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2025年7月22日火曜日

つくまた2 終了

 好天に恵まれたおかげで、とても暖かい日でしたが、
結構なお客さんにお越しいただき、イベントとしては成功の様でした。

 

当方のブースも 結構な売り上げが!!というわけにはいかず(笑)
雀の涙程度の売り上げで、諸費用を考慮するとガッツリ赤字という状況ですが、
色んな方と交流できたので、私としては満足という結果です。

 

頒布品としてはキットを出しまして、
デモ用提示として「BNC取付治具」と「X68K電源基板テスター」の
2種類を展示していたおりました。

今回の客層はガチ電子工作人というよりライトなメイカーという感じ。
その為、うちのキットはあまり需要を感じられなかった模様。

むしろデモ展示してた2種類の方が話としては盛り上がりました。

BNC取付治具は難しい電子知識が不要なので、
一般人でも触って理解できる代物。(必要性は皆無ですが(笑))
メイカーさん達からは、meviyや3D-CADの話のネタになったのでした。
これだけでも展示した甲斐は有ったというものです。

X68K電源テスターも、ガチでこれが欲しいという方は 現れませんでしたが、 
X68Kネタやメンテのネタで活躍してくれました。

 

今回展示したBNC取付治具は某案件向けに製作した、いわば専用品。
汎用性を考慮した新型を設計済で、もし打診を頂いた際は そちらを公開しますが、
やはり完成品が1台無いと、話が進みづらいですよね。

というわけで とりあえず1台だけ作っておくことにしました。
meviyでの作製必須部品が2点含まれているので、
これだけを長納期指定で発注しました。
いつ必要になるか分からないデモ目的の物ですから、
長納期指定で安く作ってもらう方がいいですわな。

もう1点、meviyで作製可能な部品も存在しますが、
これについては3Dプリンターでも作製可能でして、
売り物にならないデモ用ならば、3Dプリンター製でいい気がしてました。

このデモ用の1台目は来月末が9月頭位に完成予定です。 

2025年7月5日土曜日

X68K電源の動作確認

 X68000電源ユニット用のテスト装置を作製し、
ここで公開しておりましたが、実際にどんな作業を行っているか、
ちょこっと書いておきます。

 

まず、テスト対象の電源ユニットをケース取外した基板のまま、
テスト装置にセットします。 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケースに放熱している一部の部品は、
そのままだと放熱できずに熱破壊してしまうので、
各々に放熱器を取り付けています。 

電源ユニットの出力線はダミー負荷ユニットに接続します。

この状態ではダミー負荷の基板上のLEDはもちろん全て消灯してます。
SW1がOFFになっていることを確認します。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

では次に、電源ユニットにAC100Vを投入します。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

するとVCC2系統が動作開始し、 D2が点灯。
この段階で異音等の不具合が無いかを確認。
また念のため、VCC2のチェックピンにオシロスコープを繋ぎ、
異常発振が起きてないかも確認します。
(異常発振が起きていれば音で判りますが・・・)

 

ここまで問題無ければ、いよいよSW1をONにします。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、+5V、+12V、-12Vの各系統が出力開始し、D3が点灯します。
また、電源ユニット基板冷却用ファンも回り出します。
異常発振が起きていれば明らかな異音が出るので、即SW1をOFFにします。 

+5V、+12V、-12Vの各チェックピンにオシロスコープを繋ぎ、
異常な波形が出ていないことを確認します。

この状態で1日以上連続稼働させ、異常無い事を確認。
これで電源ユニット基板のチェックは終了です。 

2025年6月13日金曜日

X68K EXPERT 復活

 電源ユニットのオーバーホールも完了したので組付け作業へ。
特に問題無く完成。
ちゃんと起動/停止してくれます。

 

今回、電源ユニット内のコンデンサーの試用実験も兼ねてたので、
複数の種類のコンデンサーを付け替えてテストしてました。
最後は そのままの内容でX68K本体に組み込み。

ちょっとだけ気になってるのは、電源ユニットのC40とC41。
これはVCC系統のリップル吸収のコンデンサー。
整流ダイオードの直後に入ってるので、もっともリップルが流れる代物。

今回の最終形態ではニチコンのPWの16V4700μを使用してるのですが、
以前1台だけ、このコンデンサーを使って発振した個体が有ったんですよね。
なのでちょっと警戒していたわけですが、今回は全く問題無し。

まぁこのX68Kはほとんど稼働しないので問題にならないと思いますが、
ちょびっとだけ気になりますよね。 

 

ちなみになぜ発振するかという話ですが、
X68Kの電源ユニットはVCC系統の電圧をフィードバックさせて
メイン系統の動作制御を行っています。
しかしそのフィードバックループの位相余裕が少ないもんで、
C40とC41のESRが非常に低いと、位相が回って発振しちゃうんですね。

リップルを喰らう電源用電解コンデンサーは低ESRです。
なのでそういうコンデンサーを使う前提で電源も設計されるのですが、
X68Kの電源はちとギリギリで設計されてしまってます。
なので昨今の超低ESR品を使用することができないんですね。
やっかいな代物でございます。

X68K電源ユニットのテストベッド

 結構前になりますが、X68K電源ユニット用のダミーロードを作成しました。
これはオーバーホールや修理で、電源ユニットに手を加えた後の動作試験が目的でした。
ではそれで全て揃ったかと言うと、まだ電源ユニット基板を載せるベッドが必要なのでした。

電源基板をケースに収めてから動作試験するならベッドは不要ですが、
それだと基板からわずかな異音が出ていたとしても気づきませんし、
再度基板に手を加えようとすると、まだユニットをバラさなければなりません。

ですのでケースに収める前に、基板の状態で動作確認するのがベターです。

しかしその場合、1つ問題が出てしまいます。
X68Kの電源基板にはFETやレギュレーター等、熱を出す部品が載ってますが、
それはケースに放熱する構造になっているのです。
ですので、そのまま基板の状態で動作させると、
オーバーヒートで部品が壊れてしまいます。

もちろん極短時間であれば支障は無いのですが、
電解コンデンサーの交換を伴う作業だった場合、
電解コンが本来の性能を出すまでの時間は連続稼働させる必要があります。
少なくとも2~3日は欲しいところ。 

そうなると何らかの放熱機構を用意する必要があるわけでして、
その為のテストベッドという話です。 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

いきなり早速ですが、実際に作製したテストベッドでの動作試験風景。 

右側がダミーロードで、左側がテストベッドに載ったX68K電源基板です。 

ケースに放熱する部品は全部で4点あるのですが、
2点は市販の放熱器をビス留めしてまして、
残りの2点にはmeviyで作製したアルミ板金のヒートシンクを付けてます。 
これに92mm角のファンで風を当てて、強制冷却。 

ダミーロード上のファンも、テストベッドのファンも、
アイネックスのCFY-90Sを使用してます。 
これが非常に静かなファンで、2台回っててもオシロスコープの方が
遥かに煩いという状況。
それでいて、それなりに風は送ってくれるので、なかなかバランス良い製品ですね。
ちなみにこのファンの電源もX68K電源から供給してます。

