2025年3月8日土曜日

X68K電源ユニット用ダミーロード その3

 今回からはユニット全体の組立について触れていきます。

VCC2以外の電源の負荷にはメタルクラッド抵抗を使用します。
大電力用なので高価な抵抗ですが、秋月電子に安価な物が売っているので、
それを利用することにいたします。

当然ながらメタルクラッド抵抗には放熱機構が必要となります。
今回はヒートシンクに取付けし、ヒートシンクをDCファンにて強制空冷します。

ヒートシンクも それなりの値段する代物ですが、
うちには以前いただいた、没品のヒートシンクが有ります。
こんな代物。



 

 

表面

 

 

 


 

 

 

 裏面 



 

 

諸事情で没になり、本来なら産廃ゴミになるはずの物を頂いたという経緯。
その為、既に穴あけ加工済みなのですが、その穴を避ければ良いだけで、
ヒートシンクとしての能力は問題無いわけです。
今回はこれを利用して材料費節約です。

 

メタルクラッド抵抗に合わせ、上のヒートシンクに取付穴を加工します。
アルミ製のヒートシンクなので、加工は割と楽なのですが、注意するとすれば穴位置。

何も考慮せずに位置を決めて穴あけすると、
当然ながらフィンの位置に穴が来る場合があります。
そこそこ太いドリルであれば さほど問題にはならないのですが、
細いドリルの場合、折れてしまう懸念が有るのですね。

そこで今回はフィンの間の谷間部分に穴あけする様に設計。
このヒートシンクのフィンピッチは6mmで、谷間部の隙間は4mmあります。

メタルクラッド抵抗の取付穴が丁度6mmの倍数であれば、綺麗に収まりますが、
当然ながら そんな上手い話は無いわけでして・・・・・
ですので抵抗を斜めに傾けて、取付穴を6mmピッチに合わせます。

そんな感じで取付できたのが以下。






抵抗取付後

 

 

 

 

 

 

見た目としては抵抗の向きが揃っている方が良いわけで、
売り物であれば 当然そうするところですね。
しかし今回は自分用なので、見た目は重視しない方向で行きます。

上の図では、3種類のメタルクラッド抵抗を使っています。
10Wタイプ、25Wタイプ、50Wタイプの3つです。
秋月電子からはメーカー提供の図面が配布されているのですが、これが曲者。
なんと現物と図面が異なるのです!!

特に問題になったのが25Wタイプ。


 

 

 

 







縦寸法はほぼ問題が無いのですが、問題は横寸法。
各穴が1mm以上ズレているのです。
するとトータルで2mm以上のズレになるわけで、これでは全く穴が合いません。

結局、ヒートシンクに追加の穴あけを行い、無事に取付を終えたという経緯。
日本メーカーの抵抗ならば まず考えられない話ですが、
中華製部品ならば ありがちな話ですね。

 

このヒートシンク部と冷却ファン、そしてメイン基板を纏めるわけですが、
最終的に合計3つのパターンを考えました。
以降、順に1パターンずつ解説して参ります。
(ヒートシンクと抵抗については、どのパターンも共通です)

 

まずは1つ目のパターン(Type1)

全体を纏めるベースとなるシャーシが以下の物。







ベース板





 

t1.2の板金加工品で、meviyにて製作可能です。

 

次にヒートシンク部を固定する為のパーツがこれ。






HSステー

 

 

 

 

 

 

これもt1.2の曲げ板金部品で、meviyにて製作可能。
上端はコの字曲げになっていますが、
こういう形状は寸法次第で曲げ機の歯に干渉してしまい、
加工不可となる場合があります。
今回の金具の様に奥行きが広く、曲げ先も短ければ ほぼ大丈夫です。
meviyの場合、干渉を自動チェックして見積時に指摘してくれるので安心ですね。

 

この金具2本をヒートシンクにビス留めし、それをシャーシにビス留めしたのが以下。












あとはシャーシに六角スペーサーを使ってメイン基板を取り付け。
シャーシに冷却ファンとファンガードをビス留め。
シャーシの底面にゴム足をビス留め。

すると以下の様な感じで完成です。


 


















 

 

冷却ファンは92mm角、25mm厚というサイズ。
ヒートシンクの幅が約100mmなので、それに近い最大サイズを選択。
このサイズだと25mm厚の製品がパソコンのケース用として流通しているので、
それを流用することにしました。
山洋電気等の一流メーカー品でも安く入手可能なのです。
しかもケーブルにコネクターも付いてます。

ただ残念なのは、ケース用ファンはどれもリブ無しタイプなのです。
パソコン用のケースファンを購入すると、
大抵、ファン取付用としてタッピングビスが付属してきます。
ところが、少なくとも山洋電気ではリブ無しタイプを
タッピングビスにて固定するのはNG扱いになっています。
(リブ有りならタッピングビス留め可能)

他のメーカーならば大丈夫、ということはないと思われるので、
リブ無しをタッピングビス留めするのは自己責任扱いになると思われます。

取付けの手間を考慮するとタッピングビスを使いたいところですが、
リブ有りのDCファンは高価なので断念し、
リブ無し品をトラスビスとフランジナットで固定しています。

 

ゴム足はタカチ製A21-8です。
このシリーズはエラストマ製の為、ゴムの様な悪影響が発生しません。
取付もビス留めなので、ズレたり剥がれたりという懸念がありません。

 

今回解説したType1のメリットは冷却ファンの騒音
使用者はメイン基板側に居るわけですが、
すると冷却ファンがヒートシンクの陰になるので、
冷却ファンの音がある程度遮られるわけですね。
X68K電源ユニットのテスト時、ファンの音が煩いと、
電源ユニットからの異音が解りにくくなってしまいます。 


最後に板金の材料についての話。
このタイプでは t1.2の曲げ板金を使っていますが、
この t1.2の板というのは一般的に鉄板材で使われる厚みです。
もし上記の板金部品を鉄で作った場合、
塗装なりメッキなりの表面加工が必須となります。

ところがmeviyでは t1.2のステン材を用意しているので、
この板金部品をSUS304で作ることが可能です。

一番安価なのはSUS304(2B)という素材ですが、
見た目がそれなりなので売り物にする場合は要注意ですが、
自分用のツールで見た目を気にしないならば、有用な選択肢となるでしょう。
なお、SUS304へのビス留めはステンビスが必要な点に注意が必要です。

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