2023年5月27日土曜日

PICマイコンのTimer1

 今回は8bit PICマイコンのTimer1についての話。

初期のPICマイコンにはTimer0という8bitのタイマーが1つだけ載ってました。
その後、PICマイコンの機能拡張として、16bitのTimer1が追加されたという経緯。

Timer0だけでも、割り込みをうまく使えば各種時間管理を行うことは可能ですが、
PICマイコンの基本方針はハードをうまく利用することでソフトの負担を軽減する事なので、
Timer1の追加実装は ありがたかったわけです。
特に私のようなハード屋にとっては。

さてここからが今回の本題。

Timer1が16bitのカウンターである旨は先に書きました。
しかしPICマイコンが8bitである以上、そのレジスターは1つというわけいきませんね。
なので、上位・下位の8bitレジスター2つで構成されているわけです。

そうなると、カウンター値を読むためには2つのレジスターにアクセスする必要があります。
さて、Timer1が動作中にカウンター値を読み込もうとしたら、どうなるでしょう?

2つのレジスターからの同時読み込みは当然無理ですから、
順番に読み込むことになります。
1つ目のレジスターを読み込んだ後、2つ目のレジスターを読み込む前に
カウンター値の桁上がりが発生してしまったら!!

もう少し解り易く、実例を書きますね。

カウンター値が0x01FFの時に、そのカウンター値を読み取ろうとします。

カウンター値 0x01FF = 上位が 0x01・下位が0xFF です。

まず、下位のカウンター値をレジスターから読み込みます。
  カウンター値 0x01FF
  読み込んだ下位値 0xFF

次に上位のカウンター値を読み込もうしますが、
ここでカウンターのインクリメントが発生し!
  カウンター値 0x0200

そして上位のカウンター値をレジスターから読み込みます。
  既に読み込み済みの下位値 0xFF
  読み込んだ上位値 0x02

すると、読み込んだカウンター値は
見かけ上0x02FFになってしまうのがご理解頂けますか?

本来ならば0x01FF もしくは 0x0200という値が得られなきゃならないところです。
しかし大幅に異なる値が取得できてしまう事態が起こるんですね。

もちろんこの問題はメーカーも把握しておりまして、
MicrochipとしてはTimer1へのアクセス時、
一時的なTimer1の停止を推奨しておりました。
しかし、外部信号入力によるカウンターとして使用していた場合、
一時的にTimer1を停止させるアクセス方は誤差要因になりうるわけです。

と、言うわけで!!

最近のTimer1は更に改良されております。

具体的には、上位カウンターのレジスターに、バッファーが噛むようになりました。
下位側のレジスターへアクセスすると、
それと同時に上位カウンター値がバッファーと同期するのです。
これは読み込み時のみならず、書き込み時も同様です。
これにより、先に書いたようなタイミング差による問題が解決されました。
なかなかにGJです、Microchipさん。

バッファーが追加? レジスターが増えたの?
いやいや そんなことは有りませぬ。
従来、上位カウンター値のアクセスレジスターが、
バッファーアクセス用のレジスターに変わっただけです。
なので見かけ上、実装されてるレジスターは以前と同様です。

ただ1点、アクセスする順番だけが規定されました。
読み込む際は下位->上位の順、
書き込む際は上位->下位の順です。
これを間違うとバッファーと上位カウンターの同期タイミングがおかしくなるので、
カウンター値がおかしくなってしまいます。

ともあれ、いちいちTimer1を停めなくてもカウンター値を読み書きできるのは
非常に便利ですね。

この改良型Timer1ですが、実装されたのは さほど古くありません。
少なくとも、一時期人気だったPIC16F193xシリーズには載っていません。
最近お気に入りのPIC16F18456には搭載されております。
ですので、この間にリリースされたPICマイコンを利用する際は、
個々に確認が必要と思われます。

2D-CADと3D-CAD

 先日、某社を訪問した際、3D-CADへの移行をお勧めしたのですが、
的外れと思われるような理由で却下されてしまいました。
真っ当な理由で導入を見送られるのなら、仕方ないなぁと思うところですが、
???と思うような理由を挙げてくると、即座に反論できなかったんですね。

帰ってきてから、先方が言いたいことを改めて考察してみて、
気が付いた点があるので、ここに書いてみます。
それは・・・

2D-CADと3D-CADを同種のツールと考えている。

という点です。


つまり先方は3D-CADの事を機能の増えた2D-CADと見ている模様なのです。
それはまんま、2.5次元CADと比喩されるAUTOCADの事であって、
3D-CADとは明らかに異なります。

皆さん、2D-CADで図面を書いていたならば、
設計作業を行っている、と捉えられるかと思います。
実はここに勘違いのポイントが存在します。

2D-CADで作っているのは部品ではなく図面なのです。
つまり、設計作業ではなく作図作業を行っているのです。

こう書くと、いやいや俺は設計作業してるぞ、と思われる方も居るでしょう。
それは、設計作業を頭の中で行っているのです。

頭の中で行った設計を部品単位にバラシ、
それを図面化する為に2D-CADで作図している、というのが全容です。

 

では3D-CADの場合はどうなるのか?

