2024年11月17日日曜日

いやぁ、失敗失敗

 先日の15日の晩、私が主催の「基板作成パワーアップ1」を開催。
数人しか来て頂けなかったらどうしようと心配してましたが、
結果的に15人近い参加者が集まりまして、
会場のキャパを考慮すると大成功という結果でした。

何より、この内容に対する需要の存在を実感できたのが大きかったです。

と・こ・ろが、最初の発表者である私が いきなりのチョンボ。
ホワイトボードのPC上の基板CADのハイブリット形式の予定でしたが、
ノートPCの画面が会場の大型TVに映らない!!
これでは基板CADを使った説明ができないわけです。

急遽、ホワイドボードのみで発表を行いましたが、
かなり端折った内容になってしまいまして、ちとガックリ。

次回は ちゃんとした内容で発表したいと決意しておりますが、
そもそもなんでPCの画面が映らなかったのか?
帰宅後に気づいた(忘れてた?)のですが、
そのノートPC、HDMI出力を使う際はキー操作が必要なのでした!

他のノートPCはHDMIケーブルを挿せば自動で対応してくれるので、
全く思いもよりませんでした。

まぁそんなわけで、ノートPCの故障というわけではなかったので、
次回は大丈夫!(のはず)


ちなみに次回ですが、来年の2月くらいで考えております。
今回は会場費や軽食費等、全て自腹を切ったわけですが、
次回は某社が会場を提供して頂けそうな雰囲気。
大変ありがたいですね。

2024年10月19日土曜日

meviyからアルミ板金到着

 先月、meviyにお試しで発注してたアルミの板金が到着しました。


 

 

 

 

 

 

 

何がお試しだったかと言いますと、右側の箱形状は溶接品なのです。

 


 







 

 

 

ちと解りづらいかもしれませんが、縦に走ってる曲げ角にビートが見えます。
ここが溶接部です。
横に走ってる曲げ角も研磨痕が有るので溶接してる様にも見えますが、
ここは単なる曲げ加工です。





内側から見ると解り易いかな?


 

 

 

 

 

う~ん、凄いですね、アルミの溶接品ですよ。
こんなのが1個からお手軽価格で手に入るとは・・・・・
meviy恐るべし!!


使ってる板はヘアーラインが入ってる物でした。
アルミの溶接品の場合、ヘアーライン指定は不可能なので、
ヘアーライン無しの板が使われる可能性も有りそうです。

 

溶接部も含め、角部を研磨しているせいで、表面に結構研磨痕が残っていますね。
一応これでも体裁面に指定してあるのですが、仕方ないところかと。

 見栄えが問題になるケースでは表面仕上げ加工が必要になるかと。
でもmeviyの標準システムではオプションが用意されていないので、
担当者見積で相談することになると思います。
ただ、アルミの表面仕上げ加工は結構シビアなので、
それなりの費用を覚悟する必要があるかと。

材質や溶接の有無も含め、総合的に判断する必要があるでしょう。


さて、この板金ですが、新型の外気温モニター用に用意したもの。
基板は既に実装済みなので、早速組んでみます。


 

 

 

六角スペーサーを立てて基板を取付

 

 

 

 


 

 

 

そしてカバーを被せて完成

 

 







 

 

カバーと基板が当たってる様に見えますが、ちゃんと隙間空いてます(笑)


これで完成!!と思いきや、実は見えてる基板部にもカバーが付くんです。

ルーバー付きのカバーでして、板金では製作できないので、
3Dプリンターにて作製する予定でしたが、すっかり忘れてました。 テヘ

実際、基板上のPICマイコンのファームも未完成なので、
実働までは まだ先が長いです。


2024年9月23日月曜日

PICマイコンの在庫品種で唸ってます

 昔から愛用しているPICマイコンは、膨大なバリエーションを誇っていますね。
それがPICマイコンの売りの1つであると言えますが、
同時に扱いにくさの原因の1つとも言えるます。
一見さんには どれを選択して良いのか、迷う事間違い無しです(笑)