 

来月の20日開催される「つくまた2」にて実物を展示する予定です。
ご興味感じた方、ぜひお待ちしております。 

2025年6月10日火曜日

つくまた2に出展しまーす。

 同人ハードのイベントで、今回で2回目の開催となる「つくまた2」に当選しました。
スペース数より応募の方が多かったので抽選となったそうですが、運良く当選できました。

前回に引き続き、オリジナルのキットを出す予定でして、
今回の新作は「1ゲートロジックIC変換基板キット」です

 

それと、キットとして纏めてはいないのですが、
X68K電源のダミーユニットを展示する予定です。 

これはX68000の電源ユニットをオーバーホール後、テスト稼働させる為のダミー負荷。 
いきなり本体に繋いで動作テストする方も多いようですが、
電源ユニットの異常で本体にトドメ刺したりすると、泣くに泣けないですからねぇ。

本体に繋がず、電源ユニットのみでも動作しますが、
無負荷だと症状が出ない不具合もあり得るわけです。 

そんなわけで作ったダミー負荷なのですが、
あくまで自分用に作ったものでして、他の方の需要は皆無かと(笑)
なのでキットとして出すつもりはないのですが、
もし興味をお持ちの方いらっしゃれば、部品をお出ししてもいいかなと。

当日、コンセントが使用できるようでしたら、実演も行うかもしれません。 

2025年3月10日月曜日

X68K電源ユニット用ダミーロード その5

 今回は3種類のラスト、Type3です。

と言っても特に新しい内容が有る代物ではなく、
基板部とヒートシンク部が分離していたType2を、1つに合体させたものです。

単にそれだけなのですが、現在製作を進めているのが このタイプ。
見た目はこんな感じ。


 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一体型という点ではType1と同じですが、ファンの音が直接耳に入ってしまいます。
ですので静音タイプのファンが必須と言えるでしょう。
とは言え、ヒートシンクを冷やしきれなくなるとマズいので、
現物調整が必要になりそうです。

 

Type2で全体を2つに分けた理由は3Dプリンターの出力サイズでした。
当方所有の3Dプリンターは やや大型ですので、
一般普及品よりは大きめの物が出力可能です。

このType3のベース部は約200×150mm。
当方では出力可能なサイズですが、厳しい方もいらっしゃるかも?

Type2だと基板部が電線に引っ張られてしまう事が考えられるので、
このType3の方が使い易いと思われます。

 

ともあれ、あとは完成後の試運転で、ファンの音の具合次第ですね。

2025年3月8日土曜日

X68K電源ユニット用ダミーロード その4

 前回はType1を解説しましたが、今回は2つ目のType2です。

Type1で十分実用性は有るのですが、ワイメイク性が強い感じ。
meviyで作る板金部品だけで8千円を超えてしまいます。(通常納期の場合)
するとトータルで1万円を軽くオーバーしてしまうことに。

この金額自体は特に高いわけではありません。
むしろ、単発としては安いかもしれません。

しかし業務用途ではなく、趣味用途として見た場合、
もっとお安く出来ないかなぁ?というのが、今回のType2の出発点。

趣味ベースでお安くモノづくり、となると真っ先に思い浮かぶのは3Dプリンター。
3Dプリンターを活用してお安く纏めてみることにします。

 

さて、ではどんな構造にするかから再検討。
趣味用途で3Dプリンターを使うとなると、
ホビーユースで普及している3Dプリンターを念頭に置く必要がありますね。

すると、Type1のような一体構造はサイズ的に厳しそうな予感。
メイン基板部とヒートシンク部を分割してしまえば、
Type1よりはサイズを個々の部品サイズ抑えられます。
そもそもメイン基板とヒートシンク部の間は
抵抗へ繋がる電線と冷却ファンの電源線しか繋がっていないので、分割は容易です。

 

ではまずメイン基板部。

ここは単に、基板を床から浮かせて保持するだけで用は足りますね。
ですので以下の様な部品を設計。







 

 

サイズ的には110×80mm位なので、大抵の3Dプリンターで出力可能でしょう。
素材もPLAで十分と思います。

これにメイン基板をタッピングビスで取付け、
裏側にはゴム足をタッピングビスで取付けし、完成。











さて次はヒートシンク部です。

Type1ではヒートシンクを垂直配置しましたが、
さすがにあの形状のまま奥行きを縮めるのは ちと安定感が悪くなってしまいます。

そこでやむを得ず、ヒートシンクを水平配置することにします。
なお、ヒートシンク上のメタルクラッド抵抗の配置については全タイプ共通です。

思案の結果、決まったのが以下の構造。

まず、このような板金部品を用意します。







 

 

 

これはFANベースという部品です。
ちなみに裏側はこんな感じ。









 

これもやはりmeviyで製作可能です。
というか、こういう板金部品を1個単位で作ろうとしたらmeviyは欠かせません。


まずは このFANベースに冷却ファンを取付けます。
固定はトラスビスとフランジナットのセットにて。
Type1では板金の内側にファンを取付ましたが、
Type2では板金の外側に取付けます。
こうすることで板金の高さが減り、単価が若干落ちます。

冷却ファンの反対面にはファンガードを取り付けます。
これもトラスビスとフランジナットのセットにて。

Type1の時はファンガードと板金、冷却ファンを1本ビスで締めてましたが、
Type2で別々のビスで留める構造になってしまいます。
リブ付きのファンならば、1本のビスで行けるんですけどねぇ・・・・

ともあれ、ここまでで こんな感じに。









 

次に、板金部品の中に抵抗付きのヒートシンクを差し込みます。












裏から見ると こんな感じ。











 

 

ヒートシンクは差し込んだだけで、板金部品とビス留めしてません。

そして、これらを載せるのが、このベース部品。








 

 

3Dプリンターで作る部品です。
サイズ的には150×120mm位なので、大抵の3Dプリンターで大丈夫なはず。
素材はABSかPET辺りがお勧めですが、PLAでも実用にはなるかと。

ちなみに裏側はこんな感じ。












 

先程の板金部品とヒートシンクのセットを、このベース部品に載せ、
長いトラスビスでベース部品・板金部品・ヒートシンクを一気貫通で留めます。












 

最後にゴム足をビス留めします。
ここで使うゴム足は、タカチのA14-6です。
Type1で使ったA21-8だと ちょっと大きすぎな感じ。











 

 

これでヒートシンク部も完成です。











 

前側に謎な突き出しと穴が2個存在しますが、
これは電線類を片サドルで留められるようにと用意したもの。
留めた方がベターですが、まぁお好みかなと。

 

このType2だと、板金部品の費用が半分以下になります。
総額で1万円を切るでしょう。
板金部品を3Dプリンター出力品にすると?という疑問が出ますが、
コの字形状をこの薄さで1発出力するのは まず無理なので、
パーツ分割して組み合わせ、という感じになるでしょう。
すると現在よりゴツくなってしまうので、スマートさに欠けるかもしれません。
私ならば、ここだけはmeviyの板金部品を選択するかなぁ。

