2025年9月9日火曜日

MB7051での失敗

 とある案件にて、超音波測長センサーを使用してまして、
当初使用したセンサーから2種類めのセンサーに換えた際のトラブル話です。

 

当初使用していたのはMaxBotix社のMB7383というセンサー。


 

 

 

画像は秋月電子様より

 

 

 

 

 

お手頃価格で10mまで測れ、仕様的に使い易く、入手性も良好。
なかなか良さげな製品ですね。

これを使って各種テストを行っていたわけですが、
唯一の難点は検知範囲の広さ。

レーザーの様にピンポイントで超音波が当たるわけではないので、
側方に壁等が有ると検知してしまう場合があるんですね。
なので設置が やや面倒なのでした。

そうこうしている内にMB7051という製品が発売されました。





 

 

画像は秋月電子様より

 

 

 

  

 

写真で解る通り、ホーンが延長されています。 
これにより指向性がかなり狭まり、側方の影響を受けづらくなりました。

センサーが大型化した点は ちょっとだけ困惑ですが、
設置環境に関しては かなり改善されるので、
早速こちらのセンサーへ置き換える事にしました。 

 

接続端子部も電源電圧等もMB7383と同一なので、
サクっと差し替えて動作チェック。
特に問題無さそうです。 

このシリーズのセンサーは複数種類の出力を持っています。
1つ目はTTLレベルのシリアル信号出力。
2つ目はアナログ電圧出力。
3つ目はPWM出力です。

メーカー的にはシリアル出力利用がお勧めらしいです。
たぶん、センサーの測長処理を行うICがシリアル信号まで生成し、
そのデジタル値を基にアナログ電圧を生成していると推測されます。
なお、PWM出力については どこで生成してるか不明です。 

そういうわけで、センサー個々のテストはシリアル出力を使って行ってました。
TTL-RS232変換器を噛ませば、簡単にパソコンへ繋げられます。

 

センサーの個体テストが完了したところで、いよいよターゲット装置へ組込み。
この装置ではシリアル出力を使用せず、アナログ電圧出力を使用します。
シリアル信号は他のセンサーで使用するので、ポートが埋まっている為です。 

いざ稼働させると、測定値が何かおかしい!!
測定距離がとても短くなってしまいます。 
MB7383では全く問題無かったので、疑うとしたらMB7051です。

 

結論から申し上げると、MB7383とMB7051では、
アナログ電圧のスケーリング値が異なってました。

どちらも0~10mレンジのセンサーで、
シリアル信号出力では全く同じ様に信号が出てきます。

ところがアナログ電圧出力では異なっているのでした。 
MB7383では0~10mに対し、0~5Vの電圧が出てくることになっています。

それに対しMB7051では0~10mが0~2.5Vの電圧出力となるのです。

マニュアルの一部に、文章でサラっと書かれていたので
気づくのに時間掛かってしまいました。
思い込み効果が発動してたようで、反省反省。

 

なんでこんな紛らわしい仕様変更しちゃったのかと推測すると、
アナログ回路の出力電圧域の問題と思われます。

センサーの電源電圧は3.3~5Vなのですが、
それを昇圧することなく、そのままアナログ回路に使用している模様。
すると当然ながら、アナログ出力が電源電圧まで振れること無いわけです。

MB7383では距離10mの時にアナログ電圧出力値が電源電圧の値になる仕様。
つまりアナログ電圧出力では10mの距離が測れないという話です。

それに対しMB7051だと距離10mでも2.5Vしか出てこないので、
上記の問題は回避できるわけです。

この改良は良いと思うのですが、ならばMB7383の時点で
この仕様にしてて欲しかったですね。 

2025年8月23日土曜日

ボイスレコーダー基板2つ目 ADSU01

 先日、ボイスレコーダー基板の検討として、DFR0745を試してみました。
結果として仕様的に合致しなかったので改めて別な基板を探しまして、
見つけたのがビット・トレード・ワンのADSU01

見つけ次第すぐに発注したものの、盆休み中だったもんで届いたのは盆休み明け。
その後、仕事の合間を縫って、ちまちまと評価テストを行っていました。 
現時点の感触はDFR0745より非常に良いです。

 

DFR0745は基板のみで音声の録音もできますが、
ADSU01は 再生データーをPCから転送する必要が有ります。
そういう意味では、ADSU01はボイスレコーダー基板ではなく、
再生基板と言うのが正しいでしょう。

また、DFR0745と異なり、スピーカーを駆動できるアンプを載っていません。
その為、再生にはアンプ回路が別途必要になります。

しかしUSBポート経由で簡単にデーターを転送できる点、
再生の為の外部I/Fの使い易さという点から、
ADSU01は組込み用途を強く意識していることが感じ取れます。

もちろん、ADSU01もSDカードを使用せず、
オンボードのFLAHメモリにデーターを保持するので、
SDカードに由来する動作不具合は発生いたしません。


DFR0745ではPCに繋ぐとUSBメモリーとして認識され、
データーファイルを自由に読み書きすることが出来ました。
(読み書き出来ても事実上無意味だったのですが)

ADSU01ではあくまで専用ツールを経由してデーターを書き込みます。
読み出しは出来ない模様。
この専用ツールの動作がちょっと判りづらくて、
きちんとADSU01を認識できているのか、きちんと書込み出来ているのか、
ハッキリしないという難が有りました。
結果的に問題無く書けていたので結果オーライなのですが・・・・

 

マニュアルにはサンプリングレート約40KHzで、
音質も良いという文言が見受けられます。
パッと見の感覚だと、音楽再生にも耐えられるレベルの音質なのか?
と錯覚してしまいそうですが、残念ながらそこまでではありません。

音質的にはDFR0745と大差無く、音声ならば十分という感じです。

ADSU01ではPICマイコンのPWM出力を利用してDA変換を行ってます。
ちなみにPWMのベース周波数は約46.8KHzでした。

DA変換後のノイズ除去の為、CRローパスフィルターが2段入ってます。
このフィルターのカットオフは約8KHz。
試しにこのLPFをスルーしてみましたが、
ノイズが増えるだけで再生帯域が広がりはあまり感じませんでした。
どこかの段階で、再生データー自体に高域カット処理が施されているのかも? 

 
再生データー長ですが、最大で約90秒とのこと。
FLASHメモリーの容量による制限なのでしょうね。
このADSU01では4種類の再生データーを持つことが可能で、
どれを再生するか簡単に選択できます。
この仕様も非常に使い易くて高評価なのですが、
4種類合わせて約90秒という話なのです!
従って、実際に4種類使用するのは結構難しいかもしれません。
もっとFLASHメモリーの容量が大きかったら良かったのですが・・・・

 

あと要注意点として、USBコネクターがミニBタイプです(笑)
うちにはケーブルが有りましたが、持って無い方もいらっしゃるかも?