私もある程度の品種をストックしてあるわけですが、
当然ながらPICマイコン全体を網羅することは不可能ですので、
自分が扱える範囲で、なるべく汎用性あるものを揃える、という感じです。


そんな折、14ピンタイプのPICマイコンであるPIC16F1823のストックが少なくなったので、
補充を検討することに。
しかし16F1823は かなり年季の入っている石でありまして、
まだ入手可能とは言え、単価もさほど安くありません。

既に16F1823より高機能な石が安く流通している状況ですので、
必ずしも16F1823に固執する必要は無いわけです。

ただ、別な石を扱う場合には、アセンブラソースの叩き台を新たに作成する必要があります。
これがそれなりの手間でして、医師が高機能になるほど その手間は増大します。

それも踏まえた上で、新しい石を導入するか検討するわけですが、
更に今回、新たな課題が!!

それはMPASMのサポート限界

MPASMは長らく使われてきたPICマイコン用のアセンブラですが、
諸々の理由で既に更新停止されています。

MPASM自体が使用不可というわけではなく、
最近リリースされた石がサポートされていないという事なのです。

ちなみにPICマイコンのアセンブラ開発というのは普通に需要あるので、
当然ながらMPASMに代わるアセンブラーもリリースされています。
PIC-ASなどと呼ばれている代物で、純正Cコンパイラーに添付されています。

今後、アセンブラーで開発したければ これを使えという話なわけですが、
このPIC-AS、MPASMと互換性が無いのです。
そもそもCコンパイラーに添付されていることからも解るように、
Cと相性が良いアセンブラーになっているようなのです。

インクルードファイルからして別物なので、
どちらでもアセンブルできるコードを書くのは無理。
いやはや困ったもんですね。

ここで考えられる対応策は2つ。
1つ目は諦めてPIC-ASへ環境を移行すること。
その場合、旧ソースコードは随時修正が強いられます。
2つ目はMPASMが使える範囲内の石だけを使用するという手。
最新の石は使えませんが、従来の石には全くてを加える必要がありません。

結局、私が選んだのは2つ目の方。
当面はMPASMで開発を続けることにいたします。

さてそうすると冒頭の話に戻りまして、16F1823の補充をどうするかですが、
暫定として16F1825を手配することにしました。
これは16F1823のファミリーでして、メモリーが増量されています。
一応、アセンブラソースの叩き台は別物になりますが、
大半が同じ内容なので作成は容易です。

この16F1825も やはりそこそこ年季が入っている石なので、
更に新しい石も検討しておいた方がベターですね。

ということで調べてみると、14ピンタイプですと
16F18300番台や16F18400番台辺りがMPASMのサポート限界の模様。

機能面なら16F18426が最強の様ですので、
これを在庫品リストに追加しようと画策中です。

なお、18300番台と18400番台の差はA/Dコンバーターの模様。
(他にも有ったらごめんなさい)
18400番台にはADC2が搭載されています。
私はADC2を結構気に入っているので16F18426を選びますが、
従来のADCの方が良いという方は18300番台をチョイスですね。

余談ですが8ピンタイプには16F18313という石が存在しますが、
18400番台には8ピンタイプが存在しません。
現状8ピンタイプは16F1840をメイン使用していますが、
これを置き換える際は16F18313になりそうです。


18400番台がサポート限界と書きましたが、ここで要注意点を1つ。
PICマイコンの品番を見ると、16F180xxというシリーズも見つかります。
パッと見、18300や18400の下位品種の様に思えますが、
18400番台より後にリリースされた石なので、MPASMでサポートされていません。

手頃な価格なので つい選定しそうになりますが、ご注意ください。

2024年9月11日水曜日

外気温モニターの拡張 その4

 前回の記事で書き漏れが有った為、補足いたします。

前回、電圧レベル変換の方法についてお話しいたしましたが、
私が今回採用したのは3番目の「非同期シリアル信号変換」です。

その際、専用のレベル変換ICを使用する他にも、
ディスクリート部品で変換回路を組む事も可能と書きました。

実際、今回私が設計した回路ではディスクリート部品にて変換を行っています。

 

