2025年3月9日日曜日

PWMファンのドライブと、新基板の話

 先日からPWNファンを動かす為の実験を行ってます。
動かす実験と言っても、PWMファンの実物が手元に無いので、
サーミスターとPICのPWM機能を調べるのが主内容ですが。

 

PWMファンはパソコン用ファンでは4ピンタイプと呼ばれている代物。
電源の2ピンと、回転数検知のパルス出力の1ピン、
そしてPWM制御の為の1ピンという構成です。

このPWM制御ピンの具体的なドライブ方法を改めて調べてみました。
以前、WEBで簡単にググってみたところでは、
ファン内部でプルアップ処理されているので、
PWM制御側からはオープンコレクタでドライブすればOK、
みたいな感じで書いてあったんですね。

そこで以下のような回路で考えていました。



オープンコレクタドライブ

 

 

 (※実際の回路で必要となる抵抗等は省略しています)

 

ファンの大手メーカーである山洋電気さんのカタログに
この辺の技術資料が掲載されていました。
それで詳細が確認できた次第。
もしかしたら山洋電気さんのファンだけに適用される規格で、
他メーカーでは違うという可能性はゼロではないかも?

 

山洋電気さん の資料によると、
PWM入力端子はプルアップ&プルダウンされた、
トランジスター受けの入力端子だそうな。

 




ファン内部

 

 

 

 

こういう回路という事ですね。

 

オープンコレクタにてドライブも可能だけど、
トーテムポール出力でのドライブも可能だそうです。
(PWMのパルスは5V振幅と謳われているので、TTLロジックだと厳しいかも)

入出力電流値は約1mAとの規定。
この値ならばPICマイコンのI/Oでも余裕ですね。


 

 PIC直結

 

 

非常にシンプルで良いと思ったのですが、
1つ気になる点が出てきました。

それはコールドブート直後の話です。

コールドブート直後はPICの全I/Oが入力ピンになります。
するとPWM信号線がPWMファン内のプルアップ抵抗の影響でHレベルとなり、
PWMファンがMAX速度で回転することになるんですね。
確かにそんな場面を見かけたことがある気がします。

機械的に何か問題があるか?と問われると問題は無いと思うのですが、
個人的にブート後はMIN速度から起動して欲しいと思いませんか?(笑)

 

そこで いくつかの回路を考えてみました。
要は、PIC側がフローティング状態の時に、
ファンのPWM端子がローレベルになれば良いわけです。

単純に上記のPIC直結式回路にプルダウン抵抗を追加するだけでは厳しいです。
流れ出てくる1mAの電流を吸収して、ローレベルの閾値である0.5V以下に抑える為には、
大きくても500Ωの抵抗でプルダウンする必要があります。
余裕を見るなら330Ωくらいでしょうか。

330Ωのプルダウン抵抗が付いた状態でPICのPWM出力が動作開始すると、
Hレベル時にPICからの出力電流が15mAくらいになってしまうわけです。
PICのI/Oポート自体は25mAくらいまでドライブできるので、
PICが焼けてしまうことはありません。
問題はそこではなくて、15mAものパルス動作を続けているデバイスがあると、
同じ電源下で動作するサーミスターの値に影響が出てしまう可能性があります。
それを避けるためにはサーミスターへの供給電源を分離する、
なんて事になると余計な部品が増えてしまいますね。


私が思いつく もっともベターな方法はCMOSロジックでのドライブです。






この図では一例として、トーテムポール出力のバッファータイプである、
74HC17を使ってみました。
74HCシリーズならば電圧レベル的にも入出力電流値的にもPWMファンに直結可能です。
74HCの入力は高インピーダンスなので、ローレベルに引っ張る場合でも、
せいぜい10K~47KΩくらいのプルダウン抵抗で十分です。
この程度のプルダウン抵抗ならば流れる電流は微々たるものなので、
+5Vの電源系統への影響も無視できるでしょう。 

ではこの回路で・・・・・・と言いたいところですが、
74HCロジックだと最低でも14ピンパッケージになってしまいます。
ロジック1つしか使わないのに、これは邪魔ですよね。

かと言ってワンゲートロジックICは表面実装タイプしか存在しません。
ユニバーサル基板での実験には不向きなわけです。

 

そこで思いつきました。

ワンゲートロジックICの変換基板が有れば便利なのでは?? 