 

余談ですが、この基板、手実装のようですね。
チップ部品のハンダが盛り過ぎ傾向。
抵抗は問題無いのですが、チップコンは ちょっと心配かも・・・・・

2025年8月13日水曜日

レベル変換基板について

先日、Xにて「ラズパイのI/Oは3.3Vだから、5Vデバイスを繋ぐ際はレベル変換が必要だよ」という書込みを見かけた。
これはとても大事な話なのだが、ビギナーの方はスルーしがち。
しかしこの対処を怠ると、原因不明の謎動作が起きたり、
最悪の場合 破損が発生したりするんですね。

 

先のXの書き込みでは、中華製?と思われるレベル変換基板を使用していました。 
写真を見る限り、MOS-FETを使った双方向レベル変換基板っぽい。

この方式の変換基板は動作の巧みさゆえに結構話題になり、
瞬く間に変換基板のキットがあちこちで販売される状況になりました。
かく言う私も設計までは完了させ、基板を作るかどうか検討したものです。
(結果的に基板化は見送りましたが)

 

今回の話は ここからが本題。

このFETを使った双方向レベル変換回路、 電源と変換したい信号線を繋ぐだけなので、
非常に扱いが楽なのがメリット。
そう聞くと、ビギナーにぜひお勧めしたい一品と思われそうですが、
ちと注意点があるのです。

単にそれっぽく信号の電圧が変わってくれるだけなら、これで構わないのですが、
専用のレベル変換ICを使った場合の様な電圧レベルを期待する場合、
この方式の変換基板を使ってはいけないのです。

 

一応、この双方向レベル変換回路の動作を説明しておきましょう。
と、ここで私が解説すると、結構なボリュームになってしまうので、
Digi-Keyさんの資料を紹介させていただきます。 

動作原理 

いやほんと、なかなかに上手い回路だなと感心するわけですが、
世の中そんな美味しい話ばかりじゃない!!(笑)

この変換回路の要注意点を簡単に纏めますと、

1.ローレベル時は信号出力デバイスが全ての電流を吸う事になる

  この変換回路には+電源を供給するけれども、GNDへ繋がる箇所がありません。
  これは、信号がローレベルになる時は、信号を出してるデバイスが、
  各部を流れる電流全てを吸ってるからなんですね。

  ロジックICでの変換の場合、I/Oピンの入出力電流なんて
  ほぼ気にする必要がありません。
  特殊なICを使わない限り、流れる電流は微小だからです。 

  しかしこの双方向変換回路の場合は ちと注意が必要です。
  2個存在するプルアップ抵抗の値によっては、結構な電流が流れるからです。

2.ローレベル電圧が0Vから若干浮く

  ロジックICでの変換の場合、ローレベル時の電圧はICに規定されていて、
  当然問題にならない電圧になっています。

  ではこの双方向変換基板の場合は、上記よりも少し電圧が上がるんですね。
  具体的には下記の電圧になるんです。

  ローレベル電圧=信号出力デバイスのローレベル電圧+FET部のドロップ電圧

  注目はFET部のドロップ電圧です。
  どちらが出力側になるか次第で、ローレベル時の電流の流れが変わりますが、
  その際、FETのドレイン~ソースを流れるか、内蔵ダイオードを流れるか、
  の2択となるわけでして、どちらの場合でも電圧ドロップが発生します。
  これでローレベル信号を出してるデバイスのピン電圧に加算されちゃいます。

3.動作速度も遅め

  一般的にロジックICの出力というのはトーテムポール出力になっていて、
  HからLもしくはLからHへの変移時、出力段のFETで信号を出します。
  ですので、それなりに高速です。

  この双方変換回路は、基本的にオープンドレイン回路がベースです。
  ですので、HからLへの変移時は まぁそれなりに速度出るでしょうけど、
  LからHへの変移はプルアップ抵抗に依存します。
  従って速度はプルアップ抵抗の値次第なんですね。 
  プルアップ抵抗の値を小さくすればそれなりに速度は出ますが、
  先に書いた電流の問題があるので、抵抗値を小さくするのにも限度があります。

  このプルアップ抵抗値には正解が無いので、
  市販されてるレベル変換基板を使用する際は、
  ブルアップ抵抗の値に留意する必要があるでしょう。

 

とまぁ、こんな感じなのですが、お手軽な様で割と面倒な感じ。
この双方向変換回路を否定するつもりは さらさらありませんが、
私は専用ICでレベル変換することが多いという感じです。 

2025年8月10日日曜日

DFR0745と格闘

某案件用に手頃なボイスレコーダー基板を探したところ、
DFRobotのDFR0745を発見。
スイッチサイエンスにて販売していたので、早速入手してみました。

ちなみにスイッチサイエンスでのページはこれ。
DFR0745 

小型で、電源も3.3~5Vとワイド対応。
データーは内蔵フラッシュに記録される為、SDカードに起因するトラブルとは無縁。
内蔵フラッシュ容量も16MBと結構な大容量。
最大40分まで録音可能とは十分すぎます。
何より特筆なのは、USBポートにより記録したデーターを取り出せる事。

USBでPCに繋ぐと、データー格納域がフォルダーとして見れます。
録音データーはMP3ファィルとして見えるので、
それをそのままPCにコピーして取り出すことが出来るのです。 

とまぁ、これらを見ると非常に良さげなデバイスに思われます。

 

そもそも某案件での使用目的は、APR9600搭載基板からの置き換え。

上記の仕様を見る限り十分な気がしましたが、
実際に動かしてみないと結論は出せません。

というわけで、テスト環境下で実際に動かしてみました。

 

・・・・・う~ん、結論から申し上げるとAPR9600からの置き換えは難しいです。 

難点その1  操作I/Fの差異 

  APR9600基板では、単純な接点信号だけで再生スタート出来ました。

  ではDFR0745を見ると、一見すると接点信号で再生できるように見えます。
  ところが実際に難が有るんですね。

  DFR0745ではデフォルトの状態がスリープモードなのです。
  再生ボタンを1回押すとスリープモードから再生待機モードになります。 
  その状態でまた再生ボタンを押すと、やっと再生が開始されるのです。

  更にやっかいなのは、余計な音声案内が付随している点。

  この基板、しゃべるのです(笑)
  スリープモードから再生待機モードへ移行する際、モードをしゃべるのです。
  音声ファイルの状況によっては、再生終了時にもしゃべります。 
  組込みで使おうと重さ寺、さすがにこれは使えません。
  ちなみに発声は中国語です。

 難点その2  リピート再生

  APR9600基板では再生はワンショットでした。
  接点信号1回につき、1度しか再生されません。

  ところがDFR0745ではリピート再生なのです。
  再生停止させる為のボタン操作を行わないと、何度も再生されます。
  そういうのが重宝する用途も有るんでしょうが、今回はダメなのです。