3.3V信号を1.8V信号に落とすのは抵抗分圧だけで済むので、
全く難しいことはありません。
注意するとすれば分圧回路で使用する抵抗の値。

抵抗値を上げると差動レシーバーの出力部の電流負荷は軽くなりますが、
マイコンの入力インピーダンスが低かった場合、電圧レベルが不足してしまいます。

抵抗値を下げるとマイコンの入力インピーダンスの影響は減りますが、
差動レシーバー出力の負荷が重くなってしまいますので、
双方のパランスを見ながら抵抗値を決める必要があるでしょう。
ちなみに今回は暫定値として、2KΩと2.4KΩの組み合わせにしてみました。
最終的には実働状態で電圧を確認する予定です。


問題は1.8V信号を3.3Vへ上げる部分です。

今回私が組んだ回路は以下のものです。


 




 

 

MOS FETとデジタルトランジスターの組み合わせです。
今回の装置は単発のデモ機のような物なので、
在庫品の中から部品チョイスしています。

MOS FETを使わず、DTA114のみで出力を駆動すると
入力側に3.3Vが印加されてしまうのと、
入力と出力でハイ/ローの極性が逆転してしまうので要注意です。

MOS FETの代わりにデジタルトランジスターを使う手も有りそうですが、
それについては後述いたします。

回路の動作としては入力がハイになるとMOS FETがONします。
するとデジタルトランジスターのベースがローに落ちるので、
トランジスターがONしてコレクタに3.3Vが流れ、出力がハイになります。

デジタルトランジスターには抵抗が内蔵されているわけですが、
この先の説明を話しやすくする為、内蔵抵抗も明記した図を下に載せます。






 

 

今回使用しているDTA114EUAは10KΩの抵抗2つを内蔵しております。
これでディスクリート部品全てが見える状態になりました。

R3は出力に対するプルダウン抵抗です。
DTA114EUAはPNP型ですので、
これはエミッタフォロア回路ではありませんのでご注意を。
出力をローからハイへ持ち上げるのはトランジスターの役割。
しかしこのトランジスターはローへ引っ張る機能は無いので、
ハイからローへ落とすのはプルダウン抵抗の役割です。
今回は暫定値として2KΩとしています。
抵抗値を上げると消費電力は減りますが、
トランジスターがOFFになった際、ハイからローへの変化が遅くなるので、
実際の波形と信号の速度を鑑みて、抵抗値を決めるのが良いでしょう。

DTA114EUAは3.3Vで駆動される形になります。
デジタル動作ですからトランジスターは飽和状態で動かすわけですが、
飽和度合いが強すぎるONからOFFへの変移に時間がかかるようになるので、
内部抵抗の選定は少し気を遣うと良いでしょう。

デジタルトランジスターの代わりにPch MOS FETを使うという選択肢も有ります。
その方が動作速度は遥かに高速です。
しかしデジタルトランジスターとは異なり、
ゲート周りに抵抗を外付けする必要が出てくるので、
ICを使う方が部品点数の観点から有利かもしれません。
RS-422程度の速度であれば、デジタルトランジスターでも十分と思われます。


RU1J002YNはNchタイプのMOS FETですので、
ゲートに電圧が掛かると、ドレインがGNDへ落ちます。
ゲート電圧が0Vになるとドレインがハイインピーダンス状態になりますが、
ローからハイに持ち上げてくれるわけではありません。
従ってここをハイに上げる為にはプルアップ抵抗が必須です。
その役割をデジタルトランジスターの内蔵抵抗が担っています。
MOS FETとデジタルトランジスターの組み合わせが便利なのはこの点でして、
ディスクリート抵抗を減らすことが出来るのです。

RU1J002YNの代わりにNPNタイプのデジタルトランジスターを使用する案ですが、
以下の2つの理由でMOS FET使用を推します。
1つ目は動作速度が落ちてしまう点です。
先にも述べましたがデジタルトランジスターは飽和領域で動作する為、
ONからOFFへの移行に時間がかかります。
RS-422程度であれば実用可能な速度は出ると思われますが、
MOS FETを使用し、動作速度に余裕を取っておいた方がベターでしょう。