3D-CADは作図のツールではなく設計のツールです。
なので、今まで頭の中で行っていた作業の一部をCAD上で行うのです。
頭の中で思い描いている製作物をデーター化するのが3D-CADという話。

それじゃー、頭の中で設計できる人なら3D-CAD要らなくね?
いやいやそうでもないんです。

人の頭の能力には限界があります。
形状は思い浮かべても、サイズも含めた正確なスケールで思い描ける人は、
ほとんど居ないかと。
なので干渉チェック等は3D-CADを使わないと厳しいのです。

頭の中で ぼんやり完成してる製作物を
キッチリと形にするのが3D-CAD、という話です。


最初の某社でも「データー」という言葉が出てきました。
データーの互換性うんぬん・・・・という話です。
でもここまでご理解頂けたなら、この「データー」についての指摘も
的外れなのがご理解いただけるかと。
2D-CADのデーターは「製図データー」なのに対し、
3D-CADのデーターは「設計データー」なのです。
この間に互換性など取れるはずもありませんよね。

2023年5月26日金曜日

基板製造が進まないなぁ

 取引先の方から、ガーバーデーターを渡すので生基板を作って納品してと、
依頼をいただいたのが先週の話。
頂いたガーバーデーターは うちが利用している基板屋さんの仕様に
合わせて設計されているわけではないので、
うちで一旦中身を確認してから発注する流れになります。

そして実際にデーターを見た感じでは、
「う~~ん、これ、グレーゾーンだなぁ・・・」という雰囲気。
基板屋さんサイドから嫌がられる設計になっているのですわ。

今まで国内の基板屋で作成した実績が有るらしいというのが ちょっと不思議。
結構な確率で断られそうな気がする代物。

しかし私がよく利用している中国の基板屋さんは大陸気質なのか、
大抵は引き受けてくれるんですね。
まぁ設計に問題が有れば、その分 出来上がりの質も落ちるのですが。

とりあえず、確実に必要な部分をちょこっと加筆してデーターを投げました。
もしダメだったら何か言ってくるはずだべと。

すると、データー検証に 通常よりもやや時間かかったものの、
何も連絡が来ずに製造段階に進んだんですね。
お、とりあえず何とかなったみたいだ、と安心していたわけですが・・・・

製造段階の途中で、全く進行度が上がらなくなってしまいました。

単なる両面基板なので、プロセス的に時間がかかるということはありません。
何より、同時に発注した私向けの基板2種類は既に製造上がっているんです。
ということは、間違いなく製造段階でトラブったということですね。

懸念していた事態なので、それほど驚いているわけではないのですが、
同時に発注した基板の片方はヒートガンカウンターの基板なのでした。
つまりヒートガンカウンターの試作が滞ってしまってるという話。
とほほほほ


その問題の基板ですが、設計上、何がどうまずいのか、
何かの機会でお話ししたいところですね。
やはり基板設計の勉強会を早々に企画するべきか・・・・・

2023年5月23日火曜日

かすかべ湯元温泉 プレオープン

 春日部に在る温浴施設、「かすかべ湯元温泉」が
リニューアルオープンしてました。

リニューアルの為に一時閉館したのが数年前。
最初の告知では1年以内に再オープンのはすだったのに、
その後 何も音沙汰無く、このまま消滅かと思ってたのですが、
今日、何気なくサイトにアクセスしてみたらオープンしてるじゃないですか!!