表面実装部品をDIPタイプに変換する基板というのは既に存在していますが、
パスコンも考慮すると専用の方が使い易いでしょう。

電源と入出力ですから全部で4ピン。
DIPタイプのダイオードブリッジみたいな感じになるでしょうか。

それはそれで有りなのですが、変換基板を立ててしまった方がスマートじゃね?
と閃きました。
そのアイディアに基づき、早速基板設計。
すると、だいたい8.5×10mmくらいのサイズに収まりました。
この高さなら十分に実用的ですよね。
厚みは基板と部品の分ですので、2~3mm程度。

想定しているワンゲートロジックICはSOT23-5パッケージで、
2番ピン  ロジック入力
3番ピン  GND
4番ピン  ロジック出力
5番ピン  VDD
というタイプです。
バッファー及びインバーターとしては一般的なスタイルなので、汎用性は高いと思います。

PWMファンの話に使用するなら、東芝のTC7SH17Fなんかが使えます。 


この変換基板は結構重宝しそうなので、近日中に製作予定です。
例の如く同人ハード扱いにするので機会が有れば頒布も考えますが、
現時点では具体的には不明。
気になる方は私まで直接問合せください。

2025年3月8日土曜日

X68K電源ユニット用ダミーロード その4

 前回はType1を解説しましたが、今回は2つ目のType2です。

Type1で十分実用性は有るのですが、ワイメイク性が強い感じ。
meviyで作る板金部品だけで8千円を超えてしまいます。(通常納期の場合)
するとトータルで1万円を軽くオーバーしてしまうことに。

この金額自体は特に高いわけではありません。
むしろ、単発としては安いかもしれません。

しかし業務用途ではなく、趣味用途として見た場合、
もっとお安く出来ないかなぁ?というのが、今回のType2の出発点。

趣味ベースでお安くモノづくり、となると真っ先に思い浮かぶのは3Dプリンター。
3Dプリンターを活用してお安く纏めてみることにします。

 

さて、ではどんな構造にするかから再検討。
趣味用途で3Dプリンターを使うとなると、
ホビーユースで普及している3Dプリンターを念頭に置く必要がありますね。

すると、Type1のような一体構造はサイズ的に厳しそうな予感。
メイン基板部とヒートシンク部を分割してしまえば、
Type1よりはサイズを個々の部品サイズ抑えられます。
そもそもメイン基板とヒートシンク部の間は
抵抗へ繋がる電線と冷却ファンの電源線しか繋がっていないので、分割は容易です。

 

ではまずメイン基板部。

ここは単に、基板を床から浮かせて保持するだけで用は足りますね。
ですので以下の様な部品を設計。







 

 

サイズ的には110×80mm位なので、大抵の3Dプリンターで出力可能でしょう。
素材もPLAで十分と思います。

これにメイン基板をタッピングビスで取付け、
裏側にはゴム足をタッピングビスで取付けし、完成。











さて次はヒートシンク部です。

Type1ではヒートシンクを垂直配置しましたが、
さすがにあの形状のまま奥行きを縮めるのは ちと安定感が悪くなってしまいます。

そこでやむを得ず、ヒートシンクを水平配置することにします。
なお、ヒートシンク上のメタルクラッド抵抗の配置については全タイプ共通です。

思案の結果、決まったのが以下の構造。

まず、このような板金部品を用意します。







 

 

 

これはFANベースという部品です。
ちなみに裏側はこんな感じ。









 

これもやはりmeviyで製作可能です。
というか、こういう板金部品を1個単位で作ろうとしたらmeviyは欠かせません。


まずは このFANベースに冷却ファンを取付けます。
固定はトラスビスとフランジナットのセットにて。
Type1では板金の内側にファンを取付ましたが、
Type2では板金の外側に取付けます。
こうすることで板金の高さが減り、単価が若干落ちます。