2つ目は動作電圧の問題です。
ここの入力は1.8Vのロジック信号です。
この電圧で高速動作するデジタルトランジスターとなると、
品種選定がかなりシビアになるでしょう。
しかしRU1J002YNのような低電圧動作用のMOS FETならば問題ありません。
その点でも、ここはMOS FETを使用した方がベターと言えるでしょう。

 

R2はMOS FETのゲート入力抵抗です。
MOS FETは電圧動作なのに抵抗を入れる??
と疑問を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ゲートの入力インピーダンスは非常に高いので、
実際この抵抗にはほぼ電流は流れません。
実はこの抵抗とFETのゲート静電容量とでLPFを構成することで、
FETの発振防止に役立つのです。
ですのでこの抵抗が無くても回路自体は動作しますが、
挿入しておく方が好ましいでしょう。

R1は入力信号に対するプルダウン抵抗です。
今回、ここの入力はPICマイコンへ繋がります。
ブート直後、PICマイコンの各I/Oピンは
プルアップ/プルダウン無しの入力状態になります。
つまりそのままだとMOS FETのゲートがフローティング状態に近くなります。
ノイズ等、何らかの原因でMOS FETのゲートに電荷が入ってしまうと、
一時的に出力がローになってしまいます。
それを確実に防ぐため、プルダウン抵抗で確実にローに落とすようにします。

そもそも何故ブート時に出力がローになるとまずいか、を補足します。
このレベル変換回路を通って差動トランシーバーを駆動するのですが、
マイコンから差動トランシーバーへ行く信号の1つが、送受切替信号です。
これはローになれば受信状態、ハイにすると送信状態となります。

ブート時に基板外に信号が出る状態というのは避けなければなりません。
従ってブート直後は送受切替線をローに保つ必要があるのです。

2024年9月10日火曜日

外気温モニターの拡張 その3

 前回の時点で、半二重RS-422にて壁越えを行う方針が決まりました。
次の課題は電圧レベルの差です。

先に述べたように「かんたんスマートモニター」側は3.3Vのシステムに対し、
BME280は標準1.8Vのセンサー。
それをどう繋ぐか、という話ですね。

半二重RS-422を使うので、トランシーバーとマイコンが追加されました。
それも加味した図が下記。




 

電圧レベル変換の対処法は複数考えられます。
それぞれ見ていきましょう。


1.オール3.3V案


 


 

先に書いたようにBME280自体は3.6Vまで印加可能ですので、
センサーも3.3Vで駆動してしまおうという案です。
細かいことを考えなければ、これが一番単純ですね。
センサーの発熱が増えるでしょうから測定誤差の懸念が出ますが、
あくまで自分用として割り切ってしまえば、これも有りかもしれません。

 

2.SPI信号変換案

 



 

これはセンサーのみ1.8Vで駆動し、SPI信号で電圧レベル変換を行う案。
1.8Vと3.3Vの電圧変換というのは割と選択肢が少ないんですね。
(3.3Vと5Vの変換ですと結構選択肢が多いのですが。)

 ここで使用できる変換ICは大きく分けて2種類になります。
1つ目は単方向型ロジックIC。
もう1つは双方向型ロジックICです。

どちらも2電源入力タイプなので、今回の場合ですと1.8Vと3.3Vの両方を給電します。

単方向型というのはバッファーのように入出力が決まっているものです。
方向制御ピンにより入出力方向を切り替えられる物もこれに含みます。
今回の場合ですと、TIのTXU304がジャストフィットします。
たぶん、SPIバス用にリリースされている製品かと思われます。

