2023年11月24日金曜日

潤滑剤の話

 先日、Xったーで見かけた話が気になったので、
ユーザーとして知っておくべき話をまとめてみる事にしました。

まず、一般的に潤滑剤と呼ばれている物には2種類有る!

潤滑剤と言われて頭に浮かぶ物は、皆さん異なると思いますが、
大きく分けると以下の2つになります。
1つ目はオイルやグリース等の油系
2つ目は液体状の潤滑剤です。

前者はエンジンオイルやミシン油等が結構なじみ深いかと。
後者だとCRC-556が有名ではないでしょうか。 

この2種類、どちらも滑りを良くするという目的においては同じですが、
その仕組みは全く異なるものなのです。

前者は接触部の隙間に油膜という形で入り込み、
可動部同士が接触しないようにすることで摩擦を低減します。
油自体が滑りやすい特性を持っているので、
滑りやすさは100%油分に依存しています。
油膜の強さは粘度に依存するので、粘度の合わないものを使用すると
油膜が維持できず可動部同士が接触してしまうというトラブルが起きます。
もちろん油が劣化消耗することでも同様の事態になります。

対して後者ですが、これは正確には潤滑処理剤と呼んだ方が良いもの。
CRC556を指に吹きかけてみても油類のようなツルツル感は感じないでしょう。
これはCRC556自体が滑りやすい性質を持っているわけではなく、
556を吹きかけた金属表面が滑りやすくなるという事だからです。

ちょっと考えてみて頂けば解ると思いますが、
CRC556の売り文句の一つとして錆び落としがあります。
オイルを塗っても錆が落ちることはないですよね?
CRC556は金属表面に作用するので錆びを除去できるという話なのです。


ということで、仕組みが異なることから使い方にも区別が必要です。

前者の場合、油分が消耗で無くなると潤滑効力が無くなるので、
定期的に補充が必要です。
油分は空気や水分を遮断してくれるので、錆び防止効果が有ります。
可動部の材質に関わりなく潤滑性を発揮します。
ただし、油分で侵される材質には使用NGです。

後者の場合、吹きかけた潤滑剤は前者に比べると早々に乾いてしまいます。
しかしながら、可動部自体が滑りやすさを持つので、
乾いた後も潤滑性は持続します。
どれくらい持続するかは、各々の潤滑剤次第です。
CRC556は割と早期に消失してしまいます。
乾いてしまった後は空気や水分に晒されるので錆び止め効果は期待できません。
金属以外の材質に対しても効果は発揮されません。

 

あと、電子業界の方に ぜひ知っておいて頂きたいのですが、
一般的に後者には塩素化合物が使用されています。
なので基板に付着した場合は洗浄が必要です。


最後に実際に当方が使用してものを列記しておきます。

まず油系は以下の2点。
・呉 ウレアグリース
・スズキ機工 LSベルハンマーグリース №2

次に潤滑処理剤系は以下の4点
・呉 CRC-556
・呉 CRC-666
・スズキ機工 LSベルハンマー
・リックス フリクトル3


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