton社製のNSP2340Aという石を使用した代物です。
このNSP2340Aという石は音声再生用に作られた物なので、
こういう用途にはピッタリ、のはずなのですが、
実際のところ、ADSU01とAE-NSP2340A-BOでは
機能的な差異が生じております。
この差について書いてみますね。
なお、現時点でAE-NSP2340A-BOが手元に無い為、
資料を元に話をしている点にご留意ください。
さてでは早速、まず電源についての比較。
ADSU01は5Vオンリーに対し、AE-NSP2340A-BOは2~5.5V。
電源電圧の幅広さはAE-NSP2340A-BOの勝ちですね。
再生データーについて比較。
ADSU01は合計約90秒のデーターを4種類まで持てます。
これは実装しているフラッシュメモリーの容量に依存している模様。
特注で大容量メモリー版を作って貰えば更に時間を延ばせるのかもしれませんが、
通常市販している製品は上記の仕様となっています。
サンプリング周波数は約40KHzとなっていますが、
実際に聞いた感じだと高音域がかなりカットされています。
たぶん10KHz辺りでも かなりカットされているっぽい印象です。
AE-NSP2340A-BOではサンプリング周波数が選択できる模様。
もしかしたら音質はADSU01より良い可能性がありますが、
まだ実物を聴いていないので断言は出来ないところです。
音声のデーターは1つのみです。
ですので、ADSU01のように複数の音声を流したい場合には、
AE-NSP2340A-BOを複数用意するという形になるでしょう。
ただメモリー容量は こちらの方が圧倒的に多い様なので、
AE-NSP2340A-BOの方が長時間再生できる様です。
音声出力端子はADSU01ではハイインピーダンス出力に対し、
AE-NSP2340A-BOはスピーカー出力となっています。
ADSU01は何かしらのアンプを繋げる必要があるわけですが、
AE-NSP2340A-BOではスピーカーが直結できるわけです。
もっとも数百mW程度の出力なので、ヘッドホン程度ならともかく、
そこそこの音量で鳴らしたければ、外付けアンプが必要になりますし、
そもそも基板上にボリュームも無いので、直結使用は無理があるかと。
以上から音声出力端子については実用上の差は無いと思われます。
外観について
ADSU01は600mil幅20Pソケットに合うような端子配列です。
横幅は取りますが、ホールドの安定感はありますね。
AE-NSP2340A-BOは2.54mmピッチの7ピン1列配列。
L型のピンヘッダーコネクターと組み合わせることで基板を立てて実装できるので、
コンパクトに纏めることが出来ますね。
振動が多いような条件下では対策が必要になると思いますが、
AE-NSP2340A-BOの方が実装スペース的に勝ちかな。
次にインターフェースの比較。
ADSU01は単純な接点入力になっています。
再生開始端子をGNDに繋ぐと再生スタートします。
ADSU01では4種類の音声までサポート可能ですので、
再生開始端子も1から4まで存在します。
再生の強制停止端子も存在してて、これもGNDに繋ぐと再生が停止します。
このように全ての端子がGNDへの接続で機能することから、
スイッチを直結するだけで簡単に動かせます。
組込み用途としては非常に楽ですね。
上記入力端子の他に「STATUS」という出力端子が存在していまして、
これはいずれかの音声が再生中にハイになるというもの。
これも実は便利な機能なんですね。
対するAE-NSP2340A-BOはシリアル信号制御です。
NSR2340A自体はI2C等、複数のシリアルI/Fを選択できるようですが、
AE-NSP2340A-BOでは非同期シリアルになっています。
C-MOSレベル信号ですので、PCと接続する場合には変換器が必要です。
扱える音声データーは1つにも関わらず、
鳴らす場合にはシリアルコマンド制御が必要という点で、
通常だとこの基板を実働させるには少々部品が必要となってきます。
設定によっては電源投入直後もしくはリセット直後にに音声を再生させる、
という動作も可能な模様。
これを使い、リセット信号で再生スタートさせる、という使い方が一番簡単かも。
ただ再生を強制停止させる事や、モジュールが再生動作中ということを
外部で知る事が出来ないという点について、ADSU01の方が勝ちですね。
次は再生データーの書き込みについて。
どちらも専用ソフトがリリースされており、
Windowsパソコン上で再生させたいデーターを加工し、
基板に書込みという流れになっています。
ADSU01もAE-NSP2340A-BOも、どちらも再生モジュールですので、
この基板を使って音声を録音する機能はありません。
再生データーはWAVデーター等で予め用意する必要があります。
ADSU01はUSBインターフェースを装備しているので、
これを使ってパソコンに繋ぎます。
コネクターがmini-Bなので、ケーブルを持っていない場合は
改めて購入する必要がありますね。
AE-NSP2340A-BOは前述の通りシリアルポートしかない為、
なんらかの変換機を通してパソコンと繋ぐ必要があります。
秋月さんではAE-CH9102F-TYPEC-BO等を奨めてる模様。
直結可能な点でADSU01の方が扱いやすいですね。
最後に資料についてです。
ADSU01は完全に国内メーカー品なので、全ての資料が日本語。
それに対しAE-NSP2340A-BOは、この基板自体は秋月電子製ですので、
ある程度の内容までは日本語になっています。
しかしシリアル通信のコマンド等、NSP2340Aの詳細に関わる部分は、
Nuvoton社の資料を参照する必要があるのですが、
これについては日本語化されておりません。
その為、中文か英文のマニュアルを読む必要が発生します。
という感じでして、近日中にAE-NSP2340A-BOを入手して試してみる予定ですが、
再生時間以外はADSU01の方が利点多い感じなんですね。
ただ、単価が6倍以上違うという点がネックになるかも??