難点その3  音声ファイルのフォーマット

  音声データーのファイルをPCから読み書きできる旨は先に述べた通り。
  ならば再生するファイルをPC側で用意して、DFR0745へ転送したいとこですが、
  実はこれ、うまくいかないのです。

  ファイルの書き込みは普通にできるのですが、再生でトラブるのです。
  そもそもDFR0745の音声データーファイルはMP3形式とは言っても、
  ちと特殊な様でして、そこら辺に問題があるのかと。 
  参考までに、以下がDFR0745でエンコードしたファイルのフォーマット。


    ですので、再生データーはDFR0745側でエンコードする必要あるわけですが、
  ここでもまた難が出てくるのです。

  DFR0745のアナログ入力はマイク端子しかありません。
  そのマイク端子はオンボードのマイクとパラ接続されているのです。

  ですので、マイク端子からアナログ信号を入力中、
  マイクからの周辺雑音も混ざってしまうわけですね。
  まぁ、オンボードマイクを物理的に排除する手も有りますが・・・・ 

 

とまぁこんな感じでして、私の方としてはDFR0745の使用は断念します。
もしかしたら、シリアル信号線経由でユニットを制御すれば、
上記の問題点は いくつか解決できるのかもしれませんが、
その検証については他の方にお任せいたします。(笑) 

 

2025/8/11 追記

DFR0745に載ってる石のデーターシートを覗いてみると、
シリアル通信制御のコマンド一覧が有りました。
先に書いた再生動作についてはシリアル制御すれば解決できるっぽいです。
ただ、モジュールがしゃべる件については不明。
これをディセーブルするコマンドというのが見当たらないからです。
実機確認するしかない模様です。 

 

2025/8/11 追記2

気になったので、DFR0745をシリアルでアクセスしてみました。

最初、自家製EIA-574レベルを噛ませ、
TeraTermから手打ちでコマンドを送信してみたが、なぜかうまく通信できず。
DFR0745をコールドブートさせると"OK"が届くので、ハード的な問題で無い模様。

もしやと思いTeraTermではなくシリアルコマンドエクスプローラー2を使用し、
コマンドを送ってみると正常に通信出来ました。
要するに手打ちだと文字間が開き過ぎてタイムアウトしてた感じかと。

改めてシリアルコマンドで色々試した結果、
ファイルフォーマットの問題以外は全て解決出来る事が判明。
DFR0745がしゃべる件は、「PROMPT」というパラメーターでON/OFF可能でした。
データーシートには、このパラメーターの意味が書いてなかったので、
実際に動かして確かめるしかなかったわけですが、
もう少し解り易く書いて欲しかったところですが、まぁ中華製ですし(笑)

何にせよ、シリアルコマンド制御で使うには、何等かのマイコンが必要となります。
APR9600基板からの置き換えという観点だと、ちと手間が増えてしまいますね。 

2025年8月3日日曜日

キャパシター・アイソレーター

今回は ちょっとした小ネタ基板です。

音響関連で ちと必要になりそうだったので作っておいた基板です。 
名称の通り、コンデンサーを噛ませて直流的に分離する為の物です。
回路は以下の通り。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

部品の定数が入っていませんが、用途に応じて設定する為です。

コンデンサーだけというのも能が無いので、抵抗も少々載せておきました。
負荷抵抗機能や ちょっとしたレベル変更なんかも可能になります。

入出力はコネクターにしてますが、電線直付けも可能です。

以下は基板の実物。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイズは40.64mm角で、 30mmピッチで固定穴を付けておきました。

C1~C8は5750サイズです。
これはPMLCAPを載せる想定だからです。
用途によっては100μF位の容量が必要になる可能性を考慮すると、
使用できるコンデンサーは かなり限られてしまいます。

DCバイアスが掛かっている回路なら電解コンデンサーで足りるでしょうが、
DCバイアスが無い場合は ちとやっかい。

無極性電解コンはノイズ等の観点から避けたいですし、
大容量積層セラミックコンも音質的に避けたいところ。
そうなるとフィルムコンを選択したい感じですが、
大容量のフィルムコンはお手軽に入手できません。
PMLCAPであれば16V耐圧で22μFという製品が存在するので、
これを4個パラにすれば88μになります。
これがこの基板の上限容量ですね。

もちろんそんなに容量が要らない場合は、必要に応じて減らせばOK。
63V 2.2μFというPMLCAPが存在しますので、
それを1個だけ載せれば、最小容量になります。

写真だとPMLCAPのパターンが4つしか見えませんが、
裏面にも実装箇所があります。 

 

R1は負荷抵抗を想定していて2W~3Wの酸金抵抗を実装可能です。
その他の抵抗は1608もしくは2012サイズになっています。
抵抗による機能が不要な場合でも、R2とR3には0Ω抵抗を載せる必要があります。 

 

リード部品が入手可能ならバラックでも組めてしまう代物ですが、
先に書いた様に大容量のフィルムコンの入手が難しい為、
入手の容易なPMLCAPを使う前提で作った基板です。

あくまで自分用で、頒布する予定も無い為、鉛ハンダ基板です。
こんな代物でも欲しいと思われた方、連絡頂ければ対応いたします。 

2025年7月22日火曜日

つくまた2 終了

 好天に恵まれたおかげで、とても暖かい日でしたが、
結構なお客さんにお越しいただき、イベントとしては成功の様でした。

 

当方のブースも 結構な売り上げが!!というわけにはいかず(笑)
雀の涙程度の売り上げで、諸費用を考慮するとガッツリ赤字という状況ですが、
色んな方と交流できたので、私としては満足という結果です。

 

頒布品としてはキットを出しまして、
デモ用提示として「BNC取付治具」と「X68K電源基板テスター」の
2種類を展示していたおりました。

今回の客層はガチ電子工作人というよりライトなメイカーという感じ。
その為、うちのキットはあまり需要を感じられなかった模様。

むしろデモ展示してた2種類の方が話としては盛り上がりました。

BNC取付治具は難しい電子知識が不要なので、
一般人でも触って理解できる代物。(必要性は皆無ですが(笑))
メイカーさん達からは、meviyや3D-CADの話のネタになったのでした。
これだけでも展示した甲斐は有ったというものです。

X68K電源テスターも、ガチでこれが欲しいという方は 現れませんでしたが、 
X68Kネタやメンテのネタで活躍してくれました。

 

今回展示したBNC取付治具は某案件向けに製作した、いわば専用品。
汎用性を考慮した新型を設計済で、もし打診を頂いた際は そちらを公開しますが、
やはり完成品が1台無いと、話が進みづらいですよね。

というわけで とりあえず1台だけ作っておくことにしました。
meviyでの作製必須部品が2点含まれているので、
これだけを長納期指定で発注しました。
いつ必要になるか分からないデモ目的の物ですから、
長納期指定で安く作ってもらう方がいいですわな。

