2023年5月18日木曜日

ヒートガン・カウンターの製作 その1

 先の記事で検討を進めた「ヒートガン・カウンター」ですが、
いよいよ製作に手を付けることとします。

基本的に私が使う為の機器なので、量産は考慮しておりませんので、
一品物という位置づけです。
その為、試作品=実用品という感じになります。
まぁ、他に欲しいという方がいらっしゃれば、お分けすることも可能ですが。

 

さて、実際の製作工程ですが、まず最初は基板の設計。
次にケースの設計という段取り。

基板に実装されてるカウンターの表示部が
ケースから出ることになるので、
基板の設計が固まらないとケース設計が確定しません。
なのでまず最初に基板の設計です。
とは言え、ケース内の配線をある程度頭の中で描いておかないと、
基板上のコネクター配置が決まりませんので、
そういう意味では平行して設計を行うとも言えるかもしれません。

 

基板設計の最大のネックは負荷電流の測定方法ですが、
まずは専用ICを使う方法を試してみることにします。
具体的にはAllegro社のACS724という石を使ってみます。
この石は秋月電子で販売しているので入手性が良いからです。

秋月電子のサイトを見ると、電流測定用ICというのが他にも見つかりますが、
交流も測定できるのはこのACS724だけです。
ただ、SOPパッケージなので、ブレッドボードやユニバーサル基板にて、
お手軽に試すことが難しいのが残念なところ。
変換基板を使えばいいのでは?と思われるかもしれませんが、
この手の電力を扱うICの場合、それを考慮した変換基板じゃないと、
問題出る場合あるので要注意なのです。

このACS724、データーシートを見ると複数のバリエーションが存在してますが、
秋月電子で扱っているのは1タイプのみ。
測定範囲が±10Aの交流測定可能型です。
こんな小さなパッケージで10A流せるのも凄いと思いますが、
最上位タイプはなんと±50A!!
どんな基板設計になるのやら・・・・・・・

今回のヒートガン・カウンターでは最大でも5A測れれば十分なので、
秋月電子に置いてある石で問題有りません。

交流を測定するにもかかわらず、この石の電源は+5Vの単電源。
どんな出力が出てくるの?というのが最初の疑問。
しかしデーターシートを見ても、いまいちピンと来ないんですね。
ならば実際に動かしてみるのが てっとり早い!

バラック風に最低限の動作可能なものを組んで、出力信号を見てみました。
すると、解ったことは以下の2つ。

①測定電流がゼロの時は、出力に+2.5Vが出てくる。

②測定電流量に応じて、出力電圧が変化する。
 電流方向が+の時は電圧が上昇、
 電流方向が-の時は電圧が減少です。
 なお電圧の変化量はリニアスケール。

要するに、ICの電源電圧の半分である2.5Vを中心として、
電流量と電流方向に応じた波形が出てくると話でした。
仮に交流信号を流した場合、2.5Vを中心とした正弦波形が出力されるということです。

ACS724の出力信号については理解できました。
問題は これをどうやって電圧値に換えてやろうか?という話。
今回の場合、あくまで目安の値が取れれば十分なので、
測定器のような精巧さで変換を行う必要ばありません。
しかしこの波形は ちょっと面倒です。
交流電圧を直流電圧に変換して読むとしたら、
ローパスフィルターで均してしまうのが簡単ですよね。
しかし今回の波形の場合、ローパスフィルターから出てくるのは+2.5Vの電圧です。
これは電流値にかかわらずです。
この変換については ちょっと考えてみることにします。


その他の回路についてですが、まずは電源。
今回はACS724のおかげで+5V単電源で済みそうなので、
電源トランスは使用せず、モジュール型のSW電源を使用することに。
具体的にはMEAN WELL社のIRM-01-5を使うことにします。

これは基板実装型の電源モジュールで、
AC100~200Vを入力するとDC5V 0.2Aを出してくれます。

この手の基板用モジュール型電源は国内メーカーも含め以前から存在してましたが、
単価が高いので あまり好んで使いたい代物ではありませんでした。
しかしMEAN WELL社のこの製品は それらと比べるとお手軽な価格なので、
採用しやすいかなという印象です。

電源トランスを選択しなかった理由は もう1つありまして、
基板実装のトランスだと容量が心許なかった為です。
マイコンやACS724程度であれば問題無かったのですが、
今回はカウンター表示に7SEG-LEDを使用する予定。
これが そこそこ電流を消費するわけです。
IRM-01-5であれば0.2Aまで取れるので、これだけあれば足りるはずです。
電源トランスよりも高さが低いので、ケースが薄くできるというメリットも。


カウンターのリセットは電源リセット式とします。
つまり、リセットしたいときは電源を切るというもの。
この手のカウンターだと、リセットSWを設けるのが一般的かと。
私もその線で検討していましたが、よ~~く考えてみると、
リセットSWでカウンターを初期化する場合が存在しないようなのです。

工場ラインとかで常時稼働する装置であれば、
電源SWとは別にリセットSWを設ける必要がありそうですが、
今回のヒートガン・カウンターは、ヒートガンを使用する時だけ、
一時的に使用する装置です。
平時は電源が切られている状態であることを考えると、
電源リセットで十分だろうという結論に達しました。


最後にケースですが、本体は3Dプリンターで出力するABS製でいきます。
一品物かつ、自分で使用する代物ですから これで十分ですね。
ただ、電源SWとヒートガンを繋ぐACコンセントについては、
はめ込みタイプを使用する予定。
するとABS製だと しっかり止まらないという問題が!
なので、電源SWとACコンセントを付ける面については、
金属のプレートを使用することにします。
はい、おなじみのmeviy製ですね。(笑)
切削加工品だと それなりに高くなってしまいますが、
今回のようなケースだと曲げ板金で十分なので、
一品物としては問題無いレベルの価格で済みます。
更にせっかくの機会なので、先日始まったばかりの刻印サービスも使ってみようかと。


という感じが現在の状況です。
基板の回路の詳細については、試作が進むにつれて記載していくつもりです。

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