2025年9月14日日曜日

GLK060の残念な話

 某案件にてトルクレンチやトルクドライバーが必要になり、
各メーカーを比較の上、3機種を選定。
その内の1つがKTCさんのGLK060です。

これはドライバー形状なので、トルクドライバーと呼ばれますが、
締込みトルクを管理する点で、トルクレンチと全く同じ働きです。

KTCさんのGLKシリーズは対応トルク域の違いで3機種存在し、
GLK060は一番低トルクの製品です。
対応トルクは12~60cN・mという感じ。
N・mに変換すると0.12~0.6N・mという範囲になります。

この位の低トルクだとトルクレンチでは締めすぎちゃうミスが起きやすいので、
トルクドライバーの方が好都合かもしれません。
ただトルクドライバーはその形状的にネジの同軸上にスペースが必要となるので、
場合によってはトルクレンチじゃないと作業できないケースが有るかも。

 

さてこのGLK060ですが、デジタルタイプということで、
トルク測定と判定を電子処理にて行っています。

単純測定動作ならば、締込み時のトルクをリアルタイムにデジタル表示します。
プリセットモード時は、予めセットしたトルク値に達したらブザー音が鳴る、
という動作をします。
いずれにせよ、クラッチ機構等で締込みトルクを遮断する仕組みは無いので、
更に締込みを続けるとオーバートルク状態になってしまいます。 

機械的なトルク遮断機構を持つトルクレンチとは異なる仕組みというわけです。

しかしデジタル式には1つ、大きな利点があります。
機械式トルクレンチの様に、使用後に設定トルクを緩める必要が無い事です。
機械式トルクレンチは設定トルクをセットしたまま保管してはいけないのです。

常に1つのトルク値でしか使わない場合には、
常時にその値をセットしたままにしておきたいと思いますよね。
そうすればセットの手間も省けるし、セットミスも防げますし・・・・

しかし、機械式トルクレンチでは この使い方はNGなのです。
値をセットしたままというのは内部機構にテンションが掛かったままの状態。
これが動作値のズレの原因になってしまうんですね。
なので使用後は設定値を0もしくは最低値にセットして保管する、
というのが機械式トルクレンチのお約束です。

と・こ・ろ・が、電子式だとこれが不要なのです。
ふ~~ん、と感じられるかもしれませんが、
機械式トルクレンチでの上記作業って、結構手間に感じるんです。
使用後に0に戻すのを忘れてしまう事も そこそこ発生します。

現在使用中のトルク工具の中で唯一の電子式であるGLK060は、
その点に非常に気が楽なんですね。
これは使い始める前には全く気付きませんでした。

 

さてそんなGLK060ですが、そこそこ使い出してからある現象に気付きました。 
オートパワーオフが効かない。

電子式動作ですから当然電源が必要でして、GKL060はリチウム電池が入ってます。
充電式ではない1次電池です。 
電源入りっぱなしを防止する為、計測しないまま一定時間経つと自動で電源が切れる
オートパワーオフ機能が付いております。
私は5分に設定して使用しているのですが、10分放置しても電源が入ったまま!

最初は私の勘違いか?とも思いましたが、改めて検証すると やはりおかしい。
しかも、オートパワーオフが効く時と効かない時があるという、なんともややこしい状態。 

メーカーのサポートに連絡しまして、すぐに新品交換して頂いたのですが、
全く状況変わらず(笑)
改めてメーカーへ連絡すると、代替品貸し出しの上、調査の為預かりという流れに。
この辺、KTCさんのメーカー対応は良いと感じました。

代替品が届いたので、不具合品はメーカー送りに。 
まぁ予想はしていましたが、代替品でも現状は発生しておりました。(笑)

そして1ヵ月くらい経ったかな?
メーカーから改めて新品を送るので代替品を返送してとのこと。

そして届いた新品。全く変わっていませんでした(笑)

たぶん、KTCさん内部でファームを書いたとは思えないので、
開発担当者がバグを潰せないんでしょうね。 
幸い計測動作自体は問題無いので、忘れずに手動で電源オフすることとし、
このまま使い続けることにします。

 

なんか、KTCさんへの愚痴っぽく見えてしまうかもしれませんが、
これ、現在の日本のものづくり環境が垣間見えてしまうのですよ。
真っ当なレベルで組込みのファームを書ける人が激減していってるという話です。