もう1点、meviyで作製可能な部品も存在しますが、
これについては3Dプリンターでも作製可能でして、
売り物にならないデモ用ならば、3Dプリンター製でいい気がしてました。

このデモ用の1台目は来月末が9月頭位に完成予定です。 

2025年7月17日木曜日

PMLCAP変換基板

 唐突に思いついて作製した「PMLCAP変換基板」が出来上がりました。

念のために説明しておくと、PMLCAPはルビコン社が販売している、
チップ型のフィルムコンデンサーです。 

近年、電子部品の表面実装化が顕著になってきてますので、
当然ながらチップコンデンサーの需要も非常に高いです。

しかしチップコンデンサーとは一般的には積層セラミックコンデンサーを意味します。 
なぜなら それ以外の種類のチップコンデンサーが非常に少ないからです。

しかし所詮はセラミックコンデンサーですから、
全ての用途に万能というわけにはいきません。 

一部の用途にはフィルムコンデンサーが欲しくなるわけですが、
選択肢が非常に少なくなってしまうのが現状です。

そんな現状の中、燦然と光っているのがルビコン社のPMLCAPというわけです。

 

前置きが長くなりましたが、そのPMLCAPをリード部品の様に扱う為の変換基板が、
今回作成した「PMLCAP変換基板」なのです。 

要はリード型のフィルムコンデンサーが有ればいいんじゃね?
という話なのですが、先に書いた通り 昨今は電子部品のチップ化が進んでる為、
リード部品がどんどん製造終了していってるのです。

昔なら難なく入手出来たフィルムコンデンサーも、
全世界レベルで品種が限られてきてて、当然ながらも入手性も悪く高価です。


そんな背景から作製した「PMLCAP変換基板」ですが、構造は至ってシンプル。
PMLCAPを実装する両面基板からリードが2本生えるだけです。

基板から生えるリードはマックエイトのハイブリッドIC用端子を使用。
2.54mmピッチになっていますので、ブレッドボードにも利用可能です。

以下の写真は実際に実装してみたもの。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下に伸びてるリードは未カット状態ですが、使用時は任意の長さでカットします。

写真のPMLCAPは3225サイズ品。
PMLCAPには3216・3225・4532・5750の4サイズが存在します。

当方が作製した変換基板は3225用・4532用・5750用の3種類。
3216サイズは3225用基板に実装できるので、全サイズに対応可能です。

7/20に開催される「つくまた2」にて頒布いたしますので、
ご興味持たれた方、ぜひお待ちしております。 

2025年7月5日土曜日

X68K電源の動作確認

 X68000電源ユニット用のテスト装置を作製し、
ここで公開しておりましたが、実際にどんな作業を行っているか、
ちょこっと書いておきます。

 

まず、テスト対象の電源ユニットをケース取外した基板のまま、
テスト装置にセットします。 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケースに放熱している一部の部品は、
そのままだと放熱できずに熱破壊してしまうので、
各々に放熱器を取り付けています。 

電源ユニットの出力線はダミー負荷ユニットに接続します。

この状態ではダミー負荷の基板上のLEDはもちろん全て消灯してます。
SW1がOFFになっていることを確認します。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

では次に、電源ユニットにAC100Vを投入します。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

するとVCC2系統が動作開始し、 D2が点灯。
この段階で異音等の不具合が無いかを確認。
また念のため、VCC2のチェックピンにオシロスコープを繋ぎ、
異常発振が起きてないかも確認します。
(異常発振が起きていれば音で判りますが・・・)

 

ここまで問題無ければ、いよいよSW1をONにします。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、+5V、+12V、-12Vの各系統が出力開始し、D3が点灯します。
また、電源ユニット基板冷却用ファンも回り出します。
異常発振が起きていれば明らかな異音が出るので、即SW1をOFFにします。 

+5V、+12V、-12Vの各チェックピンにオシロスコープを繋ぎ、
異常な波形が出ていないことを確認します。

この状態で1日以上連続稼働させ、異常無い事を確認。
これで電源ユニット基板のチェックは終了です。 

2025年7月3日木曜日

TMAF2025は無事終了

 今年のTMAFは好天で非常に暑かったです。

普通なら「好天に恵まれ・・・」と言うところですが、
体感で関東地区並みの暑さともなると、熱中症のリスクも跳ね上がり。
こうなると快適な状況とは言えなくなるのです。

肌露出の多いレイヤーさんならともかく、
鎧等で重武装したレイヤーさんには地獄の環境だったかと。
救急車の出動は無かったようですが、とにかく過酷でした。

スタッフも水分補給が追い付かず、ちと脱水気味な感じ。
来年は もう少し落ち着いてくれることを期待しましょう。

 

暑さもヤバかったわけですが、スタッフ不足もヤバかったです。
年々手が減っていってる感じしてるのですが、
今年は特に金曜の準備中の人手不足を顕著に感じました。

翌日はもうイベントですから、是が非でも金曜中に準備を終わらせなければなりません。
手が足りない分は、居るメンバーの負担を増やすしかないわけで・・・・

この調子だと、隔年開催とかも検討した方がいいのかもしれませんね。 

2025年6月16日月曜日

基板のビアに対するレジスト

基板設計において、ビアにレジストを被せるか抜くか、
結構意見が分かれてる様に見えます。

実際、これが正解!!という話を耳にした事がありません。

そんな状況下、とある方が公開してる動画で、まさにその話をされてました。
曰く、ビアの両端がレジストで封鎖されていると、
ビア内部の銅が腐食してしまう場合がある、というもの。

その為、ビアにはレジストを被せず、両端を開放しておくか、
ビアの穴を埋めてしまう加工を施した上でレジストを被せるべき、
という主張でした。

 

この方も経験則に基づいて話されていたようなので、
間違ってるとは到底思えません。

ただ1点気になったのは、なぜ銅が腐食するのか、というところ。
これについては言及がありませんでした。

 

銅は大気中に放置すれば勝手に腐食して消滅するもの、
ではありませんよね?
ならば、腐食を起こす何らかの原因が有るはずです。

その観点から考えた時、真っ先に思いつくのはフラックスです。 

機械実装の際、基板にフラックスを散布することがあるので、
それがビアの中に入り込むことは容易に想像できます。
そのフラックスが要洗浄品だったにもかからわず、
ビア内部まで洗浄が行き届かずにフラックスが残ってしまうと、
先の様な腐食が起こってしまう可能性があるかと。

 

もしこれが原因だとしたら、単純に腐食性の無い無洗浄フラックスを使えばいいだけ。
レジストが被ってる/被ってないとは無関係の話になるのです。

 

更に言えば、レジストが被っていないビアでも腐食を起こしてる事例を見てます。
結構古い製品での話なので、たぶんこれもフラックスによる腐食。
こうなるとレジストを抜いてるから安心、とは言えなくなるわけですね。

 

ちなみに当方の場合、ビアにレジストを被せてます。
これは表面実装タイプのICに隠れてしまうビアに対し、実装不良を防ぐ目的です。 

フラックスは全て無洗浄タイプを使ってます。

こんな感じで、未だにビアの腐食事故は起きたことがありません。

 

果たして 何が正解なのでしょうね? 