冷却ファンの反対面にはファンガードを取り付けます。
これもトラスビスとフランジナットのセットにて。

Type1の時はファンガードと板金、冷却ファンを1本ビスで締めてましたが、
Type2で別々のビスで留める構造になってしまいます。
リブ付きのファンならば、1本のビスで行けるんですけどねぇ・・・・

ともあれ、ここまでで こんな感じに。









 

次に、板金部品の中に抵抗付きのヒートシンクを差し込みます。












裏から見ると こんな感じ。











 

 

ヒートシンクは差し込んだだけで、板金部品とビス留めしてません。

そして、これらを載せるのが、このベース部品。








 

 

3Dプリンターで作る部品です。
サイズ的には150×120mm位なので、大抵の3Dプリンターで大丈夫なはず。
素材はABSかPET辺りがお勧めですが、PLAでも実用にはなるかと。

ちなみに裏側はこんな感じ。












 

先程の板金部品とヒートシンクのセットを、このベース部品に載せ、
長いトラスビスでベース部品・板金部品・ヒートシンクを一気貫通で留めます。












 

最後にゴム足をビス留めします。
ここで使うゴム足は、タカチのA14-6です。
Type1で使ったA21-8だと ちょっと大きすぎな感じ。











 

 

これでヒートシンク部も完成です。











 

前側に謎な突き出しと穴が2個存在しますが、
これは電線類を片サドルで留められるようにと用意したもの。
留めた方がベターですが、まぁお好みかなと。

 

このType2だと、板金部品の費用が半分以下になります。
総額で1万円を切るでしょう。
板金部品を3Dプリンター出力品にすると?という疑問が出ますが、
コの字形状をこの薄さで1発出力するのは まず無理なので、
パーツ分割して組み合わせ、という感じになるでしょう。
すると現在よりゴツくなってしまうので、スマートさに欠けるかもしれません。
私ならば、ここだけはmeviyの板金部品を選択するかなぁ。

X68K電源ユニット用ダミーロード その3

 今回からはユニット全体の組立について触れていきます。

VCC2以外の電源の負荷にはメタルクラッド抵抗を使用します。
大電力用なので高価な抵抗ですが、秋月電子に安価な物が売っているので、
それを利用することにいたします。

当然ながらメタルクラッド抵抗には放熱機構が必要となります。
今回はヒートシンクに取付けし、ヒートシンクをDCファンにて強制空冷します。

ヒートシンクも それなりの値段する代物ですが、
うちには以前いただいた、没品のヒートシンクが有ります。
こんな代物。



 

 

表面

 

 

 


 

 

 

 裏面 



 

 

諸事情で没になり、本来なら産廃ゴミになるはずの物を頂いたという経緯。
その為、既に穴あけ加工済みなのですが、その穴を避ければ良いだけで、
ヒートシンクとしての能力は問題無いわけです。
今回はこれを利用して材料費節約です。

 

メタルクラッド抵抗に合わせ、上のヒートシンクに取付穴を加工します。
アルミ製のヒートシンクなので、加工は割と楽なのですが、注意するとすれば穴位置。

何も考慮せずに位置を決めて穴あけすると、
当然ながらフィンの位置に穴が来る場合があります。
そこそこ太いドリルであれば さほど問題にはならないのですが、
細いドリルの場合、折れてしまう懸念が有るのですね。

そこで今回はフィンの間の谷間部分に穴あけする様に設計。
このヒートシンクのフィンピッチは6mmで、谷間部の隙間は4mmあります。

メタルクラッド抵抗の取付穴が丁度6mmの倍数であれば、綺麗に収まりますが、
当然ながら そんな上手い話は無いわけでして・・・・・
ですので抵抗を斜めに傾けて、取付穴を6mmピッチに合わせます。

そんな感じで取付できたのが以下。






抵抗取付後

 

 

 

 

 

 

見た目としては抵抗の向きが揃っている方が良いわけで、
売り物であれば 当然そうするところですね。
しかし今回は自分用なので、見た目は重視しない方向で行きます。

上の図では、3種類のメタルクラッド抵抗を使っています。
10Wタイプ、25Wタイプ、50Wタイプの3つです。
秋月電子からはメーカー提供の図面が配布されているのですが、これが曲者。
なんと現物と図面が異なるのです!!