それを感じてるのでKTCさんだけを責めるのはお門違い。
なので仕方ないなぁと折り合いをつけてるわけですが、
今後、KTCさん以外でも類似の話を耳にする機会が増えていくと思われます。 

2025年9月11日木曜日

養生テープの比較

すっかりメジャーになりました養生テープ、
当方でも かなり出番が増えてまいりました。

今までは近所のホームセンターで調達していたので、
お店の品揃えに左右されることから、特に製品を選択していませんでした。 

今回はホームセンターではなくヨドバシカメラから購入する事にしました。
すると、扱い品種が非常に豊富なんですね。
それならばこの際、お気に入り品を決めてしまおうと画策。
複数種類を購入して比較することにしました。

 

まず今回購入したのが下記。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上の6点ほど購入してます。
実はもう1点、「セキスイ製 スマートカットテープ #833N」という製品も
注文していたのですが、発注後3日経っても発送されないことからキャンセルしました。
入手性が悪いのは明らかにマイナスポイントだからです。

 

それともう1つ、取引先からの支給品も評価に混ぜてみます。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

この商品はヨドバシで扱いが無い為、私が購入する事はありませんが参考用にと。 

 

 

さてでは早速開封し、並べてみます。







左から
 「テラオカ製 P-カットテープ」
「菊水テープ製 ももいろ養生一番」
「トラスコ製 養生用テープ PTC-5025」
「セキスイ製  フィットライトテープNo,738」
「光洋化学製 カットエースFP」
「ニトムズ製 床養生テープ」

大事な事を書き忘れていましたが、色は全てピンクです。
これはピンク色のエアーキャップと組み合わせて使用するからです。

まず、すぐに気が付くのは、一番左の「テラオカ製 P-カットテープ」の色味。
これだけ明らかに色が浮いてますよね。
ピンクと言えない事もありませんが、他のテープと比べると、赤みが強い感じ。
実際、エアーキャップの色ともかなり違和感があります。

その他の製品は似たり寄ったり。
強いて言えば、「セキスイ製  フィットライトテープNo,738」が僅かに紫色ぎみ?
でもこの程度は全然気になりませんので問題無しです。

 

巻きの外径に差を感じますが、どの製品も25m巻きで同一です。
なのでこの外径差はテープ厚の様です。 

 

次に手で切った際の感覚です。
養生テープをハサミで切る人は少ないのではないでしょうか?
私も通常、手でカットして使用しております。

早速、各テープを手でカットして感触を確かめます。
官能試験になるので、数回試してます。

一番切りやすかったのは「光洋化学製 カットエースFP」と、
「ニトムズ製 床養生テープ」の2点。
この2つですが、実は同一製品なのではないかと疑っております。

次いで、僅かの差で「トラスコ製 養生用テープ PTC-5025」という感じ。

その他の製品については切りづらいというわけではなく、
テープの強度に由来すると思われるのですが、僅かに力が必要だったという話です。
ですのでどの製品も手でカットするには全く問題有りません。

なお、「菊水テープ製 ももいろ養生一番」と
「セキスイ製  フィットライトテープNo,738」は
切断面に千切れた繊維が散見されるので、見栄えが問題になりそう場合は
ハサミで切った方が良いかもしれません。

 

最後に一番気になる接着力です。
養生テープですからガッチリ貼り付かれると困ってしまうわけですが、
かと言ってすぐに剥がれてしまうほど弱いのも困りもの。 

この接着力ですが、メーカーから公称値が発表されてる物もあります。
それを調べて比較する手もありますが、
ここは簡単に実物の感触で調べてみます。

と言っても、引っ張り試験機の類を持ってるわけではないので、
アルミ板に張り付けた後に手で引っ張るという、またも官能評価です(笑)

さて結果ですが、一番貼り付きが弱いのは 「光洋化学製 カットエースFP」と、
「ニトムズ製 床養生テープ」の2点。
この結果からもこの2つが同一品の可能性が高いと思われます。
たぶん、ニトムズの方がOEMなんでしょうね。

