X68Kのメンテ作業にて、消耗部品である電解コンデンサーの交換はよく聞く話ですね。
その中で やっかいなのは、 メイン基板に載っている黄色い電解コンデンサー。
部品番号は製品で異なるので具体的に記載出来ないのですが、
ニチコンのSLシリーズ 6.3V 220μF という代物です。
この電解コンはバックアップ電池からのバックアップ電源系統に入ってます。
このSLシリーズという電解コンは低漏洩型、つまりリーク電流が少ない代物。
電解コンでリーク電流がガバガバ流れてしまえば、
それだけで電池を消耗してしまいますから、ここに低漏洩型を使用するのは当然ですね。
低漏洩型の電解コンデンサーは85℃品の一般形と同等の寿命です。
なので現存するX68Kでは 遥か昔に寿命が切れてしまっていますから、交換は必須。
しかしこのタイプの電解コンは需要が激減してしまってる様で、
各社とも製造を止めていってます。
まだ製造を続けている会社も有りますが、入手はほぼ不可という状況です。
実はですね、X68Kシリーズの内、PROのメイン基板には
この電解コンが載っていないんですね。
なんと通常タイプ電解コンが使われているんです。
あれ?と思ってしまいますよね。
なので、具体的な値に踏み込んでみることにします。
X68Kにてバックアップ電源の負荷は2種類。
1つ目はRTCであるRP5C15、
2つ目はSRAMであるHM6264です。
データーシートで確認すると、RP5C15のバックアップ電流は15μA。
HM6264についてはX68Kでは低消費電力型が使われているので、
バックアップ時は10μAという値。
ただしX68KではHM6264が2個載っているので、倍の20µAという事になります。
合計すると、35μAですね。
次に上記の電解コンについて。
SLシリーズのリーク電流を計算してみると、
3V × 220μ × 0.002 = 1.32μA という値。
通常の85℃標準品の電解コンを計算してみると、
3V × 220μ × 0.01 = 6.6μA という値になります。
リーク電流だけを見ると5倍も差があるので、おっ!!と思ってしまいますね。
しかしこれをRTCやSRAMも含めた電流で計算してみると・・・・
SLシリーズの場合 35+1.32 = 36.32μA
標準品の場合 35+6.6 = 41.6μA
なんと2割程度しか差がありません。
これなら、入手性の悪い低漏洩型を無理に探さずとも、
標準品の電解コンで構わないかもしれません。
(実際には85℃標準品ではなく、105℃長寿命品の方が好ましいわけですが)
更に申し上げると、昨今は積層セラミックコンデンサーの大容量化が進んでるおかげで、
定格値100µFなんていう代物も容易に入手できるようになりました。
実際、秋月電子では6.3V100μという積セラコンが10個280円で売ってます。
積セラコンは完全な固体コンデンサーですから、
電解コンのようなリーク電流は発生しません。
(端子間絶縁に絡む僅かな電流は存在しますが)
すると、無理に電解コンを使わなくても、積セラコンでいいんのでは?
という話になってくるんですね。
秋月電子の積セラコンは安価なだけあって、Z品ですので、
実際に見込める容量は半分程度の約50μFです。
220μFを代替するなら4個必要になるわけですが、
そもそもここは厳密な容量が求められる場所ではありませんので、
2個パラ接続の100μFでも実用上は問題無いでしょう。
もし今後、この電解コンを置き換えする場合は、積セラコンをお勧めします。
最後に1つ、大事な事を。
黄色い電解コンの代替の際に、
OSコン等の導電性高分子電解コンは絶対に使用しないでください。
これらの電解コンはリーク電流が桁違いに多いからです。
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