これはやはり、偵察に行くしかあるまい、
というわけで早速行って参りました。

車で行ったわけですが、家のあたりは特に問題無かったものの、
春日部市に近づくにつれ、雨が激しくなってきました。
かすかべ湯元温泉に着く頃には豪雨!
実は油断して雨対策してこなかったもんで、車から出られない!(笑)
かすかべ湯元温泉の駐車場は完全屋外なのです。
出入口からかなり近いところに車を停めたものの、
それでも館内に駆け込むまでにはビショ濡れ必至。
仕方ないので雨が弱くなるまで車の中で待機。

・・・・・・・・

5~10分くらい待っていたところ、少し雨が弱くなってきまして、
普通の雨降りくらいの感じになりました。
これなら駆け込めるかな?と、準備を整えていざ車から降りた途端、
「ざぼん!」
へ?
なんと、車の中で待ってる間に、駐車位置が池になってました。(;;

ここは駐車場の角地なんですが、どうやら水が溜まりやすい場所らしい。
壮絶に降ったもんで、排水も追いついておらず、
ここにガッツリ溜まったというオチ。

推定で15~20cmくらいの水深でしょうか。
もう靴がガッツリ浸水してます。
いくら防水の靴と言っても、上から入ったんじゃ勝てませんねぇ。

とりあえず車内に戻り再検討。
このまま館内に強硬突入も考えましたが、よく考えたら替えの靴下を持ってきてない!
こりゃアカンというわけで、急遽 靴下購入の旅へ。
ちょっと走るとドラッグストアを発見。
最近のドラッグストアは衣類や食料品も置いてて、
ちょっとしたスーパーマーケットみたいな感じ。

そのお店の前の道路から駐車場も冠水してて、なかなかに笑えたのですが、
とりあえず無事に靴下はゲット。
改めて かすかべ湯元温泉へ。

今度は安全な場所に車を停めも小雨の中を走って入館。

外観はパッと見、さほど変わっていない気がしたのですが、
中はすっかりキレイになってました。

靴箱スペースを半分潰し、飲食店スペースへ。
温浴施設への入館不要で、この店だけ利用可能にする為なんでしょうね。

各種管理はすべてICタグを利用する様になってました。
この方式、私は割と好きです。

受付にICタグを提示し受付処理。
次にタオルを受け取ります。
タオルは入館料に含まれていますが、館内着は別料金です。

なんやかんやで入館したのが20時近くだったもんで、
館内の飲食店は全て営業が終了してました。
メシは出てから食うしかないですね。

メシが食えないならば、ボディケアかあかすりだけでも・・・・
と思ったものの、どちらも予約が取れず。
スタッフが少ないのかな?

まぁとりあえずお風呂へ向かいます。
なぜかロッカールームの入り口にゲートが有りまして、
それをICタグで開け、中に入ります。

ロッカールームは以前と同じスペースですが、中はピカピカ。
ロッカーも新調したみたいです。
このロッカーのみ、ICタグとは紐づかない仕組みになってまして、
どこでも好きなロッカーを使用できます。
ICタグとロッカーキーは別という方式です。
K&Hグループで宿泊すると このスタイルになるので、
私は違和感なかったのですが、初見の方は戸惑うかもしれませんね。

いざ浴室へ。
浴室も大幅に手が加えられてるというわけではありませんが、
かなり綺麗に清掃されてる感じ。
年季は感じませんでした。

ざーーっ眺めたところ、浴槽が2つほど減ってる模様。
ここの浴室は、浴槽の数は多いのですが、中身はほとんど一緒。
中身の種類で言うと3種類くらいしかなかったのですが、
その1つが潰されていました。
残る1つ「薬湯」も他の浴槽と同じお湯になっていました。
つまり、浴槽の数は多いものの、中身は全て一緒(笑)

この辺は好みが分かれるかもしれませんね。
ちなみに中身は全て天然温泉です。
(つまり白湯の浴槽も無し)

しかしここのお湯、温度が私の好みに近いんですね。
なのでそんなに評価は悪くありません。
ゆったりのんびり浸かりたい派なのでね。

お風呂から上がり、ジュースを飲みつつ館内を散策。

以前在った和食のお店と座敷スペースは無くなってました。
というか、建物自体は同じなんですが、
客が立ち入れるスペースが減ってますね。
まぁ無駄なスペースを無くして効率良くという感じなのかな?

以前、軽食のコーナーが有ったところはリラクゼーションエリアになってます。
結構広いです、ここ。
しかし、私が見たときにはスタッフは一人だけの模様。
なんとも もったいないですね。

ゲーセンコーナーも有りましたが、昔よりも縮小された感じかな?
ガチャガチャがメインという感じで、私は全く惹かれず。

リクライニングシートの休憩スペースも有りますが、
席数は そんなに多くない感じ。

トイレは完全に刷新されていました。
これはとても評価できますね。

実は かすかべ湯元温泉にはテルメゾーンとスポーツジムも有ります。
スポーツジムは別途会員料金が必要で、
テルメゾーンは水着が必要。
ということで どちらも私は利用してません。
ですがテルメゾーンは割と規模が大きいこともあり、
家族連れにはいいかもしれませんね。