その次は 「菊水テープ製 ももいろ養生一番」という感じ。
上記2点との差はわずかです。

それからグっと貼り付きが強いのが下記の3点。
「セキスイ製  フィットライトテープNo,738」
「トラスコ製 養生用テープ PTC-5025」
「テラオカ製 P-カットテープ」
この3点の接着力はだいたい似た感じで、割としっかり貼り付いてくれます。

 

なお 、おまけで参加の「ホリコー製 桃色番長」ですが、
色味は他のピンク色とほぼ同一、手切れ感はやや硬めで、繊維露出有り、
接着力は先の6点のほぼ中間という感じでした。

 

 

総評ですが、 「テラオカ製 P-カットテープ」は色味に問題有るので、
真っ先に選択から脱落ですね。

エアーキャップに貼る事を考えると、剥がしやすさは重要ではないので、
むしろ貼り付きが弱い方が困惑することから、「光洋化学製 カットエースFP」、
「ニトムズ製 床養生テープ」、「菊水テープ製 ももいろ養生一番」の
3点はご退場頂きましょう。

すると残るのは「セキスイ製  フィットライトテープNo,738」と
「トラスコ製 養生用テープ PTC-5025」の2点ですが、
これですと「トラスコ製 養生用テープ PTC-5025」の圧勝という結果です。

と言うのも、「セキスイ製  フィットライトテープNo,738」は単価が数割高いのです。
更に手切りの感触もトラスコ製の方が良いですから、
セキスイ製を選ぶ理由が見つかりません。

ということで、今後は「トラスコ製 養生用テープ PTC-5025」を愛用しますd

 

2025年9月9日火曜日

MB7051での失敗

 とある案件にて、超音波測長センサーを使用してまして、
当初使用したセンサーから2種類めのセンサーに換えた際のトラブル話です。

 

当初使用していたのはMaxBotix社のMB7383というセンサー。


 

 

 

画像は秋月電子様より

 

 

 

 

 

お手頃価格で10mまで測れ、仕様的に使い易く、入手性も良好。
なかなか良さげな製品ですね。

これを使って各種テストを行っていたわけですが、
唯一の難点は検知範囲の広さ。

レーザーの様にピンポイントで超音波が当たるわけではないので、
側方に壁等が有ると検知してしまう場合があるんですね。
なので設置が やや面倒なのでした。

そうこうしている内にMB7051という製品が発売されました。





 

 

画像は秋月電子様より

 

 

 

  

 

写真で解る通り、ホーンが延長されています。 
これにより指向性がかなり狭まり、側方の影響を受けづらくなりました。

センサーが大型化した点は ちょっとだけ困惑ですが、
設置環境に関しては かなり改善されるので、
早速こちらのセンサーへ置き換える事にしました。 

 

接続端子部も電源電圧等もMB7383と同一なので、
サクっと差し替えて動作チェック。
特に問題無さそうです。 

このシリーズのセンサーは複数種類の出力を持っています。
1つ目はTTLレベルのシリアル信号出力。
2つ目はアナログ電圧出力。
3つ目はPWM出力です。

メーカー的にはシリアル出力利用がお勧めらしいです。
たぶん、センサーの測長処理を行うICがシリアル信号まで生成し、
そのデジタル値を基にアナログ電圧を生成していると推測されます。
なお、PWM出力については どこで生成してるか不明です。 

そういうわけで、センサー個々のテストはシリアル出力を使って行ってました。
TTL-RS232変換器を噛ませば、簡単にパソコンへ繋げられます。

 

センサーの個体テストが完了したところで、いよいよターゲット装置へ組込み。
この装置ではシリアル出力を使用せず、アナログ電圧出力を使用します。
シリアル信号は他のセンサーで使用するので、ポートが埋まっている為です。 

いざ稼働させると、測定値が何かおかしい!!
測定距離がとても短くなってしまいます。 
MB7383では全く問題無かったので、疑うとしたらMB7051です。

 

結論から申し上げると、MB7383とMB7051では、
アナログ電圧のスケーリング値が異なってました。

どちらも0~10mレンジのセンサーで、
シリアル信号出力では全く同じ様に信号が出てきます。

ところがアナログ電圧出力では異なっているのでした。 
MB7383では0~10mに対し、0~5Vの電圧が出てくることになっています。

それに対しMB7051では0~10mが0~2.5Vの電圧出力となるのです。

マニュアルの一部に、文章でサラっと書かれていたので
気づくのに時間掛かってしまいました。
思い込み効果が発動してたようで、反省反省。

 

