2025年5月19日月曜日

TPS2116のお試し実験

 同人向けハードにて、供給電源の系統切替をやりたくて情報収集してました。

2系統ある入力のどちらかでも供給可能にしたい場合、
一番簡単に思いつく回路はダイオードOR回路ですね。
パッシブ動作なので信頼性も高く、コストも低い良い方法なのですが、
ダイオードのVF分だけ供給電圧が下がってしまうという難点があります。
電圧低下が無視できるような回路であれば構いませんが、
USBからの供給も含む5V回路の場合、とても無視できない値になります。

それともう1つ、ダイオードOR回路の場合、
どちらの入力から供給されるかは入力電圧値で決まります。
入力がA・Bの2系統有ったとして、入力Bに電圧を供給した場合には、
電圧値に関わらず、必ずB側から給電されるようにしたい、
いわゆるプライオリティ動作の機能が欲しい場合、
ダイオードORでは無理なわけです。

 

ということで、出力イネーブル機能付きの理想ダイオードICなんかも試しつつ、
思考錯誤してきたわけですが、ここにきて理想の一品を発見!!
TI製のTPS2116という石です。

この石はまさに、上記の動作の為に作られた石です。

最近出たばかり・・・・というわけではないのですが、
TIの製品は非常に種類が多く、欲しい石を見つけるのに難儀するんですよね。

 TPS2116をデーターシートを確認すると、
ほぼ私が欲しい機能通りの事が書いてあるのですが、
こちらが想定している使い方のケースについては記載がありません。
ですので実際に実物で動作してみることにしました。

 

まず、TPS2116と変換基板を用意。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

この石は0.5mmピッチなので、電線を直結して実験はさすがに無理(笑)

 

変換基板にICを実装したのがこれ。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

レーザー刻印なので非常に視認性が悪い!!
しかし刻印以外で向きを確認する方法が無いという困ったちゃんです。

なんとか頑張って実装できたので、実験作業に進みましょう。

 

まず以下がTPS2116の基本的な繋ぎ。


 

 

 

 

 

 

 

 

入力を自動切替して欲しいので、MODEピンはV-IN1に接続。
PR1は切替動作のスレッショルド電圧を設定するピンですので、
本来は抵抗分圧した値を入力するのですが、
今回は厳密なスレッショルド値の設定は不要なのでV-IN1へ直結してます。
V1オープン時の不安定動作を回避する為、1.2KΩでプルダウンしてます。
STは入力選択状態を表す出力端子ですので、今回のテストでは不使用。

 

まず基本はデーターシートにも記載ある、V1へ5V供給している状態。 



 

 

 

 

 

V2の状態に関係無く、OUTには5Vが出てきます。

上記の状態からV2へも5Vを供給し、次にV1への供給を止めると、
供給源がV2に切り替わってOUTには引き続き5Vが出てきます。

またV1に5Vを供給してやると、供給源がV1に切り替わる・・・・
というのが この石の基本的な動作です。

 

さてでは、V1・V2ともに供給無しの状態からV2へ5Vを供給した場合??







 

これが今回確認したかった内容です。
普通に考えればV2からOUTへ供給されるだけ、と予想できますが、
データーシートには記載が無いんですね。
(データーシート記載は、V1供給からスタートする事例ばかり)

で、結果は予想通りOUTに5Vが出てきました。
つまりV2供給スタートでも問題無いという結論。

 

これ、V2にUSBから電源供給し、V1に外部供給する場合の想定なのです。
外部供給が無い場合はUSBバスパワーで動作するけど、
外部供給がある場合は常に外部供給で動く、というような設計です。

 

それともう1つ、電圧差についても調べてみました。

V2に5.05Vを供給した状態で、V1に5.0V供給した場合の挙動です。


 

 

 

 

 

これも結果は期待通りで、V1に5.0Vを供給すると、
OUTは5.05Vから5.0Vへ下がりました。
理想ダイオードを使った切替回路の場合、
この程度の微小電圧差では切替がうまくいかない場合があるそうなので、
念のために調べてみた次第。


最終結論として、私の期待通りに動いてくれる石だという事が確認できました。
今後愛用していくつもりです。

ちなみに入力系統切替はFETによるスイッチ式なので、
切替の際に僅かな出力電圧低下が起きるので、その点だけ留意が必要ですね。

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