X68K電源ユニット用ダミーロード その3

 今回からはユニット全体の組立について触れていきます。

VCC2以外の電源の負荷にはメタルクラッド抵抗を使用します。
大電力用なので高価な抵抗ですが、秋月電子に安価な物が売っているので、
それを利用することにいたします。

当然ながらメタルクラッド抵抗には放熱機構が必要となります。
今回はヒートシンクに取付けし、ヒートシンクをDCファンにて強制空冷します。

ヒートシンクも それなりの値段する代物ですが、
うちには以前いただいた、没品のヒートシンクが有ります。
こんな代物。



 

 

表面

 

 

 


 

 

 

 裏面 



 

 

諸事情で没になり、本来なら産廃ゴミになるはずの物を頂いたという経緯。
その為、既に穴あけ加工済みなのですが、その穴を避ければ良いだけで、
ヒートシンクとしての能力は問題無いわけです。
今回はこれを利用して材料費節約です。

 

メタルクラッド抵抗に合わせ、上のヒートシンクに取付穴を加工します。
アルミ製のヒートシンクなので、加工は割と楽なのですが、注意するとすれば穴位置。

何も考慮せずに位置を決めて穴あけすると、
当然ながらフィンの位置に穴が来る場合があります。
そこそこ太いドリルであれば さほど問題にはならないのですが、
細いドリルの場合、折れてしまう懸念が有るのですね。

そこで今回はフィンの間の谷間部分に穴あけする様に設計。
このヒートシンクのフィンピッチは6mmで、谷間部の隙間は4mmあります。

メタルクラッド抵抗の取付穴が丁度6mmの倍数であれば、綺麗に収まりますが、
当然ながら そんな上手い話は無いわけでして・・・・・
ですので抵抗を斜めに傾けて、取付穴を6mmピッチに合わせます。

そんな感じで取付できたのが以下。






抵抗取付後

 

 

 

 

 

 

見た目としては抵抗の向きが揃っている方が良いわけで、
売り物であれば 当然そうするところですね。
しかし今回は自分用なので、見た目は重視しない方向で行きます。

上の図では、3種類のメタルクラッド抵抗を使っています。
10Wタイプ、25Wタイプ、50Wタイプの3つです。
秋月電子からはメーカー提供の図面が配布されているのですが、これが曲者。
なんと現物と図面が異なるのです!!

特に問題になったのが25Wタイプ。


 

 

 

 







縦寸法はほぼ問題が無いのですが、問題は横寸法。
各穴が1mm以上ズレているのです。
するとトータルで2mm以上のズレになるわけで、これでは全く穴が合いません。

結局、ヒートシンクに追加の穴あけを行い、無事に取付を終えたという経緯。
日本メーカーの抵抗ならば まず考えられない話ですが、
中華製部品ならば ありがちな話ですね。

 

このヒートシンク部と冷却ファン、そしてメイン基板を纏めるわけですが、
最終的に合計3つのパターンを考えました。
以降、順に1パターンずつ解説して参ります。
(ヒートシンクと抵抗については、どのパターンも共通です)

 

まずは1つ目のパターン(Type1)

全体を纏めるベースとなるシャーシが以下の物。







ベース板





 

t1.2の板金加工品で、meviyにて製作可能です。

 

次にヒートシンク部を固定する為のパーツがこれ。






HSステー

 

 

 

 

 

 

これもt1.2の曲げ板金部品で、meviyにて製作可能。
上端はコの字曲げになっていますが、
こういう形状は寸法次第で曲げ機の歯に干渉してしまい、
加工不可となる場合があります。
今回の金具の様に奥行きが広く、曲げ先も短ければ ほぼ大丈夫です。
meviyの場合、干渉を自動チェックして見積時に指摘してくれるので安心ですね。

 

この金具2本をヒートシンクにビス留めし、それをシャーシにビス留めしたのが以下。












あとはシャーシに六角スペーサーを使ってメイン基板を取り付け。
シャーシに冷却ファンとファンガードをビス留め。
シャーシの底面にゴム足をビス留め。

すると以下の様な感じで完成です。


 


















 

 

冷却ファンは92mm角、25mm厚というサイズ。
ヒートシンクの幅が約100mmなので、それに近い最大サイズを選択。
このサイズだと25mm厚の製品がパソコンのケース用として流通しているので、
それを流用することにしました。
山洋電気等の一流メーカー品でも安く入手可能なのです。
しかもケーブルにコネクターも付いてます。

ただ残念なのは、ケース用ファンはどれもリブ無しタイプなのです。
パソコン用のケースファンを購入すると、
大抵、ファン取付用としてタッピングビスが付属してきます。
ところが、少なくとも山洋電気ではリブ無しタイプを
タッピングビスにて固定するのはNG扱いになっています。
(リブ有りならタッピングビス留め可能)

他のメーカーならば大丈夫、ということはないと思われるので、
リブ無しをタッピングビス留めするのは自己責任扱いになると思われます。

取付けの手間を考慮するとタッピングビスを使いたいところですが、
リブ有りのDCファンは高価なので断念し、
リブ無し品をトラスビスとフランジナットで固定しています。

 

ゴム足はタカチ製A21-8です。
このシリーズはエラストマ製の為、ゴムの様な悪影響が発生しません。
取付もビス留めなので、ズレたり剥がれたりという懸念がありません。

 

今回解説したType1のメリットは冷却ファンの騒音
使用者はメイン基板側に居るわけですが、
すると冷却ファンがヒートシンクの陰になるので、
冷却ファンの音がある程度遮られるわけですね。
X68K電源ユニットのテスト時、ファンの音が煩いと、
電源ユニットからの異音が解りにくくなってしまいます。 


最後に板金の材料についての話。
このタイプでは t1.2の曲げ板金を使っていますが、
この t1.2の板というのは一般的に鉄板材で使われる厚みです。
もし上記の板金部品を鉄で作った場合、
塗装なりメッキなりの表面加工が必須となります。

ところがmeviyでは t1.2のステン材を用意しているので、
この板金部品をSUS304で作ることが可能です。

一番安価なのはSUS304(2B)という素材ですが、
見た目がそれなりなので売り物にする場合は要注意ですが、
自分用のツールで見た目を気にしないならば、有用な選択肢となるでしょう。
なお、SUS304へのビス留めはステンビスが必要な点に注意が必要です。

2025年3月6日木曜日

X68K電源ユニット用ダミーロード その2

 前回は全体仕様までを記載いたしましたが、
ここからは実際の製作物についての話です。

 