なんでこんな紛らわしい仕様変更しちゃったのかと推測すると、
アナログ回路の出力電圧域の問題と思われます。

センサーの電源電圧は3.3~5Vなのですが、
それを昇圧することなく、そのままアナログ回路に使用している模様。
すると当然ながら、アナログ出力が電源電圧まで振れること無いわけです。

MB7383では距離10mの時にアナログ電圧出力値が電源電圧の値になる仕様。
つまりアナログ電圧出力では10mの距離が測れないという話です。

それに対しMB7051だと距離10mでも2.5Vしか出てこないので、
上記の問題は回避できるわけです。

この改良は良いと思うのですが、ならばMB7383の時点で
この仕様にしてて欲しかったですね。 

2025年8月23日土曜日

ボイスレコーダー基板2つ目 ADSU01

 先日、ボイスレコーダー基板の検討として、DFR0745を試してみました。
結果として仕様的に合致しなかったので改めて別な基板を探しまして、
見つけたのがビット・トレード・ワンのADSU01

見つけ次第すぐに発注したものの、盆休み中だったもんで届いたのは盆休み明け。
その後、仕事の合間を縫って、ちまちまと評価テストを行っていました。 
現時点の感触はDFR0745より非常に良いです。

 

DFR0745は基板のみで音声の録音もできますが、
ADSU01は 再生データーをPCから転送する必要が有ります。
そういう意味では、ADSU01はボイスレコーダー基板ではなく、
再生基板と言うのが正しいでしょう。

また、DFR0745と異なり、スピーカーを駆動できるアンプを載っていません。
その為、再生にはアンプ回路が別途必要になります。

しかしUSBポート経由で簡単にデーターを転送できる点、
再生の為の外部I/Fの使い易さという点から、
ADSU01は組込み用途を強く意識していることが感じ取れます。

もちろん、ADSU01もSDカードを使用せず、
オンボードのFLAHメモリにデーターを保持するので、
SDカードに由来する動作不具合は発生いたしません。


DFR0745ではPCに繋ぐとUSBメモリーとして認識され、
データーファイルを自由に読み書きすることが出来ました。
(読み書き出来ても事実上無意味だったのですが)

ADSU01ではあくまで専用ツールを経由してデーターを書き込みます。
読み出しは出来ない模様。
この専用ツールの動作がちょっと判りづらくて、
きちんとADSU01を認識できているのか、きちんと書込み出来ているのか、
ハッキリしないという難が有りました。
結果的に問題無く書けていたので結果オーライなのですが・・・・

 

マニュアルにはサンプリングレート約40KHzで、
音質も良いという文言が見受けられます。
パッと見の感覚だと、音楽再生にも耐えられるレベルの音質なのか?
と錯覚してしまいそうですが、残念ながらそこまでではありません。

音質的にはDFR0745と大差無く、音声ならば十分という感じです。

ADSU01ではPICマイコンのPWM出力を利用してDA変換を行ってます。
ちなみにPWMのベース周波数は約46.8KHzでした。

DA変換後のノイズ除去の為、CRローパスフィルターが2段入ってます。
このフィルターのカットオフは約8KHz。
試しにこのLPFをスルーしてみましたが、
ノイズが増えるだけで再生帯域が広がりはあまり感じませんでした。
どこかの段階で、再生データー自体に高域カット処理が施されているのかも? 

 
再生データー長ですが、最大で約90秒とのこと。
FLASHメモリーの容量による制限なのでしょうね。
このADSU01では4種類の再生データーを持つことが可能で、
どれを再生するか簡単に選択できます。
この仕様も非常に使い易くて高評価なのですが、
4種類合わせて約90秒という話なのです!
従って、実際に4種類使用するのは結構難しいかもしれません。
もっとFLASHメモリーの容量が大きかったら良かったのですが・・・・

 

あと要注意点として、USBコネクターがミニBタイプです(笑)
うちにはケーブルが有りましたが、持って無い方もいらっしゃるかも?