X68K電源テストベッド用の冷却ファン

 先に書いたX68K電源のテスト用ベッド、
つくまた2にてデモ展示を行うつもりなのですが、
冷却ファンの部分が もしかしたら運搬中に壊れる可能性あるのでは??
というささやきが脳内にこだましてきた為、ちょっと改良することに。

現状はファンの下側2つの穴のみで固定しているのですが、
ステー金具を立てて3つの穴で固定する様にします。
これで強度は かなり上がるはず。

ついでに冷却ファンも更新することに。
現状は アイネックスのCFY-90Sを使っております。
静音性が高いので良い代物だと思ってますが、
もう少し風量を上げてもいいかな?と思った次第でして、検討を加速してみました。

92mm角だと選択肢が限られてしまうのですが、
最終決定したのはオウルテックのSF9-S4。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これ、中身は山洋電気の9S0912L4031なのです。
別に山洋電気製が欲しかったわけではないのですが、
CFY-90Sより少し風量を上げたいとなると、この辺りしか見つかりません。

山洋電気製なので値段もそれなりで、CFY-90Sの2倍以上します。 
それでも同製品を流通業者から購入するより遥かに安いです。
オウルテックさんが纏めて仕入れてるおかげかと。

つくまた2のデモ展示機には、このファンを付けたものを用意します。 

2025年6月15日日曜日

洞爺湖マンガアニメフェスタの先行き

 また今年もTMAFの時期が近づいてきましたね。
これだけ回を重ねると もう安定期に入った、様に感じるかもしれません。

しかし実際のところ、そんなこと無いんですよね。

私から見て一番の問題点はボランティアスタッフが減っている事。
ボランティア以外のコアスタッフは そんなに沢山居ないので、
ボラスタが居ないとイベントが回らないのです。

事実、ボラスタ不足の影響で、以前よりもコンテンツが減っています。

この調子でボラスタが減り続けると、更にコンテンツを削る必要が出るかと。 
するとイベントの厚みが減るので、来場者数に影響出る可能性が。

それともう1点の懸念点は、イベントの運営費。
TMAFはパンフレットの売り上げで成り立っているものの、
来場者数に対するパンフの販売数の比率が下がっているっぽい。

これ、皆がお金を出し渋ってるという話ではなく、
インバウンドの影響が大きいんじゃないかと思ってます。

昔の話になりますが、洞爺湖温泉街の各ホテルはTMAF期間中、
TMAF目的のお客さんを優先し、それ以外のお客さんは予約をお勧めしない、
というスタンスを取ってきたのだそうな。

すると結果的に、TMAF目的の宿泊客が多くなるわけで、
それらのお客さんは大抵、パンフを購入してくれるわけです。

しかし現在はいつも通りに予約を受け付けてる状況でして、
インバウンドのお客さんの割合が結構多くなります。

インバウンドのお客さんも、時間が有れば眺めていってくれるので、
来場者数底上げ効果はゼロではありません。
朝一で出発してしまう為、TMAFを全く観ずに去ってしまうお客も多いようですが。

インバウンドのお客さんはパンフまで購入してくれる方は少ない感じです。
そしてTMAF目的の宿泊客割合が減ってることを加味すると、 
パンフの売り上げ数は伸びないどころか、へたすると減ってしまうかも?

とまぁ、TMAFの先行きに対して、非常に不安を感じてるのでした。

2025年6月13日金曜日

X68K EXPERT 復活

 電源ユニットのオーバーホールも完了したので組付け作業へ。
特に問題無く完成。
ちゃんと起動/停止してくれます。

 

今回、電源ユニット内のコンデンサーの試用実験も兼ねてたので、
複数の種類のコンデンサーを付け替えてテストしてました。
最後は そのままの内容でX68K本体に組み込み。

ちょっとだけ気になってるのは、電源ユニットのC40とC41。
これはVCC系統のリップル吸収のコンデンサー。
整流ダイオードの直後に入ってるので、もっともリップルが流れる代物。

今回の最終形態ではニチコンのPWの16V4700μを使用してるのですが、
以前1台だけ、このコンデンサーを使って発振した個体が有ったんですよね。
なのでちょっと警戒していたわけですが、今回は全く問題無し。

まぁこのX68Kはほとんど稼働しないので問題にならないと思いますが、
ちょびっとだけ気になりますよね。 

 

ちなみになぜ発振するかという話ですが、
X68Kの電源ユニットはVCC系統の電圧をフィードバックさせて
メイン系統の動作制御を行っています。
しかしそのフィードバックループの位相余裕が少ないもんで、
C40とC41のESRが非常に低いと、位相が回って発振しちゃうんですね。

リップルを喰らう電源用電解コンデンサーは低ESRです。
なのでそういうコンデンサーを使う前提で電源も設計されるのですが、
X68Kの電源はちとギリギリで設計されてしまってます。
なので昨今の超低ESR品を使用することができないんですね。
やっかいな代物でございます。

X68K電源ユニットのテストベッド

 結構前になりますが、X68K電源ユニット用のダミーロードを作成しました。
これはオーバーホールや修理で、電源ユニットに手を加えた後の動作試験が目的でした。
ではそれで全て揃ったかと言うと、まだ電源ユニット基板を載せるベッドが必要なのでした。

電源基板をケースに収めてから動作試験するならベッドは不要ですが、
それだと基板からわずかな異音が出ていたとしても気づきませんし、
再度基板に手を加えようとすると、まだユニットをバラさなければなりません。

ですのでケースに収める前に、基板の状態で動作確認するのがベターです。

しかしその場合、1つ問題が出てしまいます。
X68Kの電源基板にはFETやレギュレーター等、熱を出す部品が載ってますが、
それはケースに放熱する構造になっているのです。
ですので、そのまま基板の状態で動作させると、
オーバーヒートで部品が壊れてしまいます。

もちろん極短時間であれば支障は無いのですが、
電解コンデンサーの交換を伴う作業だった場合、
電解コンが本来の性能を出すまでの時間は連続稼働させる必要があります。
少なくとも2~3日は欲しいところ。 

そうなると何らかの放熱機構を用意する必要があるわけでして、
その為のテストベッドという話です。 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