双方向型ですと東芝のTC7QPB9306等、複数の製品が存在します。
双方向型の場合、信号の入出力方向の設定が存在しません。
任意の側から信号を入れてやれば、電圧変換された信号が反対側から出てきます。
これはI2Cバスでは非常に便利なので、昨今重宝されてる模様です。
しかしながらこのタイプはオープンドレインドライバーが基盤となっております。
従ってL->Hへの遷移時は外付けのプルアップ抵抗に頼る形になります。
プルアップ抵抗の抵抗値が高いと波形の立ち上がり時間が遅くなり、
データー伝送速度が抑制されてしまう点が要注意です。
SPIバスのような高速バスに使用する際はプルアップ抵抗をかなり下げる必要があり、
結果として変換デバイス部の消費電力増加に繋がってしまうので、
使いどころを見極める必要があると言えるでしょう。


3.非同期シリアル信号変換案




 

これはマイコンも1.8Vで駆動し、差動トランシーバーとの間で電圧変換する案です。
パッと見ではSPI変換案と大差無いようにも見えます。
SPIバス変換の場合は同方向×3+逆方向×1の、
いわゆる3+1という回路数になるわけですが、
非同期シリアル信号変換の場合は2+1で済みます。
更にSPIに比べると信号速度が遅目なので、選択肢が増えるんですね。

1つのICで済ませようと思うと、TIのTXU304やTXU0204辺りが使えます。

2+1で済むと記述しましたが、この内の1本は差動トランシーバーの送受切替信号です。
これはデーター線ほど高速に動く必要が無いので、
ディスクリートのトランジスターやFETでレベル変換させる事も可能。
そうするとデーター線は1+1のみで済むので、
TXS102やTXU102が1個で足りる事になります。

RS-422の速度を抑えれば、全てディスクリートデバイスでレベル変換も可能でしょう。
部品数が増えてしまうので、ここはお好みという感じです。


4.RS-422でレベル変換を兼ねる案


 


 

これは思い付きで頭に浮かんだ案です。

差動信号伝送というのはペアとなる信号線の位相差を使った信号伝達です。
つまり各信号自体の電圧レベルには依存していないという事になります。

ならば1.8V系システムと3.3V系システムを差動信号線で直結できるのでは?
と考えたわけです。

ここで出てくる問題点は以下の2つ。
1つ目は1.8Vで動作する差動トランシーバーが存在するのか?
2つ目は1.8Vで駆動する差動トランシーバーで3.3V信号を受けられるのか?
という点です。

探してみると1.8V動作可能な差動トランシーバーは存在しました。
ルネサスのISL32600シリーズです。
次の課題としては、この石で3.3V信号が受けられるかという点ですが・・・・・
残念ながらNGでした。

電源電圧に対する信号線電圧範囲はコモンモードレンジとして規定されています。
パッと見、この石のコモンモードレンジは必要十分な広さが有る様に見えますが、
よ~く見てみると、電源電圧に依存すると注釈が有ります。

なんと3.3V電源動作時は結構なレンジを有しているのですが、
1.8V電源動作時は±2Vのレンジしかありません。
これでは3.3Vの信号を入力することは不可能です。

ならばドライバーとレシーバーがピンレベルで分離しているISL32602を使い、
抵抗分圧で減圧した信号をレシーバーに入れるという案も考えてみました。
ところがこれも問題発生。
RS-422やRS-485では伝送路のインピーダンスマッチングの為、
両端に負荷抵抗を付けるのは 皆さんご存じかと。
ところがISL32600シリーズを1.8V電源駆動した場合、
出力ドライバーの能力の問題なのか、負荷抵抗が10KΩまでに制限されるとな。

さすがに10KΩだと まともにインピーダンスマッチングが行えません。
なので5mのケーブル伝送には使えないという事になります。
1.8V駆動の差動トランシーバーはISL32600シリーズしか見つからないので、
事実上この案は没ということになってしまいました。

余談ですが、3.3V系と5V系を繋ぐ場合には、この方法が使用可能です。
ISL32600シリーズの場合、コモンモードレンジが12Vまで有るので、
5Vの信号も余裕で受けられます。
たぶん他の石でも同様の余裕は有ると推測されます。
これは割と有用な手段かもしれません。

 

以上のような考察に基づき、回路設計と基板設計を行っておりました。
現時点は基板の発注待ちという段階です。
実機が動き出したら、この続きを書く予定ですので、
それまでは暫くの間、この話は休止です。