 

余談ですが、この基板、手実装のようですね。
チップ部品のハンダが盛り過ぎ傾向。
抵抗は問題無いのですが、チップコンは ちょっと心配かも・・・・・

 

 

2026/1/17 追記

複数のボイスデーターを書き込み、再生のテストを行ってみました。
再生中に再生開始信号が入ると、再生がキャンセルされ新たな再生がスタートします。 
この動作使用はマニュアルには見当たりません。

この動作仕様の方が便利なケースも有ると思うので、
これ自体がダメと言う話ではありません。 

ただ、APR9600基板を置き換えする場合、このままだと置き換えできません。
具体的には再生中は新たな再生開始信号をキャンセルするような仕組みが必要です。
ADSU01からは再生中表示信号が出ているので、
これをうまく絡ませることでキャンセル回路を組みことができるでしょう。

2025年8月13日水曜日

レベル変換基板について

先日、Xにて「ラズパイのI/Oは3.3Vだから、5Vデバイスを繋ぐ際はレベル変換が必要だよ」という書込みを見かけた。
これはとても大事な話なのだが、ビギナーの方はスルーしがち。
しかしこの対処を怠ると、原因不明の謎動作が起きたり、
最悪の場合 破損が発生したりするんですね。

 

先のXの書き込みでは、中華製?と思われるレベル変換基板を使用していました。 
写真を見る限り、MOS-FETを使った双方向レベル変換基板っぽい。

この方式の変換基板は動作の巧みさゆえに結構話題になり、
瞬く間に変換基板のキットがあちこちで販売される状況になりました。
かく言う私も設計までは完了させ、基板を作るかどうか検討したものです。
(結果的に基板化は見送りましたが)

 

今回の話は ここからが本題。

このFETを使った双方向レベル変換回路、 電源と変換したい信号線を繋ぐだけなので、
非常に扱いが楽なのがメリット。
そう聞くと、ビギナーにぜひお勧めしたい一品と思われそうですが、
ちと注意点があるのです。

単にそれっぽく信号の電圧が変わってくれるだけなら、これで構わないのですが、
専用のレベル変換ICを使った場合の様な電圧レベルを期待する場合、
この方式の変換基板を使ってはいけないのです。

 

一応、この双方向レベル変換回路の動作を説明しておきましょう。
と、ここで私が解説すると、結構なボリュームになってしまうので、
Digi-Keyさんの資料を紹介させていただきます。 

動作原理 

いやほんと、なかなかに上手い回路だなと感心するわけですが、
世の中そんな美味しい話ばかりじゃない!!(笑)

この変換回路の要注意点を簡単に纏めますと、

1.ローレベル時は信号出力デバイスが全ての電流を吸う事になる

  この変換回路には+電源を供給するけれども、GNDへ繋がる箇所がありません。
  これは、信号がローレベルになる時は、信号を出してるデバイスが、
  各部を流れる電流全てを吸ってるからなんですね。

  ロジックICでの変換の場合、I/Oピンの入出力電流なんて
  ほぼ気にする必要がありません。
  特殊なICを使わない限り、流れる電流は微小だからです。 

  しかしこの双方向変換回路の場合は ちと注意が必要です。
  2個存在するプルアップ抵抗の値によっては、結構な電流が流れるからです。

2.ローレベル電圧が0Vから若干浮く

  ロジックICでの変換の場合、ローレベル時の電圧はICに規定されていて、
  当然問題にならない電圧になっています。

  ではこの双方向変換基板の場合は、上記よりも少し電圧が上がるんですね。
  具体的には下記の電圧になるんです。

  ローレベル電圧=信号出力デバイスのローレベル電圧+FET部のドロップ電圧

  注目はFET部のドロップ電圧です。
  どちらが出力側になるか次第で、ローレベル時の電流の流れが変わりますが、
  その際、FETのドレイン~ソースを流れるか、内蔵ダイオードを流れるか、
  の2択となるわけでして、どちらの場合でも電圧ドロップが発生します。
  これでローレベル信号を出してるデバイスのピン電圧に加算されちゃいます。

3.動作速度も遅め

  一般的にロジックICの出力というのはトーテムポール出力になっていて、
  HからLもしくはLからHへの変移時、出力段のFETで信号を出します。
  ですので、それなりに高速です。