というわけで、結局、入浴だけ終わってしまった偵察ですが、
よく見てみると「プレオープン」と記載されています。
そう、実は今は「本営業ではない」のでした。

なんか微妙に不便だなぁと感じたのも、
ひとえにプレオープンだから ということでした。
ならば本営業に期待がかかるところですが、時期は未定とのこと。
まだまだスタッフさんの試行錯誤は続いてるんでしょうね。


2023年5月18日木曜日

ヒートガン・カウンターの製作 その1

 先の記事で検討を進めた「ヒートガン・カウンター」ですが、
いよいよ製作に手を付けることとします。

基本的に私が使う為の機器なので、量産は考慮しておりませんので、
一品物という位置づけです。
その為、試作品=実用品という感じになります。
まぁ、他に欲しいという方がいらっしゃれば、お分けすることも可能ですが。

 

さて、実際の製作工程ですが、まず最初は基板の設計。
次にケースの設計という段取り。

基板に実装されてるカウンターの表示部が
ケースから出ることになるので、
基板の設計が固まらないとケース設計が確定しません。
なのでまず最初に基板の設計です。
とは言え、ケース内の配線をある程度頭の中で描いておかないと、
基板上のコネクター配置が決まりませんので、
そういう意味では平行して設計を行うとも言えるかもしれません。

 

基板設計の最大のネックは負荷電流の測定方法ですが、
まずは専用ICを使う方法を試してみることにします。
具体的にはAllegro社のACS724という石を使ってみます。
この石は秋月電子で販売しているので入手性が良いからです。

秋月電子のサイトを見ると、電流測定用ICというのが他にも見つかりますが、
交流も測定できるのはこのACS724だけです。
ただ、SOPパッケージなので、ブレッドボードやユニバーサル基板にて、
お手軽に試すことが難しいのが残念なところ。
変換基板を使えばいいのでは?と思われるかもしれませんが、
この手の電力を扱うICの場合、それを考慮した変換基板じゃないと、
問題出る場合あるので要注意なのです。

このACS724、データーシートを見ると複数のバリエーションが存在してますが、
秋月電子で扱っているのは1タイプのみ。
測定範囲が±10Aの交流測定可能型です。
こんな小さなパッケージで10A流せるのも凄いと思いますが、
最上位タイプはなんと±50A!!
どんな基板設計になるのやら・・・・・・・

今回のヒートガン・カウンターでは最大でも5A測れれば十分なので、
秋月電子に置いてある石で問題有りません。

交流を測定するにもかかわらず、この石の電源は+5Vの単電源。
どんな出力が出てくるの?というのが最初の疑問。
しかしデーターシートを見ても、いまいちピンと来ないんですね。
ならば実際に動かしてみるのが てっとり早い!

バラック風に最低限の動作可能なものを組んで、出力信号を見てみました。
すると、解ったことは以下の2つ。

①測定電流がゼロの時は、出力に+2.5Vが出てくる。

②測定電流量に応じて、出力電圧が変化する。
 電流方向が+の時は電圧が上昇、
 電流方向が-の時は電圧が減少です。
 なお電圧の変化量はリニアスケール。

要するに、ICの電源電圧の半分である2.5Vを中心として、
電流量と電流方向に応じた波形が出てくると話でした。
仮に交流信号を流した場合、2.5Vを中心とした正弦波形が出力されるということです。

ACS724の出力信号については理解できました。
問題は これをどうやって電圧値に換えてやろうか?という話。
今回の場合、あくまで目安の値が取れれば十分なので、
測定器のような精巧さで変換を行う必要ばありません。
しかしこの波形は ちょっと面倒です。
交流電圧を直流電圧に変換して読むとしたら、
ローパスフィルターで均してしまうのが簡単ですよね。
しかし今回の波形の場合、ローパスフィルターから出てくるのは+2.5Vの電圧です。
これは電流値にかかわらずです。
この変換については ちょっと考えてみることにします。


その他の回路についてですが、まずは電源。
今回はACS724のおかげで+5V単電源で済みそうなので、
電源トランスは使用せず、モジュール型のSW電源を使用することに。
具体的にはMEAN WELL社のIRM-01-5を使うことにします。

これは基板実装型の電源モジュールで、
AC100~200Vを入力するとDC5V 0.2Aを出してくれます。

この手の基板用モジュール型電源は国内メーカーも含め以前から存在してましたが、
単価が高いので あまり好んで使いたい代物ではありませんでした。
しかしMEAN WELL社のこの製品は それらと比べるとお手軽な価格なので、
採用しやすいかなという印象です。

