2023年5月12日金曜日

ヒートガン・カウンターの製作検討

 これは売り物でなく、あくまで私が使用する為の治具機材の話です。

外注として請けてる作業の中で、ケーブル加工というものがあります。
普通、ケーブル加工はケーブル屋に依頼するものですが、
加工作業にちょっと特殊な内容が入っていると請けてくれないのですね。

一般的なケーブル屋は量産工程に絡む業者なので、
単価が取り沙汰されるケースが多いわけです。
なので、一流の技術屋が固めてるケーブル屋というのは聞いたことが無く、
ほとんどの作業者はパートのおばちゃんというのが実態。

パートのおばちゃんと言えども、数をこなしていますから
それなりにハンダ付けの腕は悪くないわけですが、
所詮電子工作に精通しているわけではないので、
特殊な内容になると対応できないという話になってしまうのです。

余談になりますが、このケーブル加工という業種も、
広義のハード屋に含まれますから、上記のパートのおばちゃんもハード屋という扱い。
しかし所詮パートですから、時給は そんなに高くはありません。
ここらへんがハード屋の時給を引き下げてしまってる一端と言えなくもないですね。


さて、話を本題に戻しまして、
私が請けてる内容の1つに、コネクター取付作業というのがあります。
コネクターをケーブルにハンダ付けするという内容ですが、
ハンダ付けした個所は熱収縮チューブでカバーするというのかお約束内容。
この熱収縮チューブを収縮させるのに使うのがヒートガンです。

しかしボケた頭で作業していると、
ヒートガン加熱を忘れてカバーを付けてしまうという
うっかりミスの可能性がゼロではありません。

このポカ避け対策として、ヒートガンの使用回数をカウントすれば、
上記のミスの有無がはっきりするというわけです。

という経緯で名称「ヒートガン・カウンター」、略してHGCの製作検討を開始。

ヒートガンのスイッチから信号を引っ張り出してカウントすれば、
簡単にカウントできるのでは?と思われますが、
それだとヒートガン自体に手を加える必要があります。
ヒートガンは ある程度使用すると故障・買い替えが発生することから、
この方法は避けたいところです。

そこで、ヒートガンの電源ラインを監視し、
電流量でヒートガンのONを検知する方法を考えることにします。

電流量を測るとなると、ざっくり以下のような方法が頭に浮かびます

 

①電流経路に抵抗を噛ませ、その抵抗に発生する電圧を見る方法

ある意味、一番オーソドックスな方法ですね。
この方法が使えるなら、これがお手軽で安定感もあるところ。

しかし今回の場合、抵抗を噛ますのはAC100Vの電源線となります。
ヒートガンも小型のタイプとは言え、数百W消費する代物ですから、
電流値も4Aくらいは見込む必要があります。
すると噛ませる抵抗値も微小にする必要が有り、
それをオペアンプで増幅してやらなければなりません。
抵抗に発生する電圧は当然AC信号ですから、
これを増幅してDC信号に変換するというのは、
ちょっとだけ回路規模が大きくなります。
AC100Vラインの抵抗からの信号ですから、
回路全体がAC100Vラインと直結される形になりますので、
その点も考慮する必要があります。

 

②電流経路にCT(=カレントトランス)を入れ、電流値を得る方法

これはACの電流値測定ではもっとも一般的とも言える方法です。
電流経路とCTとの間は磁気結合なので、絶縁されます。
なので安全面で非常に有利です。
更にCTのターン数を増やすことで出力信号の振幅を大きく出来るため、
微小信号を扱う必要がなくなるのも利点です。
難点としては抵抗よりも高価なこと、
磁気結合を介するので抵抗式と比べると精度に限界があること、
そして最後にAC電源ラインに限定されることです。

 

③電流センサーICを仕様する方法

世の中にはセンサーを内蔵した電流値検出の為のICが存在します。
直流電流専用のみならず、交流電流にも対応している物もあります。
測定対象は交流電流でも、ICからの出力は直流で出てきますから、
マイコン等で処理するならば非常に好都合ですね。
難点としては数百Aクラスの大電流には対応できないことですが、
これは現実的に問題となるケースは少ないと思われます。
あとはICの入手性でしょうか?

 

余談として以下の方法も
④フォトカプラーを噛ませる方法

電流経路にAC入力のフォトカプラーを繋ぎ、
その出力をリニア値として処理し、電流値を得る方法です。
フォトカプラー自体は そういう使い方も可能なのですが、
フォトカプラーの入力はせいぜい数十mAが限度なので、
数Aの電流を測ろうとしたら、分流器を噛ませる必要があります。
分流器自体は抵抗で簡単に製作できそうと思いきや、
フォトカプラーの入力というのは発光ダイオードですから、VFが存在します。
このVFを含めた分流器の設計というのが非常に大変なのです。
ですので、この方法は事実上 選択肢に上がりません。


とまぁ、ここまで検討を進めておりました。
さて、どれにするかですが、実績を考慮するなら②ですが、
今回は③の方向で考えております。
丁度いいICが秋月電子の在庫に有る模様。
在庫は多くないようですが、今回は一品物なので問題になりません。

ということで、この話は 今後も続きます。

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