  この双方変換回路は、基本的にオープンドレイン回路がベースです。
  ですので、HからLへの変移時は まぁそれなりに速度出るでしょうけど、
  LからHへの変移はプルアップ抵抗に依存します。
  従って速度はプルアップ抵抗の値次第なんですね。 
  プルアップ抵抗の値を小さくすればそれなりに速度は出ますが、
  先に書いた電流の問題があるので、抵抗値を小さくするのにも限度があります。

  このプルアップ抵抗値には正解が無いので、
  市販されてるレベル変換基板を使用する際は、
  ブルアップ抵抗の値に留意する必要があるでしょう。

 

とまぁ、こんな感じなのですが、お手軽な様で割と面倒な感じ。
この双方向変換回路を否定するつもりは さらさらありませんが、
私は専用ICでレベル変換することが多いという感じです。 

2025年8月10日日曜日

DFR0745と格闘

某案件用に手頃なボイスレコーダー基板を探したところ、
DFRobotのDFR0745を発見。
スイッチサイエンスにて販売していたので、早速入手してみました。

ちなみにスイッチサイエンスでのページはこれ。
DFR0745 

小型で、電源も3.3~5Vとワイド対応。
データーは内蔵フラッシュに記録される為、SDカードに起因するトラブルとは無縁。
内蔵フラッシュ容量も16MBと結構な大容量。
最大40分まで録音可能とは十分すぎます。
何より特筆なのは、USBポートにより記録したデーターを取り出せる事。

USBでPCに繋ぐと、データー格納域がフォルダーとして見れます。
録音データーはMP3ファィルとして見えるので、
それをそのままPCにコピーして取り出すことが出来るのです。 

とまぁ、これらを見ると非常に良さげなデバイスに思われます。

 

そもそも某案件での使用目的は、APR9600搭載基板からの置き換え。

上記の仕様を見る限り十分な気がしましたが、
実際に動かしてみないと結論は出せません。

というわけで、テスト環境下で実際に動かしてみました。

 

・・・・・う~ん、結論から申し上げるとAPR9600からの置き換えは難しいです。 

難点その1  操作I/Fの差異 

  APR9600基板では、単純な接点信号だけで再生スタート出来ました。

  ではDFR0745を見ると、一見すると接点信号で再生できるように見えます。
  ところが実際に難が有るんですね。

  DFR0745ではデフォルトの状態がスリープモードなのです。
  再生ボタンを1回押すとスリープモードから再生待機モードになります。 
  その状態でまた再生ボタンを押すと、やっと再生が開始されるのです。

  更にやっかいなのは、余計な音声案内が付随している点。

  この基板、しゃべるのです(笑)
  スリープモードから再生待機モードへ移行する際、モードをしゃべるのです。
  音声ファイルの状況によっては、再生終了時にもしゃべります。 
  組込みで使おうと重さ寺、さすがにこれは使えません。
  ちなみに発声は中国語です。

 難点その2  リピート再生

  APR9600基板では再生はワンショットでした。
  接点信号1回につき、1度しか再生されません。

  ところがDFR0745ではリピート再生なのです。
  再生停止させる為のボタン操作を行わないと、何度も再生されます。
  そういうのが重宝する用途も有るんでしょうが、今回はダメなのです。

難点その3  音声ファイルのフォーマット

  音声データーのファイルをPCから読み書きできる旨は先に述べた通り。
  ならば再生するファイルをPC側で用意して、DFR0745へ転送したいとこですが、
  実はこれ、うまくいかないのです。

  ファイルの書き込みは普通にできるのですが、再生でトラブるのです。
  そもそもDFR0745の音声データーファイルはMP3形式とは言っても、
  ちと特殊な様でして、そこら辺に問題があるのかと。 
  参考までに、以下がDFR0745でエンコードしたファイルのフォーマット。


    ですので、再生データーはDFR0745側でエンコードする必要あるわけですが、
  ここでもまた難が出てくるのです。

  DFR0745のアナログ入力はマイク端子しかありません。
  そのマイク端子はオンボードのマイクとパラ接続されているのです。

  ですので、マイク端子からアナログ信号を入力中、
  マイクからの周辺雑音も混ざってしまうわけですね。
  まぁ、オンボードマイクを物理的に排除する手も有りますが・・・・ 

