2025年9月14日日曜日

GLK060の残念な話

 某案件にてトルクレンチやトルクドライバーが必要になり、
各メーカーを比較の上、3機種を選定。
その内の1つがKTCさんのGLK060です。

これはドライバー形状なので、トルクドライバーと呼ばれますが、
締込みトルクを管理する点で、トルクレンチと全く同じ働きです。

KTCさんのGLKシリーズは対応トルク域の違いで3機種存在し、
GLK060は一番低トルクの製品です。
対応トルクは12~60cN・mという感じ。
N・mに変換すると0.12~0.6N・mという範囲になります。

この位の低トルクだとトルクレンチでは締めすぎちゃうミスが起きやすいので、
トルクドライバーの方が好都合かもしれません。
ただトルクドライバーはその形状的にネジの同軸上にスペースが必要となるので、
場合によってはトルクレンチじゃないと作業できないケースが有るかも。

 

さてこのGLK060ですが、デジタルタイプということで、
トルク測定と判定を電子処理にて行っています。

単純測定動作ならば、締込み時のトルクをリアルタイムにデジタル表示します。
プリセットモード時は、予めセットしたトルク値に達したらブザー音が鳴る、
という動作をします。
いずれにせよ、クラッチ機構等で締込みトルクを遮断する仕組みは無いので、
更に締込みを続けるとオーバートルク状態になってしまいます。 

機械的なトルク遮断機構を持つトルクレンチとは異なる仕組みというわけです。

しかしデジタル式には1つ、大きな利点があります。
機械式トルクレンチの様に、使用後に設定トルクを緩める必要が無い事です。
機械式トルクレンチは設定トルクをセットしたまま保管してはいけないのです。

常に1つのトルク値でしか使わない場合には、
常時にその値をセットしたままにしておきたいと思いますよね。
そうすればセットの手間も省けるし、セットミスも防げますし・・・・

しかし、機械式トルクレンチでは この使い方はNGなのです。
値をセットしたままというのは内部機構にテンションが掛かったままの状態。
これが動作値のズレの原因になってしまうんですね。
なので使用後は設定値を0もしくは最低値にセットして保管する、
というのが機械式トルクレンチのお約束です。

と・こ・ろ・が、電子式だとこれが不要なのです。
ふ~~ん、と感じられるかもしれませんが、
機械式トルクレンチでの上記作業って、結構手間に感じるんです。
使用後に0に戻すのを忘れてしまう事も そこそこ発生します。

現在使用中のトルク工具の中で唯一の電子式であるGLK060は、
その点に非常に気が楽なんですね。
これは使い始める前には全く気付きませんでした。

 

さてそんなGLK060ですが、そこそこ使い出してからある現象に気付きました。 
オートパワーオフが効かない。

電子式動作ですから当然電源が必要でして、GKL060はリチウム電池が入ってます。
充電式ではない1次電池です。 
電源入りっぱなしを防止する為、計測しないまま一定時間経つと自動で電源が切れる
オートパワーオフ機能が付いております。
私は5分に設定して使用しているのですが、10分放置しても電源が入ったまま!

最初は私の勘違いか?とも思いましたが、改めて検証すると やはりおかしい。
しかも、オートパワーオフが効く時と効かない時があるという、なんともややこしい状態。 

メーカーのサポートに連絡しまして、すぐに新品交換して頂いたのですが、
全く状況変わらず(笑)
改めてメーカーへ連絡すると、代替品貸し出しの上、調査の為預かりという流れに。
この辺、KTCさんのメーカー対応は良いと感じました。

代替品が届いたので、不具合品はメーカー送りに。 
まぁ予想はしていましたが、代替品でも現状は発生しておりました。(笑)

そして1ヵ月くらい経ったかな?
メーカーから改めて新品を送るので代替品を返送してとのこと。

そして届いた新品。全く変わっていませんでした(笑)

たぶん、KTCさん内部でファームを書いたとは思えないので、
開発担当者がバグを潰せないんでしょうね。 
幸い計測動作自体は問題無いので、忘れずに手動で電源オフすることとし、
このまま使い続けることにします。

 

なんか、KTCさんへの愚痴っぽく見えてしまうかもしれませんが、
これ、現在の日本のものづくり環境が垣間見えてしまうのですよ。
真っ当なレベルで組込みのファームを書ける人が激減していってるという話です。

それを感じてるのでKTCさんだけを責めるのはお門違い。
なので仕方ないなぁと折り合いをつけてるわけですが、
今後、KTCさん以外でも類似の話を耳にする機会が増えていくと思われます。 

0 件のコメント:

コメントを投稿