先の全体回路図の内、ヒートシンク部以外は1枚の基板に纏めます。
既に基板の設計は上がっていて、もう発注済みです。

しかし世の中は便利になったもので、
実物が出来上がる前に、3D-CADによるモデルを見る事ができます。
それがこちら。









これで十分、メイン基板の雰囲気がお解り頂けるかと。
基板サイズに対し部品配置が疎なのは、
大電流を流す為にパターン幅を広めに確保しているからです。

基板奥手にヒートシンク部に繋がる端子台が並んでいます。
ヒロスギ製のHP-03423という製品で、
M3ネジにて圧着端子を止める、基板実装型の端子です。
もちろんサトーパーツ等の一般的な基板用端子台でも問題ありませんが、
手持ちの関係で これを使ったという次第。

端子の右隣にはヒートシンクの冷却ファン用電源コネクターが有ります。
MOLEXの5046-03Aという製品なのですが、
巷に流通しているパソコンのケースファンが そのまま接続できます。
この基板にはPWM制御の機能が無いので、3ピンタイプのファン用です。

基板の左端にはX68K電源ユニットからのケーブルを挿すコネクターが2つ並んでます。
手前は日圧のB6P-VH、奥はMOLEXの5273-02Aです。
コネクター2つに分かれるので、+5Vが10A近く流せるというわけですね。

基板の手前側の左寄りが、X68K電源ユニットの起動スイッチ。
日開のA-12HBを使っています。
これも単に手持ちが有ったからという理由。
X68K電源ユニットの起動操作信号はmAオーダーの電流しか流れませんので、
できれば微小電流用スイッチの方が好ましいわけです。
その点では日開のAシリーズもしくはBシリーズがお勧めです。
このA-12HBの端子穴は2.54mmピッチになっているので、
ピッチが合うものならば代用も可能です。
秋月電子扱いならば、2MS1-T2-B4-M2-Q-E-Sなんかも合うでしょう。
しかしこれは微小電流タイプではないので、その点は留意する必要があります。

スイッチの右隣はVCC2系統の表示LED。 

更にその右側にはブースト動作用の照光タクトスイッチがあります。
これも秋月で売ってるTS-ALGWRH-Gという製品。
在庫限りだそうですが、手持ちが有るので採用しました。
ブースト中はスイッチ中央のLEDが点灯します。

そして一番右端のLEDが+5V系統の表示LEDです。

このLEDの奥手の方にちょっと大きな抵抗が居ますが、
これはVCC2の負荷抵抗です。
3Dモデルだと基板にベタ載せですが、単に手抜きモデリングしてるだけでして、
実際の実装時は基板から少し浮かせる様にいたします。

この抵抗は3Wの酸金抵抗。
丁度、秋月電子で赤羽電具製の酸金抵抗を扱っているので採用してみました。
赤羽電具の抵抗は質が良いそうです。
秋月電子に推薦してくれた方に感謝ですね。

そして最後、基板中央 左寄りのところに、フォトMOSリレーがあります。
ブースト動作の電流回路ON/OFFの要です。

回路図で東芝のTLP3543Aと記載してますが、他社同等品でも構いません。
この基板ではC接続で使用しているので、最大10Aまで流せます。
この時のオン抵抗は僅か5mΩ。
ブースト動作中に流れる電流は約2.5Aですから、12.5mVしかドロップしません。
なんとも凄いですね。
メカニカルリレーの肩身が狭くなるばかりです。(;;

 

以上、メイン基板については こんな感じでございます。

2025年3月5日水曜日

X68K電源ユニット用ダミーロード その1

 手が空いたので、私物のX68000のオーバーホールに着手。
とは言っても、電源部の消耗部品交換だけなのですが。

とりあえず部品交換は終了したので、次は動作確認ですが、
電源ユニットを本体に接続して電源投入というのは いささか乱暴。
そこで疑似負荷装置、いわゆるダミーロードを作ろうと思い立ちました。

ちなみに、単に動作するかどうかだけならば簡単に確認可能です。
本体に繋がずに電源ユニットにAC100Vを投入すれば、
電源ユニットが起動する仕様だからです。
空冷ファンの動作で、電源が起動しているか否かも目視できます。
しかし+12V系統以外は無負荷状態。
ハンダ不良等の接触不良については ある程度の電流を流さないと見極めできないので、
この状態では動作チェック完了とは言えないわけです。

 

ターゲットとなるX68000は5インチFDDを内蔵している、
マンハッタンシェイプ型の内蔵電源といたします。
他には3.5インチFDDを内蔵しているcompact型が存在しており、
こちらは電源の出力容量が異なります。
しかし当方ではcompact型の電源ユニットを触ることがほぼ無い為、
今回はスルーする事にいたします。

 

上記の電源ユニットの出力容量ですが、定格値は不明です。
しかし回路からある程度の推測は可能。
常時出力の5VであるVCC2は、出力レギュレーターが78M05なので最大0.5A、
+12V出力ぱSI-3122Vの容量より、最大2A、
-12V出力は78M12の容量より最大0.5A、となります。
最後に+5V出力ですが、整流ダイオードの容量が12Aなので、
これを超える事はありえません。
X68000本体記載の消費電力を加味して考慮すると、
+5V出力の容量は約10Aと推測されます。

 

ではダミーロードの方の仕様ですが、
さすがに100%の負荷を掛ける必要は無いと思われます。
耐久試験を行うわけではありませんので。(笑)
ですので目安としては50%前後の負荷をかける感じにします。
正確な値は入手可能な抵抗器との兼ね合いで決定。

ということで、以下が全体回路。








X68Kの電源ユニットから出ている出力コネクター2つを接続します。
回路中の冷却ファンというのは、X68K電源ユニットの冷却ファンではなく、
このダミーロードのヒートシンクに付ける冷却ファンです。
さすがに約50Wの発熱となると強制空冷した方が安全です。

電源ユニットを繋いでAC100Vを投入すると、VCC2に5Vが出てきます。
VCC2はベース基板上のR5が負荷になっており、ここに約0.2A流してます。
同時にLEDであるD2を点灯させ、VCC2出力中を目視できます。

SW1が電源ユニットの起動スイッチです。
SW1をオープンにすると電源ユニットが起動します。
X68Kの電源ユニットは内部動作にVCC2が必要なので、
VCC2が正常出力されていないと、SW1を操作しても電源ユニットは起動しません。

電源ユニットが正常起動したならば、
+5V、+12V、-12Vの各系統に電圧が出てきます。
+5V系統にはLEDのD3を繋いであるので、出力が視認できます。
また、+12Vが出てきていればヒートシンクの冷却ファンも動作します。

この時点では+5Vが5A、+12Vが約1A、-12Vが約0.24Aの負荷が掛かっています。
この負荷はヒートシンク上のメタルクラッド抵抗が負担します。

+5V系統には負荷ブーストの機能を入れてあります。
通常状態時にSW2を押すとRL1がONし、負荷ブースト状態となります。
ブースト中は+5V負荷が2.5A増加し、トータル7.5Aの負荷となります。
RL1がONすると自己保持状態となる為、SW2を離してもブースト状態のままです。
ブースト状態を解除するには電源ユニットを停止させる必要があります。