特に問題になったのが25Wタイプ。


 

 

 

 







縦寸法はほぼ問題が無いのですが、問題は横寸法。
各穴が1mm以上ズレているのです。
するとトータルで2mm以上のズレになるわけで、これでは全く穴が合いません。

結局、ヒートシンクに追加の穴あけを行い、無事に取付を終えたという経緯。
日本メーカーの抵抗ならば まず考えられない話ですが、
中華製部品ならば ありがちな話ですね。

 

このヒートシンク部と冷却ファン、そしてメイン基板を纏めるわけですが、
最終的に合計3つのパターンを考えました。
以降、順に1パターンずつ解説して参ります。
(ヒートシンクと抵抗については、どのパターンも共通です)

 

まずは1つ目のパターン(Type1)

全体を纏めるベースとなるシャーシが以下の物。







ベース板





 

t1.2の板金加工品で、meviyにて製作可能です。

 

次にヒートシンク部を固定する為のパーツがこれ。






HSステー

 

 

 

 

 

 

これもt1.2の曲げ板金部品で、meviyにて製作可能。
上端はコの字曲げになっていますが、
こういう形状は寸法次第で曲げ機の歯に干渉してしまい、
加工不可となる場合があります。
今回の金具の様に奥行きが広く、曲げ先も短ければ ほぼ大丈夫です。
meviyの場合、干渉を自動チェックして見積時に指摘してくれるので安心ですね。

 

この金具2本をヒートシンクにビス留めし、それをシャーシにビス留めしたのが以下。












あとはシャーシに六角スペーサーを使ってメイン基板を取り付け。
シャーシに冷却ファンとファンガードをビス留め。
シャーシの底面にゴム足をビス留め。

すると以下の様な感じで完成です。


 


















 

 

冷却ファンは92mm角、25mm厚というサイズ。
ヒートシンクの幅が約100mmなので、それに近い最大サイズを選択。
このサイズだと25mm厚の製品がパソコンのケース用として流通しているので、
それを流用することにしました。
山洋電気等の一流メーカー品でも安く入手可能なのです。
しかもケーブルにコネクターも付いてます。

ただ残念なのは、ケース用ファンはどれもリブ無しタイプなのです。
パソコン用のケースファンを購入すると、
大抵、ファン取付用としてタッピングビスが付属してきます。
ところが、少なくとも山洋電気ではリブ無しタイプを
タッピングビスにて固定するのはNG扱いになっています。
(リブ有りならタッピングビス留め可能)

他のメーカーならば大丈夫、ということはないと思われるので、
リブ無しをタッピングビス留めするのは自己責任扱いになると思われます。

取付けの手間を考慮するとタッピングビスを使いたいところですが、
リブ有りのDCファンは高価なので断念し、
リブ無し品をトラスビスとフランジナットで固定しています。

 

ゴム足はタカチ製A21-8です。
このシリーズはエラストマ製の為、ゴムの様な悪影響が発生しません。
取付もビス留めなので、ズレたり剥がれたりという懸念がありません。

 

今回解説したType1のメリットは冷却ファンの騒音
使用者はメイン基板側に居るわけですが、
すると冷却ファンがヒートシンクの陰になるので、
冷却ファンの音がある程度遮られるわけですね。
X68K電源ユニットのテスト時、ファンの音が煩いと、
電源ユニットからの異音が解りにくくなってしまいます。 


最後に板金の材料についての話。
このタイプでは t1.2の曲げ板金を使っていますが、
この t1.2の板というのは一般的に鉄板材で使われる厚みです。
もし上記の板金部品を鉄で作った場合、
塗装なりメッキなりの表面加工が必須となります。