電源トランスを選択しなかった理由は もう1つありまして、
基板実装のトランスだと容量が心許なかった為です。
マイコンやACS724程度であれば問題無かったのですが、
今回はカウンター表示に7SEG-LEDを使用する予定。
これが そこそこ電流を消費するわけです。
IRM-01-5であれば0.2Aまで取れるので、これだけあれば足りるはずです。
電源トランスよりも高さが低いので、ケースが薄くできるというメリットも。


カウンターのリセットは電源リセット式とします。
つまり、リセットしたいときは電源を切るというもの。
この手のカウンターだと、リセットSWを設けるのが一般的かと。
私もその線で検討していましたが、よ~~く考えてみると、
リセットSWでカウンターを初期化する場合が存在しないようなのです。

工場ラインとかで常時稼働する装置であれば、
電源SWとは別にリセットSWを設ける必要がありそうですが、
今回のヒートガン・カウンターは、ヒートガンを使用する時だけ、
一時的に使用する装置です。
平時は電源が切られている状態であることを考えると、
電源リセットで十分だろうという結論に達しました。


最後にケースですが、本体は3Dプリンターで出力するABS製でいきます。
一品物かつ、自分で使用する代物ですから これで十分ですね。
ただ、電源SWとヒートガンを繋ぐACコンセントについては、
はめ込みタイプを使用する予定。
するとABS製だと しっかり止まらないという問題が!
なので、電源SWとACコンセントを付ける面については、
金属のプレートを使用することにします。
はい、おなじみのmeviy製ですね。(笑)
切削加工品だと それなりに高くなってしまいますが、
今回のようなケースだと曲げ板金で十分なので、
一品物としては問題無いレベルの価格で済みます。
更にせっかくの機会なので、先日始まったばかりの刻印サービスも使ってみようかと。


という感じが現在の状況です。
基板の回路の詳細については、試作が進むにつれて記載していくつもりです。

2023年5月17日水曜日

7SEG-LEDのドライブ

 最近は液晶表示パネルが安価になってきたこともあり、
以前よりも7SEG-LEDの出番は減ってきたように思います。
とは言え、まだまだ7SEG-LEDの出番は残るでしょうし、
先の記事の「ヒートガンカウンター」でも、表示器として7SEG-LEDを使用します。

さてその7SEG-LEDを使用する際、
皆さんはどのようにドライブしているでしょうか?

ここで私の個人的な好みも含め、いくつか掲示してみることにします。

まず前提として、7SEG-LEDの制御を行うのはマイコンとします。
7SEG-LEDはアノードコモン型を使用します。
参考回路は概念図で、実際に必要となる抵抗・コンデンサー等は
大幅に省いております。

①スタティック点灯










 

 

 

各セグメントLEDを出力ポートでドライブします。
各素子にそれぞれ出力ポートを割り当てる、非常に単純な回路です。

 

②ダイナミック点灯









 

 

7SEG-LEDのドライブ方法として、結構ポピュラーですね。
スタティック点灯式よりも出力ポート数が少なくて済みます。
各桁の7SEG-LEDを順番に点灯させるので、
点灯LEDが常に動くという点から「ダイナミック」という名称に。

 

③専用IC方式 その1

7SEG-LEDをドライブする為のICというのも世の中に存在します。
以下は74ロジックICシリーズの中から7447を使用するケースです。











 

マイコンから7447へは4ビットのBCD値にて表示値を指示します。
それを7447がデコードし、7SEG-LEDを駆動します。
上の図ではスタティック点灯方式になっていますが、
7SEG-LEDのコモン側にトランジスターを噛ますことで、
理論上はダイナミック点灯させることも可能ですが、
上記のダイナミック点灯方式と比べるとメリットが薄いと思われるので、
7447を使用する際はスタティック方式を推奨いたします。

仕様上、7447にはドットを点灯させる機能は無い為、
ドットを点灯させたい場合は別途ドライブする必要があります。

 

④専用IC方式 その2

前述の7447は割と低機能なICですが、
ここではインテリジェントな制御ICの例として、
東芝のTB62785を紹介いたします。







 

7447と異なり、TB62785は遥かにインテリジェントな石です。
このIC1個で最大4桁までドライブできます。
マイコンからはSPIに似たシリアル信号線で制御されます。
7SEG-LED自体はダイナミック方式でドライブしていますが、
その制御はTB62785自身が行うため、マイコン側が意識する必要はありません。


 

以上、4種類ほど挙げてみました。

「スタティック点灯」は一番単純な仕組みですが、
桁数が増えると必要な出力ポートがガッツリ増えるので、
回路規模が大きくなってしまうという難点がありますが、
逆に桁数が少なければ内容が単純で済むので、デバッグも割と楽です。