いきなり早速ですが、実際に作製したテストベッドでの動作試験風景。 

右側がダミーロードで、左側がテストベッドに載ったX68K電源基板です。 

ケースに放熱する部品は全部で4点あるのですが、
2点は市販の放熱器をビス留めしてまして、
残りの2点にはmeviyで作製したアルミ板金のヒートシンクを付けてます。 
これに92mm角のファンで風を当てて、強制冷却。 

ダミーロード上のファンも、テストベッドのファンも、
アイネックスのCFY-90Sを使用してます。 
これが非常に静かなファンで、2台回っててもオシロスコープの方が
遥かに煩いという状況。
それでいて、それなりに風は送ってくれるので、なかなかバランス良い製品ですね。
ちなみにこのファンの電源もX68K電源から供給してます。

 

来月の20日開催される「つくまた2」にて実物を展示する予定です。
ご興味感じた方、ぜひお待ちしております。 

2025年6月10日火曜日

つくまた2に出展しまーす。

 同人ハードのイベントで、今回で2回目の開催となる「つくまた2」に当選しました。
スペース数より応募の方が多かったので抽選となったそうですが、運良く当選できました。

前回に引き続き、オリジナルのキットを出す予定でして、
今回の新作は「1ゲートロジックIC変換基板キット」です

 

それと、キットとして纏めてはいないのですが、
X68K電源のダミーユニットを展示する予定です。 

これはX68000の電源ユニットをオーバーホール後、テスト稼働させる為のダミー負荷。 
いきなり本体に繋いで動作テストする方も多いようですが、
電源ユニットの異常で本体にトドメ刺したりすると、泣くに泣けないですからねぇ。

本体に繋がず、電源ユニットのみでも動作しますが、
無負荷だと症状が出ない不具合もあり得るわけです。 

そんなわけで作ったダミー負荷なのですが、
あくまで自分用に作ったものでして、他の方の需要は皆無かと(笑)
なのでキットとして出すつもりはないのですが、
もし興味をお持ちの方いらっしゃれば、部品をお出ししてもいいかなと。

当日、コンセントが使用できるようでしたら、実演も行うかもしれません。 

2025年5月19日月曜日

TPS2116のお試し実験

 同人向けハードにて、供給電源の系統切替をやりたくて情報収集してました。

2系統ある入力のどちらかでも供給可能にしたい場合、
一番簡単に思いつく回路はダイオードOR回路ですね。
パッシブ動作なので信頼性も高く、コストも低い良い方法なのですが、
ダイオードのVF分だけ供給電圧が下がってしまうという難点があります。
電圧低下が無視できるような回路であれば構いませんが、
USBからの供給も含む5V回路の場合、とても無視できない値になります。

それともう1つ、ダイオードOR回路の場合、
どちらの入力から供給されるかは入力電圧値で決まります。
入力がA・Bの2系統有ったとして、入力Bに電圧を供給した場合には、
電圧値に関わらず、必ずB側から給電されるようにしたい、
いわゆるプライオリティ動作の機能が欲しい場合、
ダイオードORでは無理なわけです。

 

ということで、出力イネーブル機能付きの理想ダイオードICなんかも試しつつ、
思考錯誤してきたわけですが、ここにきて理想の一品を発見!!
TI製のTPS2116という石です。

この石はまさに、上記の動作の為に作られた石です。

最近出たばかり・・・・というわけではないのですが、
TIの製品は非常に種類が多く、欲しい石を見つけるのに難儀するんですよね。

 TPS2116をデーターシートを確認すると、
ほぼ私が欲しい機能通りの事が書いてあるのですが、
こちらが想定している使い方のケースについては記載がありません。
ですので実際に実物で動作してみることにしました。

 

まず、TPS2116と変換基板を用意。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

この石は0.5mmピッチなので、電線を直結して実験はさすがに無理(笑)

 

変換基板にICを実装したのがこれ。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

レーザー刻印なので非常に視認性が悪い!!
しかし刻印以外で向きを確認する方法が無いという困ったちゃんです。

なんとか頑張って実装できたので、実験作業に進みましょう。

 

まず以下がTPS2116の基本的な繋ぎ。


 

 

 

 

 

 

 

 

入力を自動切替して欲しいので、MODEピンはV-IN1に接続。
PR1は切替動作のスレッショルド電圧を設定するピンですので、
本来は抵抗分圧した値を入力するのですが、
今回は厳密なスレッショルド値の設定は不要なのでV-IN1へ直結してます。
V1オープン時の不安定動作を回避する為、1.2KΩでプルダウンしてます。
STは入力選択状態を表す出力端子ですので、今回のテストでは不使用。

 

まず基本はデーターシートにも記載ある、V1へ5V供給している状態。 



 

 

 

 

 

V2の状態に関係無く、OUTには5Vが出てきます。

上記の状態からV2へも5Vを供給し、次にV1への供給を止めると、
供給源がV2に切り替わってOUTには引き続き5Vが出てきます。

またV1に5Vを供給してやると、供給源がV1に切り替わる・・・・
というのが この石の基本的な動作です。

 

さてでは、V1・V2ともに供給無しの状態からV2へ5Vを供給した場合??







 

これが今回確認したかった内容です。
普通に考えればV2からOUTへ供給されるだけ、と予想できますが、
データーシートには記載が無いんですね。
(データーシート記載は、V1供給からスタートする事例ばかり)

で、結果は予想通りOUTに5Vが出てきました。
つまりV2供給スタートでも問題無いという結論。

 

これ、V2にUSBから電源供給し、V1に外部供給する場合の想定なのです。
外部供給が無い場合はUSBバスパワーで動作するけど、
外部供給がある場合は常に外部供給で動く、というような設計です。

 

それともう1つ、電圧差についても調べてみました。

V2に5.05Vを供給した状態で、V1に5.0V供給した場合の挙動です。


 

 

 

 

 

これも結果は期待通りで、V1に5.0Vを供給すると、
OUTは5.05Vから5.0Vへ下がりました。
理想ダイオードを使った切替回路の場合、
この程度の微小電圧差では切替がうまくいかない場合があるそうなので、
念のために調べてみた次第。


最終結論として、私の期待通りに動いてくれる石だという事が確認できました。
今後愛用していくつもりです。

ちなみに入力系統切替はFETによるスイッチ式なので、
切替の際に僅かな出力電圧低下が起きるので、その点だけ留意が必要ですね。

2025年5月9日金曜日

BNCコネクター取付用の治具

 某組配案件にてパネル固定のBNCコネクターを使用。
複数取り付くのですが、きちんと向きを揃えなきゃならない。 

四角フランジが付いててビス4発で留めるタイプならば問題無いのですが、
今回取り付けるBNCコネクターはナット1個を締めて固定するタイプ。

一応、板金の開口はDカットが施されてるので、
大幅に捻じれて取り付くことはないものの、
穴のアソビのせいで若干捻じれてしまうのでした。

なので手調整で向きをなるべく揃えているわけですが、どうにも効率が悪い。

 