ところがmeviyでは t1.2のステン材を用意しているので、
この板金部品をSUS304で作ることが可能です。

一番安価なのはSUS304(2B)という素材ですが、
見た目がそれなりなので売り物にする場合は要注意ですが、
自分用のツールで見た目を気にしないならば、有用な選択肢となるでしょう。
なお、SUS304へのビス留めはステンビスが必要な点に注意が必要です。

2025年3月6日木曜日

X68K電源ユニット用ダミーロード その2

 前回は全体仕様までを記載いたしましたが、
ここからは実際の製作物についての話です。

 

先の全体回路図の内、ヒートシンク部以外は1枚の基板に纏めます。
既に基板の設計は上がっていて、もう発注済みです。

しかし世の中は便利になったもので、
実物が出来上がる前に、3D-CADによるモデルを見る事ができます。
それがこちら。









これで十分、メイン基板の雰囲気がお解り頂けるかと。
基板サイズに対し部品配置が疎なのは、
大電流を流す為にパターン幅を広めに確保しているからです。

基板奥手にヒートシンク部に繋がる端子台が並んでいます。
ヒロスギ製のHP-03423という製品で、
M3ネジにて圧着端子を止める、基板実装型の端子です。
もちろんサトーパーツ等の一般的な基板用端子台でも問題ありませんが、
手持ちの関係で これを使ったという次第。

端子の右隣にはヒートシンクの冷却ファン用電源コネクターが有ります。
MOLEXの5046-03Aという製品なのですが、
巷に流通しているパソコンのケースファンが そのまま接続できます。
この基板にはPWM制御の機能が無いので、3ピンタイプのファン用です。

基板の左端にはX68K電源ユニットからのケーブルを挿すコネクターが2つ並んでます。
手前は日圧のB6P-VH、奥はMOLEXの5273-02Aです。
コネクター2つに分かれるので、+5Vが10A近く流せるというわけですね。

基板の手前側の左寄りが、X68K電源ユニットの起動スイッチ。
日開のA-12HBを使っています。
これも単に手持ちが有ったからという理由。
X68K電源ユニットの起動操作信号はmAオーダーの電流しか流れませんので、
できれば微小電流用スイッチの方が好ましいわけです。
その点では日開のAシリーズもしくはBシリーズがお勧めです。
このA-12HBの端子穴は2.54mmピッチになっているので、
ピッチが合うものならば代用も可能です。
秋月電子扱いならば、2MS1-T2-B4-M2-Q-E-Sなんかも合うでしょう。
しかしこれは微小電流タイプではないので、その点は留意する必要があります。

スイッチの右隣はVCC2系統の表示LED。 

更にその右側にはブースト動作用の照光タクトスイッチがあります。
これも秋月で売ってるTS-ALGWRH-Gという製品。
在庫限りだそうですが、手持ちが有るので採用しました。
ブースト中はスイッチ中央のLEDが点灯します。

そして一番右端のLEDが+5V系統の表示LEDです。

このLEDの奥手の方にちょっと大きな抵抗が居ますが、
これはVCC2の負荷抵抗です。
3Dモデルだと基板にベタ載せですが、単に手抜きモデリングしてるだけでして、
実際の実装時は基板から少し浮かせる様にいたします。

この抵抗は3Wの酸金抵抗。
丁度、秋月電子で赤羽電具製の酸金抵抗を扱っているので採用してみました。
赤羽電具の抵抗は質が良いそうです。
秋月電子に推薦してくれた方に感謝ですね。

そして最後、基板中央 左寄りのところに、フォトMOSリレーがあります。
ブースト動作の電流回路ON/OFFの要です。

回路図で東芝のTLP3543Aと記載してますが、他社同等品でも構いません。
この基板ではC接続で使用しているので、最大10Aまで流せます。
この時のオン抵抗は僅か5mΩ。
ブースト動作中に流れる電流は約2.5Aですから、12.5mVしかドロップしません。
なんとも凄いですね。
メカニカルリレーの肩身が狭くなるばかりです。(;;

 