 

電子負荷装置のような高度な機能はありませんが、
とりあえずの確認としては これで十分かと思います。

2025年2月20日木曜日

X68K メイン基板の黄色い電解コン問題

 X68Kのメンテ作業にて、消耗部品である電解コンデンサーの交換はよく聞く話ですね。

その中で やっかいなのは、 メイン基板に載っている黄色い電解コンデンサー。
部品番号は製品で異なるので具体的に記載出来ないのですが、
ニチコンのSLシリーズ 6.3V 220μF という代物です。
この電解コンはバックアップ電池からのバックアップ電源系統に入ってます。

このSLシリーズという電解コンは低漏洩型、つまりリーク電流が少ない代物。
電解コンでリーク電流がガバガバ流れてしまえば、
それだけで電池を消耗してしまいますから、ここに低漏洩型を使用するのは当然ですね。

低漏洩型の電解コンデンサーは85℃品の一般形と同等の寿命です。
なので現存するX68Kでは 遥か昔に寿命が切れてしまっていますから、交換は必須。

しかしこのタイプの電解コンは需要が激減してしまってる様で、
各社とも製造を止めていってます。
まだ製造を続けている会社も有りますが、入手はほぼ不可という状況です。

 

実はですね、X68Kシリーズの内、PROのメイン基板には
この電解コンが載っていないんですね。
なんと通常タイプ電解コンが使われているんです。

あれ?と思ってしまいますよね。
なので、具体的な値に踏み込んでみることにします。

X68Kにてバックアップ電源の負荷は2種類。
1つ目はRTCであるRP5C15、
2つ目はSRAMであるHM6264です。

データーシートで確認すると、RP5C15のバックアップ電流は15μA
HM6264についてはX68Kでは低消費電力型が使われているので、
バックアップ時は10μAという値。
ただしX68KではHM6264が2個載っているので、倍の20µAという事になります。

合計すると、35μAですね。


次に上記の電解コンについて。 

  SLシリーズのリーク電流を計算してみると、
  3V × 220μ × 0.002 = 1.32μA という値。

  通常の85℃標準品の電解コンを計算してみると、
  3V × 220μ × 0.01 = 6.6μA という値になります。

リーク電流だけを見ると5倍も差があるので、おっ!!と思ってしまいますね。

 

しかしこれをRTCやSRAMも含めた電流で計算してみると・・・・

  SLシリーズの場合 35+1.32 = 36.32μA
  標準品の場合  35+6.6 = 41.6μA

なんと2割程度しか差がありません。 

これなら、入手性の悪い低漏洩型を無理に探さずとも、
標準品の電解コンで構わないかもしれません。
(実際には85℃標準品ではなく、105℃長寿命品の方が好ましいわけですが)

 

更に申し上げると、昨今は積層セラミックコンデンサーの大容量化が進んでるおかげで、
定格値100µFなんていう代物も容易に入手できるようになりました。
実際、秋月電子では6.3V100μという積セラコンが10個280円で売ってます。 

積セラコンは完全な固体コンデンサーですから、
電解コンのようなリーク電流は発生しません。
(端子間絶縁に絡む僅かな電流は存在しますが)

すると、無理に電解コンを使わなくても、積セラコンでいいんのでは?
という話になってくるんですね。
秋月電子の積セラコンは安価なだけあって、Z品ですので、
実際に見込める容量は半分程度の約50μFです。

220μFを代替するなら4個必要になるわけですが、
そもそもここは厳密な容量が求められる場所ではありませんので、
2個パラ接続の100μFでも実用上は問題無いでしょう。

もし今後、この電解コンを置き換えする場合は、積セラコンをお勧めします。 


最後に1つ、大事な事を。
黄色い電解コンの代替の際に、
OSコン等の導電性高分子電解コンは絶対に使用しないでください。
これらの電解コンはリーク電流が桁違いに多いからです。

2025年2月19日水曜日

X68K 底基板のバックアップ電池

 X68KではRTCとSRAMへ、常時電源供給する為に電池が載っています。
昨今ならばフラッシュメモリーが有るのでSRAMなんか使わないわけですが、
当時はフラッシュメモリーが登場する前だったので、SRAM一択だったんですね。

さてこの電池ですが、X68K ACEまでは2次電池であるニッカド電池が使われてました。
この辺りも時代を感じますね。

それ以後の機種では1次電池であるリチウム電池が使用されています。
最近のPCであればリチウム電池には電池ホルダーが使用されてて、
ユーザーが自分で交換出来るようになっていますが、
当時はユーザーがPCを開封することは想定されておらず、
当然ながらセルフ電池交換は考慮されていませんでした。

その為、X68Kのリチウム電池はタブ付きのハンダ付け用が使用されており、
電池交換作業は基板に手を加える必要があります。

 

交換作業自体の難易度は さほど高くありません。
3ヵ所のスルーホールのハンダを除去し、電池を交換して再ハンダするだけです。

一番の問題はリチウム電池の入手性。
タブ付きのリチウム電池は一般人が使う代物ではないので、
そこらにポンポン売ってる代物ではありません。

製品製造の際に消費される事がほとんどですから、
大抵はトレー単位で流通してるので、数個だけ買うのは至難の業だったのです。

 

そんな状況下、ケースで有名なタカチ電機さんが やってくれました!!
タブ付きリチウム電池の個別品を出してくれたのです。

そんなバンバン売れるようなモンではないので、
置いてるお店は少ないかもしれませんが、
ともかくも入手可能なメドが立ったのは事実。
タカチ電機さん、ありがとうございます。

 

X68K Expert等のマンハッタンシェイプ品の底基板に載ってるのは、
タカチさんのCRH2450Nと同等です。
実はタカチさんでは更に容量の多いCRH2477Nという製品も出してまして、
電池の厚みが違うだけなのでX68Kに実装可能だったりします。
もちろん値段も差が有るので、どちらを選ぶかは好みの問題かと。

要確認なのはCompactシリーズです。
わざわざ電池の種類を変えるとは思えないので、
たぶんマンハッタンシェイプ品と同じ電池を使ってると思うのですが、
もし交換される際は現物を確認してから電池を手配される方がよろしいかと。

 

 

最後に1つだけご注意頂きたいお話を。

タカチさんのタブ付きリチウム電池ですが、
初期ロット品は導電スポンジで梱包されて出荷されてる事が判明してます。

当然ながら、これだと保管中にガンガン放電してしまうわけでして、
例えばCRH2450Nとかだと せいぜい5年位で電池が空になってしまいます。

タカチさんもこの問題には気づいたようで、
次のロットからは絶縁スポンジに変わってるそうなのですが、
問題は初期ロットがそのまま流通してる事です。

普通に考えたら問題ある製品は回収すると思うのですが、
それをやっていない様なんですね。
なのでもし、買った電池が黒いスポンジに刺さってた場合、
電池が消耗してる可能性有るので交換対応依頼を検討した方がいいでしょう。