というわけで、治具を考えてみました。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

治具自体の傾きを防ぐため、2つのBNCコネクターを跨ぐような構造。
この治具を装着したまま、2つのBNCコネクターのナットを締めればOKなはず。 

これ、どちらもmeviyで見積。

2ピース構成になっていますが、奥の方が治具の本体。
(上図には描かれてませんが、M2.5の皿ビスで合体させます)

加工精度と ある程度の硬度が必要なので、本体はアルミの切削品です。
ステンでも作成は可能ですが、重さの点で作業性が問題なるかも。
3Dプリンターで自作を考える方も多いでしょう。
3Dプリンターでの造形自体は可能だと思います。
しかしABSやPET等で出力した場合、BNCコネクターを締めた際に
コネクターの突起が若干食い込んで、治具が抜けなくなると思います。
そういう意味で、硬度が必要という話なのでした。
無垢のアルミだと懸念が残るので、念のためアルマイト処理もかけています。
ちなみにポチコンで出力するならば3DプリンターでもOKかも?

BNCコネクターが嵌る部分は公差を設定してます。
ネックはBNCコネクターのロック用突起を嵌める溝。
仕様で、公差指定すると切削深さの制限が発生するんですね。
MAX4mmという仕様なので、深さ4mmで設計。

しかしこれだと治具がBNCコネクターの根元まで刺せず、
パネル面から浮いた状態になってしまうので、
前面にスペーサーのような板を付けるという構造になりました。

この前面板は切削ではなく板金で十分。
板金加工で樹脂が選択できるので、ポリカーボネートを選択。
これならBNCコネクターが取り付く板金の表面を傷つける可能性が減りますので、
一石二鳥の構造となりました。

 

気になるのはお値段ですが、通常納期でも、2つ合わせて1万円以下でした。
治具ですから単発の代物です。
それがこの値段で1つから作れるのですから、大助かりですね。


ネジの締め付けトルク

 あるお客さんから請けてる組配案件、全てのネジにの締め付けトルクが指定されています。
専用工具を用意し作業を開始したところ、あるネジで破損が発生。
黄銅製の六角スペーサーをバーリングタップ加工してある鉄板に組付けてる箇所でした。 

指定トルクで締めると一部の物は耐えられるのですが、
大抵の物は六角スペーサーの雄ネジが変形してしまい、
最悪の場合 規定トルクに達する前に雄ネジが潰れてしまいます。

お客さんが設定した締め付けトルクの根拠は、ヒロスギが公開している資料でした。
スペーサーの破断トルク

確かにこの表だと、お客さんの指定値には余裕があるように見えます。
しかしこのテスト、スペーサーの受け側が専用の台です。
六角スペーサーの雄ネジが全長に渡って嵌合するのです。

それに対し今回問題が発生した物はバーリングタップ。
せいぜい2山程度しか嵌合していません。
これなら当然、耐えられるトルクは変わってきますよね。

 メーカーの参考資料を用いるのは良いと思いますが、
実物との状態差異を考慮しなければならないという良い実例でした。

2025年4月29日火曜日

1ゲートロジック変換基板

 以前から告知しておりました、「1ゲートロジック変換基板」の正式発表です。

昨今 かなり幅を利かせてきた1ゲートロジックICですが、
表面実装タイプしか存在しない為、ユニバーサル基板やブレッドボードでの使用には、
ちと難儀する代物でした。
そこで今回の変換基板を作成する事にした次第です。 

 

実装可能な1ゲートロジックICはSOT-353パッケージなどと呼ばれている、
0.65mmピッチの物です。
東芝ですと、USVパッケージと呼称されています。

これを2.54mmピッチ、5ピンのSIP形式に変換するのが当基板です。

 以下が未実装基板の表面


 

 

 

 

 

 

 

 

実装部品は全て表面に載っています。

 

ちなみに以下が裏面です。









 

表面処理は金フラッシュメッキですので、
実装部品とハンダに留意すれば鉛フリー対応も可能です。


下側に5つ並んでいるパッド部は2.54mmピッチの足が付くところ。
ここにマックエイト製CB-1-3を実装します。
パッド中央にスルーホールが存在しますが、これはパッド強化の為で、
スルーホールに部品を差すことはありません。

 

この基板内の回路図は以下の感じ。










 

 

ロジックIC用のパスコンと、プルアップ/プルダウン用の抵抗も実装可能です。
サイズは全て1608です。(抵抗については2012も載せられます)

R1のパッドがアブノーマルな配置になっておりますが、
これはプルアップとプルダウンを実装によって選択可能にしている為です。
以下のようにチップ抵抗の実装位置によって、プルアップとプルダウンを選択可能です。




















 

なお、R2についてはプルアップのみ可能です。

 

実装可能な1ゲートロジックICは大きく3種類に分けられます。

1つ目は2入力ゲートタイプ 。
2つ目は1入力タイプ。
3つ目は3ステートバッファータイプです。

 どのタイプもパッケージ自体は共通で、
1入力タイプのみNCピンが存在するという形なので、
この変換基板で全て対応可能というわけです。

 2入力ゲートタイプを実装した場合、ピン接続は以下の様になります。
(図ではNANDゲートの例になっていますが、ANDやORゲート等も同様です)




 

次に1入力タイプを実装した場合。




 

IN2がNC扱いとなります。

 

 

最後に3ステートバッファータイプの場合。




IN2がゲート端子になります。

 

 

 

この変換基板はキットとして頒布いたします。
頒布品は基板3枚分が1セットです。
以下が内容物。








 

基板は3枚がVカット面付された状態ですので、使用時に各自で分割して頂きます。
※必ず基板分割してから部品を実装してください。
 実装後に分割する場合はVカットカッター等の専用工具を必ず使用してください。

現時点ではピンは5本連結品がが3つ同梱されます。
将来的に15本連結品が1本になるかもしれません。
その際は各自で5本ずつにカットして頂きます。

これ以外の表面実装部品は各自で用意して頂きます。
1ゲートロジックICはピン配とパッケージサイズが合致していれば、
メーカーや種類は問いません。

C1のパスコンは必須ですが、使用するロジックICの種類によって、
容量を調整してください。

R1とR2は必須ではありませんので、必要に応じて実装する感じです。

 

 

基板の作成

以下は実際にこの変換基板を作成したものです。

まず、表面実装部品をハンダ付けします。









 

 

今回実装したロジックICは東芝のTC7SH14FUです。
シュミットトリガー入力のインバーターですので、
使用形態としては1入力タイプになります。
IN2がNCになるので、必然的にR2も不要となります。

C1には0.1μFのチップコンを使用しました。
TC7SHはVHC相当なので、0.01~0.047μF位でも良いかも。

R1は10KΩでプルダウンする様に実装しています。

基板が小さい為、基板を両面テープ等で固定するとハンダ付けが楽でしょう。

 