以上、メイン基板については こんな感じでございます。

2025年3月5日水曜日

X68K電源ユニット用ダミーロード その1

 手が空いたので、私物のX68000のオーバーホールに着手。
とは言っても、電源部の消耗部品交換だけなのですが。

とりあえず部品交換は終了したので、次は動作確認ですが、
電源ユニットを本体に接続して電源投入というのは いささか乱暴。
そこで疑似負荷装置、いわゆるダミーロードを作ろうと思い立ちました。

ちなみに、単に動作するかどうかだけならば簡単に確認可能です。
本体に繋がずに電源ユニットにAC100Vを投入すれば、
電源ユニットが起動する仕様だからです。
空冷ファンの動作で、電源が起動しているか否かも目視できます。
しかし+12V系統以外は無負荷状態。
ハンダ不良等の接触不良については ある程度の電流を流さないと見極めできないので、
この状態では動作チェック完了とは言えないわけです。

 

ターゲットとなるX68000は5インチFDDを内蔵している、
マンハッタンシェイプ型の内蔵電源といたします。
他には3.5インチFDDを内蔵しているcompact型が存在しており、
こちらは電源の出力容量が異なります。
しかし当方ではcompact型の電源ユニットを触ることがほぼ無い為、
今回はスルーする事にいたします。

 

上記の電源ユニットの出力容量ですが、定格値は不明です。
しかし回路からある程度の推測は可能。
常時出力の5VであるVCC2は、出力レギュレーターが78M05なので最大0.5A、
+12V出力ぱSI-3122Vの容量より、最大2A、
-12V出力は78M12の容量より最大0.5A、となります。
最後に+5V出力ですが、整流ダイオードの容量が12Aなので、
これを超える事はありえません。
X68000本体記載の消費電力を加味して考慮すると、
+5V出力の容量は約10Aと推測されます。

 

ではダミーロードの方の仕様ですが、
さすがに100%の負荷を掛ける必要は無いと思われます。
耐久試験を行うわけではありませんので。(笑)
ですので目安としては50%前後の負荷をかける感じにします。
正確な値は入手可能な抵抗器との兼ね合いで決定。

ということで、以下が全体回路。








X68Kの電源ユニットから出ている出力コネクター2つを接続します。
回路中の冷却ファンというのは、X68K電源ユニットの冷却ファンではなく、
このダミーロードのヒートシンクに付ける冷却ファンです。
さすがに約50Wの発熱となると強制空冷した方が安全です。

電源ユニットを繋いでAC100Vを投入すると、VCC2に5Vが出てきます。
VCC2はベース基板上のR5が負荷になっており、ここに約0.2A流してます。
同時にLEDであるD2を点灯させ、VCC2出力中を目視できます。

SW1が電源ユニットの起動スイッチです。
SW1をオープンにすると電源ユニットが起動します。
X68Kの電源ユニットは内部動作にVCC2が必要なので、
VCC2が正常出力されていないと、SW1を操作しても電源ユニットは起動しません。

電源ユニットが正常起動したならば、
+5V、+12V、-12Vの各系統に電圧が出てきます。
+5V系統にはLEDのD3を繋いであるので、出力が視認できます。
また、+12Vが出てきていればヒートシンクの冷却ファンも動作します。

この時点では+5Vが5A、+12Vが約1A、-12Vが約0.24Aの負荷が掛かっています。
この負荷はヒートシンク上のメタルクラッド抵抗が負担します。

+5V系統には負荷ブーストの機能を入れてあります。
通常状態時にSW2を押すとRL1がONし、負荷ブースト状態となります。
ブースト中は+5V負荷が2.5A増加し、トータル7.5Aの負荷となります。
RL1がONすると自己保持状態となる為、SW2を離してもブースト状態のままです。
ブースト状態を解除するには電源ユニットを停止させる必要があります。

 

電子負荷装置のような高度な機能はありませんが、
とりあえずの確認としては これで十分かと思います。

PIC10F222とPIC10F322

 先日、ちょっとしたタイミング制御回路を組む為、PICマイコンを使用。
2、3本程度の制御だったので、一番小規模のPICで十分。
秋月電子の在庫から検討すると10F222が手頃かと思いましたが、
手持ちが無かったので10F322を使いました。

