2023年5月17日水曜日

7SEG-LEDのドライブ

 最近は液晶表示パネルが安価になってきたこともあり、
以前よりも7SEG-LEDの出番は減ってきたように思います。
とは言え、まだまだ7SEG-LEDの出番は残るでしょうし、
先の記事の「ヒートガンカウンター」でも、表示器として7SEG-LEDを使用します。

さてその7SEG-LEDを使用する際、
皆さんはどのようにドライブしているでしょうか?

ここで私の個人的な好みも含め、いくつか掲示してみることにします。

まず前提として、7SEG-LEDの制御を行うのはマイコンとします。
7SEG-LEDはアノードコモン型を使用します。
参考回路は概念図で、実際に必要となる抵抗・コンデンサー等は
大幅に省いております。

①スタティック点灯










 

 

 

各セグメントLEDを出力ポートでドライブします。
各素子にそれぞれ出力ポートを割り当てる、非常に単純な回路です。

 

②ダイナミック点灯









 

 

7SEG-LEDのドライブ方法として、結構ポピュラーですね。
スタティック点灯式よりも出力ポート数が少なくて済みます。
各桁の7SEG-LEDを順番に点灯させるので、
点灯LEDが常に動くという点から「ダイナミック」という名称に。

 

③専用IC方式 その1

7SEG-LEDをドライブする為のICというのも世の中に存在します。
以下は74ロジックICシリーズの中から7447を使用するケースです。











 

マイコンから7447へは4ビットのBCD値にて表示値を指示します。
それを7447がデコードし、7SEG-LEDを駆動します。
上の図ではスタティック点灯方式になっていますが、
7SEG-LEDのコモン側にトランジスターを噛ますことで、
理論上はダイナミック点灯させることも可能ですが、
上記のダイナミック点灯方式と比べるとメリットが薄いと思われるので、
7447を使用する際はスタティック方式を推奨いたします。

仕様上、7447にはドットを点灯させる機能は無い為、
ドットを点灯させたい場合は別途ドライブする必要があります。

 

④専用IC方式 その2

前述の7447は割と低機能なICですが、
ここではインテリジェントな制御ICの例として、
東芝のTB62785を紹介いたします。







 

7447と異なり、TB62785は遥かにインテリジェントな石です。
このIC1個で最大4桁までドライブできます。
マイコンからはSPIに似たシリアル信号線で制御されます。
7SEG-LED自体はダイナミック方式でドライブしていますが、
その制御はTB62785自身が行うため、マイコン側が意識する必要はありません。


 

以上、4種類ほど挙げてみました。

「スタティック点灯」は一番単純な仕組みですが、
桁数が増えると必要な出力ポートがガッツリ増えるので、
回路規模が大きくなってしまうという難点がありますが、
逆に桁数が少なければ内容が単純で済むので、デバッグも割と楽です。

 

「ダイナミック点灯」は出力ポート数が少なくて済むものの、
7SEG-LEDのアクセス動作が止まると7SEG表示もおかしくなります。
その為、4種類の中では一番デバッグが面倒です。

桁数が多い場合の要注意点を挙げておきます。
ダイナミック点灯方式では、点灯しているのは1桁のみです。
各桁を順番を点灯させることで、見かけ上全てが点灯しているように見せてます。
従って通常の輝度光らせると、見かけの明るさは非常に暗くなります。
なのでダイナミック点灯では通常よりも多くの電流を流し、
見かけの明るさを補完するという設計になります。
この際の電流値は通常点灯時より遥かに多い値です。

ではダイナミック点灯のドライブが何らかの原因で停止した場合、どうなるでしょう?
全桁が消灯する様になっていたなら大事には至りませんが、
そのような安全対策の仕組みすらも停止してしまった場合、
任意の桁1つのみが連続点灯する事態に陥ります。
この際に流れる電流は上記に書いた様に通常点灯よりも多いので、
ワーストケースとして7SEG-LEDが焼けてしまいます。

ダイナミック点灯方式の注意点として、留意しましょう。


「7447方式」は上記ダイナミック点灯方式のデメリットが無く、
かつ必要な出力ポートが少なくて済むのがメリットです。
7447に関しては7SEG-LEDを繋ぐ端子がオープンコレクタタイプで、
耐圧が15Vという設計になっているので、
7SEG-LEDの点灯用電源を高圧にする、なんてことも可能です。
7447間を連結することにより、上位のゼロを自動的に消灯する事も可能です。
(上位ゼロサプレッション)
また、LTピン入力にて強制的に全点灯させる機能も有ります。

半面、ロジックICが桁数分必要となり、そのICの入手性も悪化している事、
74シリーズである為5V動作である点が難点として挙げられるでしょう。
接続する7SEG-LEDも、アノードコモン型に限定されます。

なお、7SEG-LEDの文字形を変更した74247等、
ファミリーICが存在している点も記載しておきます。

 

 「TB62785方式」は非常に高機能で使いやすい石です。
IC1個で4桁までドライブできると記述しましたが、
TB62785をカスケード接続することにより桁数を増強することも可能です。
7447同様、7SEG-LEDの点灯用電源は専用入力となっており、
最大で17Vまで対応可能です。

7SEG-LEDの輝度はR-EXTピンに接続した抵抗にて調整します。
その為、7SEG-LEDに繋ぐ抵抗は不要となり、
大幅な部品削減が可能です。
もちろん抵抗の代わりにボリュームを使用することも可能です。
なお、TB62785の内部レジスタにもデューティー比の設定が有るため、
マイコンからの制御にて輝度変更も可能です。

シリアルポートは事実上SPIポートと同様なので、
マイコンからの制御も さほど難しくはないでしょう。

マイコンとの通信部を含む制御回路部の電源が5Vなので、
3.3V動作のマイコンとのインターフェースには一捻り必要となってしまいます。
TB62785は高機能な分、7447等のロジックICよりは高価です。
桁数が少ない場合には、部品代が高くなってしまう懸念があります。


以上、ざっくり記載してみましたが、参考になれば幸いです。

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