幸い、このタブ付き電池をタカチさんが出したのは割と最近なので、
初期ロットの保管期間も1年経っていないのでは?と思われます。
これならばCRH2450Nでも半分以上は容量残ってると思うので、
交換対応の手間を惜しんで そのまま実装してしまうのも有りかもしれません。

余談ですが、タカチさんのラインナップの内、一番小型のCRH1220なんかは、
半年程度で電池が空になってしまうので、導電スポンジ品は交換対応必須です。
たぶん、初期ロット品は全て電池が空になってしまってるかと・・・・・

 

2025/2/20 追記

 タカチ電機様に交換をお願いしたCRH2477Nが届きました。
スポンジが交換前と同じ物の様に見えたので、開封して確認。
すると、確かに導通の無い、絶縁タイプのスポンジでした。
しかし色味が やっかい。
真っ黒ではなく、ダークグレー色なので、
各々のスポンジを並べてみれば、色の差は明確なのですが、
袋に入ったまま単体で見ると、どっちなのかが判りづらいかも。










梱包のどこかに、ロットが判別できる記載があると良かったのですが・・・・

2024年2月5日月曜日

ジョイスティックケーブルのチェッカー完成

 X68000やMSXと言った一昔前のパソコンでは
アタリ規格をベースにしたジョイステックポートが使われていました。
現在はUSBポートに取って代わられているので全く使われていませんが。

上記のような旧機種向けのアクセサリーを製作しようとすると、
モールド加工済みのジョイスティックケーブルが欲しくなります。

もちろんこのケーブルは ほぼ需要が無くなってしまったので、
国内で製造しているところは皆無かと。
ところが中国だと まだ入手可能なんですね。

そんなわけで中国製造のケーブルを仕入れるのが順当な選択肢になるわけですが、
もちろん難点もありまして、以下のような要注意点があります。

1、全ピン結線されているとは限らない
2、品質保証が甘いので断線等の不良も有り得る
3、各ピンと電線の結線資料が存在しない

とまぁ、真っ当なメーカー品であれば 起こり得ないような話が出てくるのです。


そこで自作したのが、今回の主題であるケーブルチェッカー

単に各ピン毎に導通を見るだけの代物なので、
簡易的にはテスターで代用することも可能ですが、
本数が多くなるとちょっと面倒な作業になってしまいます。

以下が実際の作業中の写真。








 

 

ジョイスティックケーブルを左側のコネクターに差し、
逆端の電線を1本ずつテストピンに接触させると、
コネクターのピンに対応したLEDが点灯するというもの。

どのLEDも点灯しなければ断線していると判定になりますし、
複数のLEDが点灯した場合は どこかで短絡している事に。

このチェッカーの電源は5Vで、上側のDCジャックに供給します。
秋月電子等で売ってるACアダプターでも問題ありません。

ターゲットを割り切ってる分、汎用性は低いのですが、
使い勝手は悪くない感じです。

需要はほとんど無いと思われるので同人ハードとして頒布の予定はありませんが、
まだ未実装基板が余っているので、 欲しい方にはお分けも可能ですので
メールにて問い合わせください。
(プロフィール欄からメール連絡が可能です)

 

2024/2/8 追記

参考用に回路図も掲載いたします。
この通り、非常に単純なものです。



2023年2月25日土曜日

JMMCSCSIアダプターの基板回路解説

 JMMCSCSIとは、TNB製作所のたんぼ氏が開発した、
X68000にてマルチメディアカード(以下MMCと略)を読み書きする為の同人ハードです。

たんぼ氏が作成・公開した接続図を元に作成された物が、
近日頒布予定の「MMCじょい君」です。
JMMCSCSIの接続図に対し、「MMCじょい君」の回路図には各種の補完が追加されています。
ここではその「MMCじょい君」の回路図について解説いたします。

まずは「MMCじょい君」の回路図全体です。



 

 

 

 

 

 

 

 

「JMMCSCSI-ADP」というのは「MMCじょい君」内の基板名です。 

CN1がX68000のジョイステックポートに刺さり、
U1にMMCを挿して使います。
「MMCじょい君」の電源はX68000のジョイステッィクポートから貰います。

 上記回路図にパートの区分けを書き入れたものが これ。









 

赤枠内が電源部、
オレンジ枠内がX68000 -> MMC の信号部、
緑枠内がMMC -> X68000 の信号部です。

ご覧の通り、基本的にはレベル変換回路となっております。
MMCのアクセスにはSPI方式の同期シリアル通信を使いますが、
それは全てソフトウェアにて作成している為、非常にシンプルな回路です。

では次に、各パート毎に解説して参ります。

①電源部







X68000は5Vロジックで動いているユニットに対し、MMCは3.3Vデバイス。
なので、X68000から供給された5Vから、3端子レギュレーターにて3.3Vを生成してます。
入出力差が1.7Vしかない為、ロードロップタイプのレギュレーターが必須です。
もっとも、最近入手可能な3.3V出力のレギュレーターは、ほぼロードロップタイプかと。

出力電流容量についてはMMCの消費電流次第なわけですが、
メーカー間で統一されてはいないので、仕様からの決め打ちは不可能です。
なので、ある程度余裕を見て選定するしかないでしょう。
AP2127は300mAのレギュレーターです。
3.3V × 300mA で、1Wまで出力可能。
MMC1枚くらいなら、これで大丈夫かと思われます。

3端子レギュレーターの両端には4.7μFの積層セラミックコンデンサーが付いてます。
これはレギュレーターの安定動作に必須なので、よく見かけるかと。
必要な容量はレギュレーターにより異なりますが、
AP2127では1μF以上が推奨のようです。
セラミックコンデンサーではDC電圧が加わることで容量が減少するので、
余裕を見て4.7μFを使用しています。

積層セラミックコンデンサーの外側には更に電解コンデンサーも付いてます。
3端子レギュレーター出力側の電解コンデンサーはともかくとして、
入力側の電解コンデンサーC1はX68000からの供給電源変動を吸収してくれるので、
これも必須と言えるでしょう。

なお電解コンデンサーは消耗部品ですので、
定期的な交換が必要と認識されてる方も多いかと。
JMMCSCSI-ADPでは電源用の長寿命品を使用している為、
通常使用している限り、定期交換はほぼ必要無いという認識で大丈夫です。

ぱっと見で、よくわからないと思われるのはFB1かと。
これ、回路記号上はインダクターになっていますが、実際はフェライトビーズです。
直流的にはほとんど抵抗を持たないので、存在しないのと一緒ですが、
高周波信号に対しては抵抗分(正確にはインピーダンス成分)が出てきます。
通常は高周波ノイズ対策として使用するフェライトビーズですが、
非常に安く入手できたので、おまけ的な意味で挿入しておきました。
MMCへのノイズ流入を減らす為ではなく、
MMCから3.3V電源ラインへのノイズを阻止する目的で入れています。
特にMMC挿入時は、結構な突入電流が発生するという話を耳にしています。
FB1が有れば、この影響を少しでも少なくなるかなぁという期待ですが、
FB1だけだとMMCへの供給電圧が不安定になる可能性あるので、
直近に22μFの積層セラミックコンデンサーを付けております。