量産案件ならば単価を考慮して10F222を選ぶのでしょうが、今回は単発。
送料かけて10F222を購入してたら割が合いません(笑)

 

無事、10F322で完成したわけですが、
改めて後学の為にと10F222をした場合も検討してみました。
すると!!
ビックリするほど中身が違ったんですね。
量産ならともかく、単発ならば10F322を使用して正解でした。

せっかくなので、その違いを書いておこうと思います。
なお、マイコンレビュアーではないので、
あまりに細かい点まで追求していない点をご留意願います。

 

10F222も10F322も頭は同じ10F。
小規模タイプという意味合いですね。
DIPパッケージは8ピンになっていますが、
使われていないピンが2本も有るので、
当然ながらI/Oピンも少なくなっていて、4本しかありません。

問題はその次の桁。
200番台か300番台かで、雲泥の差がありました。

大雑把に言えば、300番台品は昨今一般的な12Fや16F等の8ビット品を
シュリンクしたような代物です。
アセンブラで書くにしても、ほとんど差は感じないでしょう。

それに対し200番台品は いにしえのPICマイコンの系列と言えます。
12C508等を彷彿とさせる感じです。

Cで書くならば、案外この差は実感できないかもしれませんが、
アセンブラで書くと違いは歴然です。
そもそもこのクラスのPICマイコンはリソースの観点から
Cで書いて大丈夫?という疑念があります。


では少し具体的に差を見て行きます。

10F322の周辺機能はA/Dコンバーターを初め、
8ビットタイマーが2つ、PWMモジュールやCLC、NCO、CWGと、
小規模クラスとは思えないほど多いです。
これでも全レジスタがBANK0に収まっているのは助かりますね。 

それに対し10F222は、A/Dコンバーターこそ載ってますが、
他には8ビットタイマーが1つだけ。
この辺はさすが小規模品と納得する感じです。

そしてレジスタマップを見てみると・・・・・
    INDF
    TMR0
    PCL
    STATUS
    FSR
    OSCCAL
    GPIO
    ADCON0
    ADRES
以上の8つしかありません!

INDF~FSRはどのPICでもお馴染みですね。
それ以外は4つだけって、昨今の一般的なPICを触ってる方なら疑問を感じかと。

200番台品には、隠しレジスタが存在するのです。
それが以下の2つ。
    TRIS
    OPTION
はい、どちらも見慣れたレジスタですよね。

このレジスタの内容は300番台品とほぼ同じです。
ですが、隠しレジスタという点がやっかい。
レジスタマップ上に存在しない為、通常の命令でアクセス出来ません。

ではどうやって扱うかと言うと、専用の命令が用意されているんですね。
TRISレジスタへの書き込みはTRIS命令。
OPTIONレジスタへの書き込みはOPTION命令、という感じです。

では各々のレジスタからの読み出しは??
はい、有りません。
隠しレジスタへは書込みしか出来ないんですね。 


そした多分、200番台の一番大きな差は、割り込みが無い点かと。
割り込みなんて使わなくても書けるから別に困らんと言う方も多いかと。
実際私も割り込みは使わない様に書くことが多いです。

しかし割り込みを使わないという方でも、
割り込みフラグを使ってる方は多いのでは??
例えばタイマーで時間を作る際、タイマーが出す割り込みフラグを
ポーリングして処理する、なんてルーチンを書いたりしませんか?
200番台だと、これが出来ないんです。
割り込みフラグが存在しませんから。

ですのでタイマーを使う際は値を直接読んで処理するという、
なかなかに面倒な手間が発生するわけです。

 

他にも200番台の特徴としては
  内蔵クロック周波数が4MHzと8MHzしか選択できない点
  内蔵発振器の校正値をユーザーが処理する必要ある点
  周辺機能が外部ピンを使用する際、プライオリティが設定されてる点
などが挙げられます。

 

秋月電子での単価の差はビックリしましたが、中身を見てみると価格は納得。
よほどの事がない限り、10Fシリーズを使うならば322の方をお勧めいたします。