2021年12月18日土曜日

ソフト屋さんが作るハード

 巷には沢山の電子機器が存在するわけですが、
その中にはソフト屋さんが作った装置というのも存在します。

ソフト屋さんが製造??というと意味不明ですが、そういう意味ではなく、
ソフト屋さんが大元となり、開発・製造業者に作らせた装置、という意味です。

そう書くと、別に普通の話で、特に何か起きるわけではないんじゃない?
とも思うわけですが、実は結構トラブルケースを見かけるんです。

なんでだろうと疑問に思ってましたが、先日ふと、その疑問が解けました。

ソフト屋さんは理想装置で話をするからなんですね。

「理想装置」ってなんぞや?ですね。
「理想ダイオード」はご存じでしょうか?
それはダイオードの基本的な特性通りに動く、実在しないダイオードです。
具体的にはアノードからカソードへの電流が流れ、
逆方向には全く電流が流れない。(=漏れ電流ゼロ)
アノードからカソードに流れる際も、電圧降下はゼロ。
電圧がどんなに微小でも順方向に電流が流れる。
電流や電圧の制限は存在しない。

等々、実際にはそんなダイオードは存在しないわけですが、
整流ダイオードの動作を単純に理解するだけなら、
この理想ダイオードの動きが説明しやすいわけです。

理想ダイオードの様に、基本的な仕様だけを抽出し、
完璧な状態として表しているものが「理想装置」というわけです。

話を戻しますと、ソフト屋さんは往々にして、
出来上がる製品が理想装置とイコールだと勘違いして、
開発・製造会社に発注している事例を まま見かけるんですね。

受注側がそれに気づけば、すぐに仕様不足を指摘して、
その問題が回避できる可能性が高いわけですが、
気づかないケースもあるわけでして・・・・・

例えば、何らかの治具を製作する際、
実は結構寸法精度が必要な代物だったとします。
ソフト屋さんに精度の概念が無いと、図面寸法と寸分の狂いも無い製品(=理想製品)が
出来上がってくるもんだと思ったまま、発注を進めます。
受注側は慣例として、図面に寸法精度の記載が無ければ、
一般公差を適用して製造することが多いんですね。
すると、納品された製品は精度が足りなくて実用に耐えられないというオチ。

上記はあくまで、わかりやすい例えなのですが、
実際には もっと複雑なレベルの話で、こういうことが起きてるんです。

やっかいですね。

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