LED D1は電源部の括りではないのですが、
ジョイステックポートの4番ピンに接続されていて、
X68000側からの操作により点灯/消灯するようになっています。

②X68000 -> MMC 通信部






ここではX68000のジョイスティックポートから出力した信号をMMCへ入力する為の
レベル変換を行っています。
X68000のジョイスティックポートはプルアップ抵抗が付いた8255のポートです。
信号レベルは5VのTTLレベルですが、MMCは3.3Vデバイスですので、
5V信号から3.3V信号への変換が必要というわけです。

このレベル変換を行っているのが東芝のTC7WH17FUです。
これ自体はレベル変換用ICではなく、単なるロジックICです。
このTC7WH17FUには3.3V電源を供給しているので、
MMCに繋がる出力信号は3.3Vレベルとなります。
もろちん3.3V電源の入力部には0.1μFの積層セラミックコンデンサーを
パスコンとして付けてあります。

通常のロジックICですと、3.3V動作の状態で5Vの信号を入力することは出来ません。
しかしTC7WH17FUは入力にトレラント機能を持っているため、
5.5Vまでの信号を入力することが可能です。

TC7WH17FUの入力部はシュミット特性を持っています。
「MMCじょい君」はX68000のジョイスティック端子に直挿しする想定ですので、
信号にノイズが乗ることは少ないと思われますが、
ケーブルを通ってくるような信号の場合はシュミット入力はぜひ欲しいところ。

TC7WH17FUの入力部に付いている10KΩのプルアップ抵抗ですが、
これはレベル変換動作には全く関与しません。
これは信号伝達を安定させる為のものです。
このプルアップ抵抗が無くてもDC的にはX68000内の8255とTC7WH17FUが繋がってる状態です。

しかし今回やりとりするのはSPIの信号、すなわち高速パルス信号です。
そうなると、DC的ではなくAC的にはどうか?という見方が必要になります。

仮にTC7WH17FU入力部のプルアップ抵抗が無かった場合の状態が以下の図。


 

 

 

 

 

 

8255からの出力に応じて流れる電流を書いてるのが緑の線。
15KΩのプルアップ抵抗はX68000内部の物なので、ジョイスティック端子自体には
全く電流が流れていないことが解るかと。

TC7WH17FUに対してはオレンジ色の経路で繋がってはいますが、
電流がほとんど流れずに電圧だけが伝わる、超ハイインピーダンス状態の経路となります。

緑色の経路に対してオレンジ色の経路が極少しであれば実害は少ないのですが、
「MMCじょい君」の場合はオレンジ色の経路の方が圧倒的に長くなります。
これはAC的には非常に不安定な伝送経路となります。
その為、高速パルス信号がきちんと伝わる保証がありません。

ではTC7WH17FU入力部のプルアップ抵抗がある場合は・・・・・・







 

電流経路はここまで延びます。
オレンジ色の経路が全く無くなる訳ではありませんが、
基板上のパターンを短く設計することで、ほぼ問題無いレベルに抑えられます。
これならば高速パルス信号も問題無く伝わります。

 

次にTC7WH17FUの出力側についてです。

出力側にも47KΩのプルアップ抵抗が存在します。
これはMMC側からプルアップ抵抗の挿入を要望されている模様だからです。
(明言口調ではないのは規格書等で明示されてるわけではないからです)
入力側のプルアップ抵抗ほど信号伝達上は重要ではないものの、
TC7WH17FUがC-MOSデバイスである点と、
MMCを抜いた状態では経路がオープン状態になってしまう点とを考慮すると、
静電気対策の観点からもプルアップしておくべきでしょう。

TC7WH17FUとMMC間に22Ωの抵抗が挿入されています。
これは所謂ダンピング抵抗と呼ばれるものです。
これの必要性は・・・・・・・無いです(笑)

正確にはTC7WH17FUだと必要無いという話なのです。
実はJMMCSCSI-ADPでは部品の入手性を考慮し、他の部品も載せられる様になっています。
TC7WH17FUが入手できなかった場合、SN74LVC3G17も載せられることになっています。
ただこのSN74LVC3G17はTC7WH17と比べて、高速動作かつ出力段が強力という代物。
その為、オーバーシュート・アンダーシュートが発生する可能性が十分あります。
するとこれを抑える為にダンピング抵抗が必要になる、という話でした。

TC7WH17FUであればダンピング抵抗無しでも大丈夫だと思うので、
22Ωと言わず0Ωでも良いくらいなのですが、0Ωよりも22Ωの方が安かったので、
そちらにしたという経緯。
ですのでこの値に深い意味はありません。(笑)


③MMC -> X68000 通信部


 

 

 

 

 

ここはMMCからの信号をX68000へ送る為の回路です。 

先に述べたように、MMCから出てくる信号は3.3Vレベルなので、
X68000用の5Vレベルの信号に変換してやらなければなりません。

そのレベル変換を行うのが東芝のTC7SET17FUです。
この石も中身は単なるロジックICです。
電源には5Vを供給しているので、出力信号は5Vレベルになります。
(5V電源の入力部には0.1μF積層セラミックコンデンサーのパスコン付き。)

5V動作のロジックICに3.3Vレベルの信号を入力すると、
入力電圧レベルが規定値に足りず正常動作する保証がありません。
しかしTC7SET17FUは入力レベルがTTLレベルという石ですので、
3.3Vレベルの信号を問題無く受ける事ができます。

なおこのTC7SET17FUもシュミット入力になっています。

TC7SET17FUの前後に有るプルアップ抵抗は、②の回路の際と同意義です。
安定通信には欠かせません。

実はこの回路、非常に 厄介な点が存在することにお気づきかと思います。
X68000内部で、8255の入力部にプルアップ抵抗がありません。
というのも、この端子はシャープが出力用と想定して設計したからなのです。
入力用であればプルアップ抵抗は必須ですが、出力用であれば無くてもOKです。

SPI通信を行うに当たり、ジョイスティック端子に送受信を同時に割り当てるには
この端子を受信に使うしかないので、この形になってしまった次第。

ということで、TC7SET17FUから10KΩのプルアップ抵抗までは安定していますが、
その先の8255まではハイインピーダンス信号線になってしまうため、
安定して高速通信を行うのは難が有るかもしれません。
ジョイスティックコネクターの接触抵抗ですら、敏感に反映されてしまうでしょう。

2022年6月15日水曜日

白窓君基板の改修

TNB製作所がリリースしてる白窓君の基板を私が供給しているのは、知る人ぞ知るところ。
オリジナルの回路は たんぼさんが書いたものですから、
私はコッソリと裏方に徹しています。