 

「ダイナミック点灯」は出力ポート数が少なくて済むものの、
7SEG-LEDのアクセス動作が止まると7SEG表示もおかしくなります。
その為、4種類の中では一番デバッグが面倒です。

桁数が多い場合の要注意点を挙げておきます。
ダイナミック点灯方式では、点灯しているのは1桁のみです。
各桁を順番を点灯させることで、見かけ上全てが点灯しているように見せてます。
従って通常の輝度光らせると、見かけの明るさは非常に暗くなります。
なのでダイナミック点灯では通常よりも多くの電流を流し、
見かけの明るさを補完するという設計になります。
この際の電流値は通常点灯時より遥かに多い値です。

ではダイナミック点灯のドライブが何らかの原因で停止した場合、どうなるでしょう?
全桁が消灯する様になっていたなら大事には至りませんが、
そのような安全対策の仕組みすらも停止してしまった場合、
任意の桁1つのみが連続点灯する事態に陥ります。
この際に流れる電流は上記に書いた様に通常点灯よりも多いので、
ワーストケースとして7SEG-LEDが焼けてしまいます。

ダイナミック点灯方式の注意点として、留意しましょう。


「7447方式」は上記ダイナミック点灯方式のデメリットが無く、
かつ必要な出力ポートが少なくて済むのがメリットです。
7447に関しては7SEG-LEDを繋ぐ端子がオープンコレクタタイプで、
耐圧が15Vという設計になっているので、
7SEG-LEDの点灯用電源を高圧にする、なんてことも可能です。
7447間を連結することにより、上位のゼロを自動的に消灯する事も可能です。
(上位ゼロサプレッション)
また、LTピン入力にて強制的に全点灯させる機能も有ります。

半面、ロジックICが桁数分必要となり、そのICの入手性も悪化している事、
74シリーズである為5V動作である点が難点として挙げられるでしょう。
接続する7SEG-LEDも、アノードコモン型に限定されます。

なお、7SEG-LEDの文字形を変更した74247等、
ファミリーICが存在している点も記載しておきます。

 

 「TB62785方式」は非常に高機能で使いやすい石です。
IC1個で4桁までドライブできると記述しましたが、
TB62785をカスケード接続することにより桁数を増強することも可能です。
7447同様、7SEG-LEDの点灯用電源は専用入力となっており、
最大で17Vまで対応可能です。

7SEG-LEDの輝度はR-EXTピンに接続した抵抗にて調整します。
その為、7SEG-LEDに繋ぐ抵抗は不要となり、
大幅な部品削減が可能です。
もちろん抵抗の代わりにボリュームを使用することも可能です。
なお、TB62785の内部レジスタにもデューティー比の設定が有るため、
マイコンからの制御にて輝度変更も可能です。

シリアルポートは事実上SPIポートと同様なので、
マイコンからの制御も さほど難しくはないでしょう。

マイコンとの通信部を含む制御回路部の電源が5Vなので、
3.3V動作のマイコンとのインターフェースには一捻り必要となってしまいます。
TB62785は高機能な分、7447等のロジックICよりは高価です。
桁数が少ない場合には、部品代が高くなってしまう懸念があります。


以上、ざっくり記載してみましたが、参考になれば幸いです。

2023年5月12日金曜日

ヒートガン・カウンターの製作検討

 これは売り物でなく、あくまで私が使用する為の治具機材の話です。

外注として請けてる作業の中で、ケーブル加工というものがあります。
普通、ケーブル加工はケーブル屋に依頼するものですが、
加工作業にちょっと特殊な内容が入っていると請けてくれないのですね。

一般的なケーブル屋は量産工程に絡む業者なので、
単価が取り沙汰されるケースが多いわけです。
なので、一流の技術屋が固めてるケーブル屋というのは聞いたことが無く、
ほとんどの作業者はパートのおばちゃんというのが実態。

パートのおばちゃんと言えども、数をこなしていますから
それなりにハンダ付けの腕は悪くないわけですが、
所詮電子工作に精通しているわけではないので、
特殊な内容になると対応できないという話になってしまうのです。

余談になりますが、このケーブル加工という業種も、
広義のハード屋に含まれますから、上記のパートのおばちゃんもハード屋という扱い。
しかし所詮パートですから、時給は そんなに高くはありません。
ここらへんがハード屋の時給を引き下げてしまってる一端と言えなくもないですね。