 

とまぁこんな感じでして、私の方としてはDFR0745の使用は断念します。
もしかしたら、シリアル信号線経由でユニットを制御すれば、
上記の問題点は いくつか解決できるのかもしれませんが、
その検証については他の方にお任せいたします。(笑) 

 

2025/8/11 追記

DFR0745に載ってる石のデーターシートを覗いてみると、
シリアル通信制御のコマンド一覧が有りました。
先に書いた再生動作についてはシリアル制御すれば解決できるっぽいです。
ただ、モジュールがしゃべる件については不明。
これをディセーブルするコマンドというのが見当たらないからです。
実機確認するしかない模様です。 

 

2025/8/11 追記2

気になったので、DFR0745をシリアルでアクセスしてみました。

最初、自家製EIA-574レベルを噛ませ、
TeraTermから手打ちでコマンドを送信してみたが、なぜかうまく通信できず。
DFR0745をコールドブートさせると"OK"が届くので、ハード的な問題で無い模様。

もしやと思いTeraTermではなくシリアルコマンドエクスプローラー2を使用し、
コマンドを送ってみると正常に通信出来ました。
要するに手打ちだと文字間が開き過ぎてタイムアウトしてた感じかと。

改めてシリアルコマンドで色々試した結果、
ファイルフォーマットの問題以外は全て解決出来る事が判明。
DFR0745がしゃべる件は、「PROMPT」というパラメーターでON/OFF可能でした。
データーシートには、このパラメーターの意味が書いてなかったので、
実際に動かして確かめるしかなかったわけですが、
もう少し解り易く書いて欲しかったところですが、まぁ中華製ですし(笑)

何にせよ、シリアルコマンド制御で使うには、何等かのマイコンが必要となります。
APR9600基板からの置き換えという観点だと、ちと手間が増えてしまいますね。 

2025年8月3日日曜日

キャパシター・アイソレーター

今回は ちょっとした小ネタ基板です。

音響関連で ちと必要になりそうだったので作っておいた基板です。 
名称の通り、コンデンサーを噛ませて直流的に分離する為の物です。
回路は以下の通り。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

部品の定数が入っていませんが、用途に応じて設定する為です。

コンデンサーだけというのも能が無いので、抵抗も少々載せておきました。
負荷抵抗機能や ちょっとしたレベル変更なんかも可能になります。

入出力はコネクターにしてますが、電線直付けも可能です。

以下は基板の実物。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイズは40.64mm角で、 30mmピッチで固定穴を付けておきました。

C1~C8は5750サイズです。
これはPMLCAPを載せる想定だからです。
用途によっては100μF位の容量が必要になる可能性を考慮すると、
使用できるコンデンサーは かなり限られてしまいます。

DCバイアスが掛かっている回路なら電解コンデンサーで足りるでしょうが、
DCバイアスが無い場合は ちとやっかい。

無極性電解コンはノイズ等の観点から避けたいですし、
大容量積層セラミックコンも音質的に避けたいところ。
そうなるとフィルムコンを選択したい感じですが、
大容量のフィルムコンはお手軽に入手できません。
PMLCAPであれば16V耐圧で22μFという製品が存在するので、
これを4個パラにすれば88μになります。
これがこの基板の上限容量ですね。

もちろんそんなに容量が要らない場合は、必要に応じて減らせばOK。
63V 2.2μFというPMLCAPが存在しますので、
それを1個だけ載せれば、最小容量になります。

写真だとPMLCAPのパターンが4つしか見えませんが、
裏面にも実装箇所があります。 

 

R1は負荷抵抗を想定していて2W~3Wの酸金抵抗を実装可能です。
その他の抵抗は1608もしくは2012サイズになっています。
抵抗による機能が不要な場合でも、R2とR3には0Ω抵抗を載せる必要があります。 

 

リード部品が入手可能ならバラックでも組めてしまう代物ですが、
先に書いた様に大容量のフィルムコンの入手が難しい為、
入手の容易なPMLCAPを使う前提で作った基板です。

あくまで自分用で、頒布する予定も無い為、鉛ハンダ基板です。
こんな代物でも欲しいと思われた方、連絡頂ければ対応いたします。