2024年9月8日日曜日

外気温モニターの拡張 その2

 前回は大雑把な全体像についてお話しました。

インターフェースとしてはSPIを使用するが、
電圧レベル変換が必要になるかも、というところで話が終わってました。

電圧レベル変換については後回しとしまして、
まずはSPIでの接続方法について検討していきます。

 

通常、SPIインターフェースでデバイス接続する際は、
マスター側とスレーブ側を直結するだけです。
データーINとデーターOUTの接続を間違えない限り、
特に難しい点はありません。

しかし今回は5mのケーブルを介しての接続ですので、
通常とは ちょっと話が異なってきます。

そこで私の頭に浮かんだのは以下の4つの方法です。

1.ダイレクト接続方法


 

 

 

 

 

各ユニットの出入り口にバッファーを噛ませ、各SPI信号線を直結する方法です。
メリットは回路が単純である事です。
デメリットしてはハイインピーダンス線を引き延ばす為、ノイズに強くありません。
使用する電線はシールド付き4芯キャプタイヤケーブルです。
通信速度の上限はケーブルの静電容量に支配されます。
オシロスコープにて波形を実測し、通信速度を決めるのが良いでしょう。

 

2.差動信号化方法





 

各SPI信号線を差動信号に変換する方法です。
メリットはノイズに強く、長距離伝送に耐えられる点です。
通信速度も結構高速化できます。
デメリットとしては各信号線毎にツイストペア線が必要となるので、
今回の場合だと4対のツイストペアケーブルが必要となり、
ケーブル外径がやや太めとなってしまい、価格も高めです。


3.フォトカプラーによる接続方法




 

 

 

 

 

 

 

これはちょっと珍しい方法かもしれませんが、
各ユニットの入出力にフォトカプラーを噛ませるという方法です。
フォトカプラー間の通信線は「かんたんスマートモニター」、
及びセンサーユニット部から電気的に完全絶縁されるので、
ユニット間絶縁が重要視されるケースでは重宝するでしょう。
フォトカプラーは電流駆動となるので信号線のインピーダンスが低く、
ノイズ耐性も非常に高くなります。
デメリットとしては消費電流が多くなる点と、高速通信が苦手な点でしょうか。
フォトカプラーの他にDC/DCコンバーターも必要なので、
部品代も高めになる可能性があります。

通信速度の上限はフォトカプラーの性能に支配されます。
高速通信を行いたい場合は、オシロスコープによる波形確認を行いましょう。


4.半二重RS-422による接続方法




実は今回採用する方法がこれです。
SPIの信号をPIC等のマイコンを介して非同期シリアルに変え、
差動トランシーバーにて通信するという内容です。
差動信号ですからノイズに強く通信速度も高速です。
(半二重式なので、それによる制限は発生しますが)
デメリットとしてはマイコンのファームウェア開発が必要となり、
開発工数が大きくなってしまう点です。

それでも今回、この方式を選んだ最大の理由というのが、
信号線が1対のツイストペア線のみで足りる点です。
現状、外気温をモニターするセンサーが存在するわけですが、
これはアナログ電圧値で「かんたんスマートモニター」に入力しています。
この信号線というのが1対のツイストペア線なのです。
この他に電源用のツイストペア線も走っているので、
合計で2対のツイストペア線が「かんたんスマートモニター」から延びています。

そこで半二重RS-422方式を使用すると、
現状のケーブルが そっくりそのまま流用できるのです。
外壁の通線加工が不要というのは かなり利点ですので、
工数のデメリットを承知の上で この方法を選んだのです。

通常、SPI通信は高速なので、フルにデーター転送を行われると
半二重のRS-422では送りきれません。
しかし今回の場合は通信頻度も少なく、データー量も少ないし、
リアルタイム性も求められないので特に問題にはならないでしょう。
ちなみにマイコンはマイクロチップのPIC16LF1823を使用予定です。