さて、話を本題に戻しまして、
私が請けてる内容の1つに、コネクター取付作業というのがあります。
コネクターをケーブルにハンダ付けするという内容ですが、
ハンダ付けした個所は熱収縮チューブでカバーするというのかお約束内容。
この熱収縮チューブを収縮させるのに使うのがヒートガンです。

しかしボケた頭で作業していると、
ヒートガン加熱を忘れてカバーを付けてしまうという
うっかりミスの可能性がゼロではありません。

このポカ避け対策として、ヒートガンの使用回数をカウントすれば、
上記のミスの有無がはっきりするというわけです。

という経緯で名称「ヒートガン・カウンター」、略してHGCの製作検討を開始。

ヒートガンのスイッチから信号を引っ張り出してカウントすれば、
簡単にカウントできるのでは?と思われますが、
それだとヒートガン自体に手を加える必要があります。
ヒートガンは ある程度使用すると故障・買い替えが発生することから、
この方法は避けたいところです。

そこで、ヒートガンの電源ラインを監視し、
電流量でヒートガンのONを検知する方法を考えることにします。

電流量を測るとなると、ざっくり以下のような方法が頭に浮かびます

 

①電流経路に抵抗を噛ませ、その抵抗に発生する電圧を見る方法

ある意味、一番オーソドックスな方法ですね。
この方法が使えるなら、これがお手軽で安定感もあるところ。

しかし今回の場合、抵抗を噛ますのはAC100Vの電源線となります。
ヒートガンも小型のタイプとは言え、数百W消費する代物ですから、
電流値も4Aくらいは見込む必要があります。
すると噛ませる抵抗値も微小にする必要が有り、
それをオペアンプで増幅してやらなければなりません。
抵抗に発生する電圧は当然AC信号ですから、
これを増幅してDC信号に変換するというのは、
ちょっとだけ回路規模が大きくなります。
AC100Vラインの抵抗からの信号ですから、
回路全体がAC100Vラインと直結される形になりますので、
その点も考慮する必要があります。

 

②電流経路にCT(=カレントトランス)を入れ、電流値を得る方法

これはACの電流値測定ではもっとも一般的とも言える方法です。
電流経路とCTとの間は磁気結合なので、絶縁されます。
なので安全面で非常に有利です。
更にCTのターン数を増やすことで出力信号の振幅を大きく出来るため、
微小信号を扱う必要がなくなるのも利点です。
難点としては抵抗よりも高価なこと、
磁気結合を介するので抵抗式と比べると精度に限界があること、
そして最後にAC電源ラインに限定されることです。

 

③電流センサーICを仕様する方法

世の中にはセンサーを内蔵した電流値検出の為のICが存在します。
直流電流専用のみならず、交流電流にも対応している物もあります。
測定対象は交流電流でも、ICからの出力は直流で出てきますから、
マイコン等で処理するならば非常に好都合ですね。
難点としては数百Aクラスの大電流には対応できないことですが、
これは現実的に問題となるケースは少ないと思われます。
あとはICの入手性でしょうか?

 

余談として以下の方法も
④フォトカプラーを噛ませる方法

電流経路にAC入力のフォトカプラーを繋ぎ、
その出力をリニア値として処理し、電流値を得る方法です。
フォトカプラー自体は そういう使い方も可能なのですが、
フォトカプラーの入力はせいぜい数十mAが限度なので、
数Aの電流を測ろうとしたら、分流器を噛ませる必要があります。
分流器自体は抵抗で簡単に製作できそうと思いきや、
フォトカプラーの入力というのは発光ダイオードですから、VFが存在します。
このVFを含めた分流器の設計というのが非常に大変なのです。
ですので、この方法は事実上 選択肢に上がりません。


とまぁ、ここまで検討を進めておりました。
さて、どれにするかですが、実績を考慮するなら②ですが、
今回は③の方向で考えております。
丁度いいICが秋月電子の在庫に有る模様。
在庫は多くないようですが、今回は一品物なので問題になりません。

ということで、この話は 今後も続きます。

2023年5月11日木曜日

3D-CADの契約更新

 うちには、AUTODESK社のインベンターのライセンスが2本あります。
1つは作業場のワークステーションに入ってるもの、
もう1つはノートPCに入っているものです。

ノートPCのインベンターの契約が6月で切れる為、
契約更新の見積を大塚商会から頂いていたのですが、
最終的に この契約は切ることにしました。
というのも、いかに書く理由で費用対効果が非常に悪い為です。

