前回は大雑把な全体像についてお話しました。
インターフェースとしてはSPIを使用するが、
電圧レベル変換が必要になるかも、というところで話が終わってました。
電圧レベル変換については後回しとしまして、
まずはSPIでの接続方法について検討していきます。
通常、SPIインターフェースでデバイス接続する際は、
マスター側とスレーブ側を直結するだけです。
データーINとデーターOUTの接続を間違えない限り、
特に難しい点はありません。
しかし今回は5mのケーブルを介しての接続ですので、
通常とは ちょっと話が異なってきます。
そこで私の頭に浮かんだのは以下の4つの方法です。
1.ダイレクト接続方法
各ユニットの出入り口にバッファーを噛ませ、各SPI信号線を直結する方法です。
メリットは回路が単純である事です。
デメリットしてはハイインピーダンス線を引き延ばす為、ノイズに強くありません。
使用する電線はシールド付き4芯キャプタイヤケーブルです。
通信速度の上限はケーブルの静電容量に支配されます。
オシロスコープにて波形を実測し、通信速度を決めるのが良いでしょう。
2.差動信号化方法
各SPI信号線を差動信号に変換する方法です。
メリットはノイズに強く、長距離伝送に耐えられる点です。
通信速度も結構高速化できます。
デメリットとしては各信号線毎にツイストペア線が必要となるので、
今回の場合だと4対のツイストペアケーブルが必要となり、
ケーブル外径がやや太めとなってしまい、価格も高めです。
3.フォトカプラーによる接続方法
これはちょっと珍しい方法かもしれませんが、
各ユニットの入出力にフォトカプラーを噛ませるという方法です。
フォトカプラー間の通信線は「かんたんスマートモニター」、
及びセンサーユニット部から電気的に完全絶縁されるので、
ユニット間絶縁が重要視されるケースでは重宝するでしょう。
フォトカプラーは電流駆動となるので信号線のインピーダンスが低く、
ノイズ耐性も非常に高くなります。
デメリットとしては消費電流が多くなる点と、高速通信が苦手な点でしょうか。
フォトカプラーの他にDC/DCコンバーターも必要なので、
部品代も高めになる可能性があります。
通信速度の上限はフォトカプラーの性能に支配されます。
高速通信を行いたい場合は、オシロスコープによる波形確認を行いましょう。
4.半二重RS-422による接続方法
実は今回採用する方法がこれです。
SPIの信号をPIC等のマイコンを介して非同期シリアルに変え、
差動トランシーバーにて通信するという内容です。
差動信号ですからノイズに強く通信速度も高速です。
(半二重式なので、それによる制限は発生しますが)
デメリットとしてはマイコンのファームウェア開発が必要となり、
開発工数が大きくなってしまう点です。
それでも今回、この方式を選んだ最大の理由というのが、
信号線が1対のツイストペア線のみで足りる点です。
現状、外気温をモニターするセンサーが存在するわけですが、
これはアナログ電圧値で「かんたんスマートモニター」に入力しています。
この信号線というのが1対のツイストペア線なのです。
この他に電源用のツイストペア線も走っているので、
合計で2対のツイストペア線が「かんたんスマートモニター」から延びています。
そこで半二重RS-422方式を使用すると、
現状のケーブルが そっくりそのまま流用できるのです。
外壁の通線加工が不要というのは かなり利点ですので、
工数のデメリットを承知の上で この方法を選んだのです。
通常、SPI通信は高速なので、フルにデーター転送を行われると
半二重のRS-422では送りきれません。
しかし今回の場合は通信頻度も少なく、データー量も少ないし、
リアルタイム性も求められないので特に問題にはならないでしょう。
ちなみにマイコンはマイクロチップのPIC16LF1823を使用予定です。
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