外気温モニターの拡張 その1

我が家では「かんたんスマートモニター」の連続稼働テストも兼ね、
外気温のモニターを続けております。
外気温だけでも見えるのは なかなか面白いのですが、
昨今の豪雨を顧みて、湿度もモニター出来ると面白いかも?
と思い始めました。

そのシステム変更について、ここで記事にしていきます。
割と長い文章になりそうなので、分割形式で記載いたします。

 

さて本題です。
湿度を測る為には湿度センサーが必要ですが、湿度センサーはピンキリです。
温度センサーのように割と簡単に精度が出せる代物ではない為、
価格と精度に かなりの幅が有ります。

例えば、オムロンの湿度センサー「ES2-HB-N」は実売約5万円ですが、
これでも精度は3%程度です。
気象庁等で使用している湿度センサーは更に高価なんでしょうね。

しかしながら湿度測定を生業にするわけではないので、
デモでそんな高価なセンサーを用意できるわけはありませぬ。

ここは大人しく秋月電子で扱っているセンサーを使用することにしましょう。


秋月電子の湿度センサーの項目を見てみると、結構な品種が並んでいます。
この中から絞り込むわけですが、実はあっさり1つに絞ることができました。
今回選んだのはAE-BME280です。

理由は単純で、これだけがSPIインターフェースを使用可能だからです。
その他の製品だと1線式インターフェースもしくはI2Cインターフェースです。

I2Cはかなり幅を利かせている様で、多くの製品で使われています。
I2Cで選ぶと選択肢が非常に広がるのですが、
今回は「かんたんスマートモニター」に接続するのが目的。
「かんたんスマートモニター」ではI2Cのインターフェースを用意していません。
これには諸々の理由があるのですが、ここでは省略いたします。

以上のような流れで、SPIインターフェースを持ってるAE-BME280を用意しました。


さて、システムの全体像はこんな感じ






 

室内に置いてある「かんたんスマートモニター」へ、
屋外のセンサーユニットを接続します。
4G回線へ接続するわけですから「かんたんスマートモニター」毎、
屋外へ設置すれば良いのでは?という疑問もありますが、
「かんたんスマートモニター」を防雨ボックスへ納める必要があり、
AC電源を室内から引っ張る必要もありまして、結構大掛かりになってしまいます。
更に室内に有ることでデバックが楽というメリットも。
なお、「かんたんスマートモニター」の屋外設置は多数事例が有り、
それ自体が難しいわけではありません。


ただまぁ、壁を通ることもありまして、
センサー部までのケーブルは約5m必要になってしまいます。


 

 

 

 

 

 

 

今度は全体像ではなく、「かんたんスマートモニター」とセンサー部の
接続について見ていきましょう。


 


 

センサー部からは測定信号を送る信号線を繋ぐのはもちろん、
センサー部の電源も「かんたんスマートモニター」から送ることになります。

 


 

 

 

 

 

電源についてですが、BME280は1.8Vが標準で最大3.6Vでも動かせるそうな。
しかしセンサーに必要以上の電圧を加えることはセンサーの発熱増加に繋がり、
測定値の誤差の原因になってしまいます。
ですので今回は1.8Vで動かす前提で考える事にします。

電源供給側である「かんたんスマートモニター」は複数種類が供給可能。
ユニットの1次電源(今回は12V)、アナログ用5V、デジタル系の3.3V、
という感じです。
1.8Vを出力する能力はありませんが、そもそも1.8Vのような低電圧を
5mのケーブル経由で供給するというのはナンセンスなので、
センサーモジュール側で降圧し、1.8Vを作成するのが一般的です。


今回使用するセンサーBME280はI2CとSPIの2種類のインターフェースを持っていますが、
今回は「かんたんスマートモニター」の都合で、SPIインターフェースを使用します。
そこで懸念事項となるのが信号の電圧レベル。

「かんたんスマートモニター」はマイコンの仕様により、信号は3.3V系となっています。

BME280の信号電圧は電源電圧依存ですから、
1.8V電源で駆動した場合は信号も1.8V系となってしまいます。

この電圧の違いを何かしらで対処する必要が出るわけです。