そもそもノートPCのインベンターは、
「3次元CAD利用技術者試験」の受験用&外出先で3D-CAD設計作業の為、
という2つの目的で導入したもの。

1つ目の目的はまぁともかくとして、
2つ目の目的の方は、ワークステーション内のインベンターとの間で、
データー共有を行いたいという意向が元でした。

この2つ目の目的において、大問題が発生してしまったのでした。

ワークステーションのインベンターはバージョンが2019。
5年くらいの前のバージョンですね。
なんでそんな古いバージョンのものが使えているのかというと、
ワークステーション内のインベンターは永久ライセンス品という、
現在リリースされているものとは異なるライセンス品だからです。
なので保守契約を切ってもソフト自体は使用できるというわけ。
(保守契約が無いのでバージョンアップは出来ませんが)

それに対しノートPC内のインベンターは現行の代物なので、
サブスクリプションという形態の契約です。
ソフトの購入費用は無く、使用料だけを払えば良い代わりに、
契約を打ち切った時点でソフトは使用できなくなります。

このサブスクリプション契約、全てのバージョンが有効というわけではなく、
最新バージョンから3世代前までが有効なのです。
つまり、最新バージョンが2024ですから一番古いものだと2021までが有効。
2019は使用できないということです。

インベンターのネイティブデーターはバージョン毎に少しずつ変わってまして、
アクセスが保証されるのは1世代までなんですね。
つまりインベンター2019でアクセスできるのはインベンター2020のデーターまで。
ちなみにワークステーション内のインベンター2019は、
保守契約を切ったタイミングの問題で、全てのアップデートが反映されていない為、
インベンター2020のデーターにアクセスすることも出来ません。

要するに、ノートPC内のインベンターと、
ワークステーション内のインベンターとで、
ネイティブデーターの相互共有が不可なのです。

作業環境としては圧倒的にワークステーションの方が快適ですから、
3Dの設計作業は基本的にワークステーション側で行っています。
ではワークステーション側のインベンターを新しくすれば?
と思いきや、なんとこのワークステーションはWindows7なのです。
3D-CAD専用マシンではなく開発用のマシンなので、
もろもろの開発環境もインストールされております。
それを考慮するとWindows10へのバージョンアップはリスキー。
しかし現行のインベンターはWindows7が対象外。

とまぁそんなわけで、ワークステーションとノートPCでデーター共有しようとしたら、
インベンターのネイティブデーターではなくSTEPファイル等になっちゃうのです。
これなら別にインベンターである必要性が無い!!

というわけで、ノートPC側はインベンターを止め、
Fusion360に変更することにした次第。
使用頻度を考えても、こちらの方が費用対効果が好ましいですね。



2023年5月4日木曜日

チップコンの よた話

 国内のチップコンメーカーは収益性確保の為、
大きめサイズのチップコンの製造を止めていってるのは既知の話。

京セラもご多分に漏れず、ラインナップ再編に合わせて、
微小サイズ品へのシフトを進めておりまする。

そんな最中に「CM21X5R475K10AT」という製品を発見。
耐圧10V 容量4.7μFで、サイズは2012という代物。

これが超当たり品だった。

温度特性はX5Rなので、特に高性能品というわけではありません。
しかし、この位の製品ではDCバイアス特性の方が影響デカイわけでして、
その観点から見てみると、この製品は かなり良いのですよ。

そもそも耐圧10Vですから、もとより高電圧を印加できるわけないので、
そんなにDCバイアス特性が問題になるのか?と思うところですが、
DCバイアス特性が芳しくない製品は、たった3.3V加えただけで、
ガッツリ容量が減ってしまうんですね。

ところがこの製品、3.3V位で使う分には誤差範囲?って位しか減らないんですね。
それでいて安い!!

この製品、ラインナップ再編で完全に終了扱いなんですね。
後継品が存在しないのです。
なので入手できるのは市場在庫のみ。
処分価格になっているかなと思われますが、売価が安いんです。

唯一のネックは耐圧10Vという点ですが、
昨今は半導体の低電圧化が進行してることもありまして、
3.3~5V位での使用機会は少なくないわけです。

そんなわけで、様子見の意味も含め、1000個購入してみたのですが、
すぐに3000個リールも発注してしまった次第。
安いから こんな大人買いも出来るんですけどね。
4000個あれば、当分は足りるんじゃないかな?

値段と容量で考えると、秋月電子で売ってるJMK107BJ475MA-Tが近いところ。
しかしこっちはDCバイアス特性が劣悪なのです。
1608サイズだから やむをえない面もあると思いますが、
CM21X5R475K10ATと比較すると雲泥の差なのです。

余談ですが、某JMMCSCSIでは第2ロットからCM21X5R475K10ATが載ってます。