そんな流れでリリースが続いている白窓君ですが、
某氏のハードの影響で需要が増加してしまった模様。
そろそろ打ち止めか?と思っていたところ、また注文が増えてきた感じ。

追加分の基板を作るタイミングで、改版も行うことにしました。
ここにそれを書いて誰得?という疑問も有りますが・・・・・(笑)

実は白窓君の回路、潜在的な問題点を抱えてました。
それは、

白窓君内のLCDユニットのデーター線で、
コンフリクトが起きる可能性が有るという問題

ジョイスティックポートの各端子にはプルアップ抵抗が付いているので、
通常はHレベルになっています。

これに白窓君を繋ぐと、LCDユニットのR/W信号がHレベルになるわけで、
何かの拍子にE信号が動くとLCDユニットのデーター端子から、
出力が出てくる事態になっちゃうわけです。

現在頒布されてる白窓君はX68本体とLCDユニットの間に
バッファーICが挿入されています。
上記の症状が発生するとバッファーICの出力とLCDユニットの出力が
ぶつかることになるんですね。
(ちなみにオリジナルの回路だとバッファーICが入っていないので、
X68本体とLCDユニットの出力がぶつかることになります。)

LCDユニットの信号端子をそのままケーブルで外に引き出すのはナンセンスなので、
バッファーICの挿入は不可欠。
そこで今回の改版で、LCDユニットのR/Wピンは常にLレベルに固定する様にしました。
更にX68本体側からのR/W信号にてバッファーICの出力制御を行い、
R/W信号=Hレベルの時はバッファー出力=ハイインピータンスになります。

ここまでやればコンフリクト対策としては完全かと。

双方向バッファーICを使い、X68側からLCDユニットの読み書きを行える回路も
検討したのですが、そもそもジョイスティックB端子を使う限り、
LCDユニットからの読み込みは不可能なんですね。
もし読み込みを行おうとしたら、
制御線は出力、データー線は入力に設定する必要があるわけですが、
ジョイスティックBはこの設定が不可能なのです。

白窓君をジョイスティックAに繋いで使う人は居ないでしょうから、
読み込み機能は搭載してもムダという結論になりました。

2021年8月24日火曜日

X68Kの電源ユニット用の電解コンデンサーを注文

 X68Kの電源ユニットのオーバーホールに使用できる電解コンデンサーを発注しました。
もっとも、X68Kの電源オーバーホールは本業多忙の為、受付中断中。
なので、すぐに使う予定があるわけではないのですが、
念のために若干用意しておこうと思った次第。

以前からオーバーホール向けの電解コンデンサーは持っていたのですが、
肝になる電解コンデンサーがネックになっていました。
購入当時、一番ESRが高い代物を選んだのですが、それでも稀に発振してしまう感じ。

発振対策改造もイマイチ安定感が出ないので、
違う電解コンデンサーを探していたのですが、やっと見つけたというところ。

普通の電子工作ならば、ここで詳細を記載するところなんですが、
これに関しては あえて詳細を伏せさせて頂きます。
というのは、電源ユニットの中に手を加えるわけなので、
素人が手を出すべきではないからです。

実際、肝になる電解コンデンサーに日ケミのKMGシリーズを推奨してる書き込みを
見かけたこともありますが、これは論外です。

そういうわけで、情報を出し惜しみしているように受け取られると心外なのですが、
詳細を書かないようにしております。
一応ヒントだけ書きますと、購入先はDigi-Keyです。 
電源に詳しい方ならば、これで探し出すことが可能かと思います。

懸念点としては、この電解コンデンサーは仕様的にレアで、
現状はほとんどニーズが無いんじゃないかと思われるところ。
なのでますます入手性が悪くなるか、最悪入手不可になる可能性も。

今後もX68K電源のオーバーホール需要が続くようならば、
この電解コンデンサーもある程度抱えておいた方が良いかもと思ったり。

2021年2月15日月曜日

X68Kcompactをご開帳

 オーバーホール&修理でお預かりしてるcompact、
ちょこっと時間空いたので手を付けてみることに。

ご存知のようにcompactの筺体はネジ1本で留められてて、
他はツメで留められてるという、面白い構造。
マンハッタンシェイプ機よりもペラペラのシールド板が使われてるので、
注意しないと手をサックリやってしまう。
なので、手袋を使用しながら注意して分解。

今回頂いてる問題点は2つ。
1つ目は電源が落ちないという点。
2つ目は音が出ないという点。

まずはサクっと電源を見てみることに。
本体から外して中を見てみると、結構キレイ。












見た感じ、液漏れの気配無し。
部品が壊れてる雰囲気も感じません。

この状態で電源投入。
問題無く電源ユニットは稼動します。
本体へ行くコネクターは
1・2・7番ピンがGND
3番ピンがコントロール
4番ピンが常時給電5V
5番ピンが-12V
6番ピンが+12V
8・9番ピンが+5V
という配列になっているので、各ピンの電圧をチェック。
無負荷状態なので、電圧値自体は優劣判定に使えませんが、
各部が生きてるかどうかの大まかな目安になる。

ということで、とりあえず各系統とも生きてる模様。
で、最後に3番ピンをGNDに繋いでみると、電源ユニットが停止する。
つまり電源ユニットのコントロール回路は正常ということですね。

ということは、このcompactの電源が落ちない原因はメイン基板側と。
んーーー、ちょっと やっかいな話に。

2020年1月22日水曜日

X68K同人開発支援プロジェクト

X68Kのユニバーサル基板はサンハヤトから販売してされていましたが、
もうすでに製造中止で入手不可。

ならばユニバーサル基板をリリースしたら喜ぶ方が居るかも?
という会話の中から生まれたのが今回のプロジェクトです。

ユニバーサル基板を作ればいいだけかな?と思ってたましたが、
よくよく考えると、皆さんその上に回路を組むわけです。
ならばいっそ、基板CAD用のデーターとしてリリースした方が、
昨今の環境だと喜ばれるかも?という流れで、
ユニバーサル基板というハードではなく、
CAD用のデーターとして領布する形にいたしました。

なお、このプロジェクトにて頒布する基板データーは自由に改変可能です。
商用基板開発に使用頂いても構いませんが、
元データーの不具合による責は負いかねる点のみ、ご了解ください。

最初にリリースするのは名称「UNIV1」というタイプ。
X68Kの拡張スロット用基板に、プルアップ抵抗まで載せたタイプです。
フリースペースにはスルーホールを並べてあります。

最初にリリースするのはKiCAD Ver5用データーです。
以下からダウンロードしてください。
https://drive.google.com/file/d/1QXh01BbsrLNZAzXhm7OsFxQLmN8AI60V/view?usp=sharing

KiCADのVer4以前では正常に扱えませんので、
必ずVer5以上で開くようにしてください。


その他のCADとしてはDesignSparkPCBとEagleも検討中です。
また、今回リリースしたUNIV1の他に、更にデーターバスバッファを追加した
「UNIV2」も計画中です。
他にも何か要望がございましたらメール・ツイッター等で連絡ください。