ピンを差し込みます。










 

 

 

基板を表裏で挟み込む形状になっています。
もし変形していた場合は、ラジオペンチ等で修正し基板を差し込んでください。

ピンは2.54mmで連結されています。
必ず、連結された状態のまま実装してください。
個別に切り離してしまうとピッチが揃わなくなってしまいます。

 

ピンをハンダ付けします。










 

 

 

両面ともハンダ付けします。

 

 

最後にピンを切り離して完成です。










 

 

 

ピンの長さはお好みで構いません。

 

 

頒布について 

現時点での入手方法は直接問合せしかございませんが、
7/20に開催される「つくまた2」へ参加が決まれば、
そこで頒布を予定しております。

2025年4月10日木曜日

トルクレンチ選びで四苦八苦

 各部の締め付けにトルク指定が有るという組配案件が来ました。

当方も元請けさんもトルク管理案件を手掛けたことは無いので、
トルクレンチは持っていない為、そもそも工具を揃えるところからスタート。
ちなみにパナソニックの電動ドライバーは愛用していまして、
これには設定トルクで自動停止する機能があるものの、
トルクレンチよりは精度が落ちる代物なのです。

 

生産工程にてトルク管理を経験されてる方なら お解りでしょうけど、
本来一人で管理・作業を行うものではありませんよね。
しかし悲しいことに当方は一人。
管理と作業を全て行う必要があるのです。

すると問題になるのがトルクレンチの設定管理。
単一のボルトを締め続けるのであれば、一度設定すればOKなわけですが、
今回は複数の種類が存在するので、作業中にトルク設定値を変えなければなりません。

しかし一般的なトルクレンチは目盛線を引いてあって、
それを目安に調整する代物なので、油断すると設定ミスの確率高し。
なのでトルクテスターで設定値の確認まで行うのがセットなのでしょうが、
このトルクテスターが また高価なんですよね。

 

そんなわけでどうしたもんかと熟考していたわけですが、
直読式なら絶対とは言えないものの、ミスの可能性は減らせるという結論に。

トルクドライバーについては、KTC製のGLKシリーズを選択。
デジタル式なのでトルクが直読できます。
お値段も安いとは言いませんが、まぁ手が届くレベル。

トルクドライバーが使用できない箇所についてはトルクレンチの出番。
これがちと難儀していました。
全般的に指定トルク値が小さい為、工具の選択肢が少ないんです。

弱トルクのレンチだと東日製が割と幅を利かせてる雰囲気ですが、
東日のトルクレンチは先に書いた目盛式。
なのでトルクテスターが無いと厳しいんですよね。

結局、 TONE製T8D6という製品をチョイス。
これはデジタル式ではないのですが、設定値が直読できる様になってます。
これならトルクテスター無しでも行けそう。
お値段もお手頃です。

ただ、このT8D6の範囲値未満の指定トルクも存在するので、
それをどうするか 引き続き思案中なのでした。
デジタルタイプのトルクレンチは桁が1つ違うので、手が出せないんですよね。

2025年4月6日日曜日

組配外注の弊害

 組配の新案件の打診を頂いておりまして、見積・打合せの最中。
そこで気づいた点が有りましたので、明記することに。

 

今回の組配案件、ボックス状の電子機器なのですが、
随所に締め付けトルクの指定が存在します。

すると同然、トルクドライバーやトルクレンチを使用する事になるわけですが、
それなりにコストが発生してくるわけです。

通常であれば、設計から上がってきたものを生産技術にて吟味し、
無駄なコストが発生すると思われる箇所は設計変更を依頼して、
いわゆる設計の最適化を行うかと。

 

しかし今回の案件、エンドのお客さんは組配を全て外注している模様。
その為、社内に生産技術部門が存在しません。
なので、上記のような最適化が行われず、外注先に組配の発注が行きます。

外注先が生産技術を代行できれば まだマシなのですが、
発注段階では設計内容が確定している状態。
なので最適化を行うことが不可能なのです。

すると、確定している設計内容に従って組配作業を行う必要があるわけで、
無駄なコストが複数発生してしまう、というわけです。

 

ピンと来ない方もいらっしゃるかと思うので、一例を。

D-subコネクターの固定金具にトルク指定されています。
この金具はインチネジタイプ、#4-40UNCのものです。
すると、六角の外形は3/16インチサイズを想定するのが普通でしょう。
ところが何故か、外径5mmサイズの個所が1箇所混ざっているのです。
(5mmでなければ理由は特に無い箇所)
通常の組配作業であればスルーして構わないとこですが、
このおかげでトルクレンチのソケットを2種類用意しなければなりません。
ちなみにD-subの金具用のソケットって既製品が存在しない模様。
なので特別に作製しなければなりません。
それが2個になってしまうので、無駄なコストアップというわけです。

 

組配を外注頼りする場合は、こんな弊害もあるという点に留意しましょう。

2025年3月28日金曜日

予告:1ゲート変換基板

 先の記事にて記載した「1ゲート変換基板」ですが、
汎用性を高める仕様変更を加え、基板の実物が届きました。

現在ちと取り込み中の為、暫くは手を付けられない感じですが、
4月中には詳細を記載し、リリース可能にいたします。

皆様どうぞよろしくお願いいたします。

2025年3月10日月曜日

1ゲート変換基板(1バッファー版)完成

先の記事で触れたワンゲートロジックの変換基板の設計が完了しました。
やはり、入力のプルアップ/プルダウン抵抗機能付きで行くこと。 

回路的にはこんな感じ。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IC1がワンゲートロジック。
回路図内ではインバーターになっていますが、
同パッケージ品ならバッファーも使用可能です。

C1はIC1に対するパスコン。
0.1μFと記載してますが、超高速ロジックを使用する場合には
0.01μFの方がいいかもしれません。 

R1が入力のプルアップ/プルダウン抵抗です。
R1は必須ではありませんので、実装はお好みで。

 

基板の見た目はこんな感じ。


 










 

下側の4つのパッドに、マックエイト製CB-1-3をハンダ付けします。

IC1はSOT-23-5パッケージにしました。
大きい方が実装作業が楽なので。
ただ、昨今はICのシュリンク化が進んでいるので、
このサイズのICがディスコンになりつつある感じ。
入手性が問題になる様でしたら、1サイズ下のパッケージ用の基板も別に検討します。

C1は1608もしくは2012サイズのチップコンが実装可能ですが、
推奨は1608サイズです。

R1のパッド形状が面白い形になっています。
これはプルアップとプルダウンを実装位置で選択するという仕組み。
右寄りに実装すればプルアップ、
左寄りに実装すればプルダウンになります。
適合チップ抵抗は1608もしくは2012サイズです。
チップ抵抗については どちらのサイズでも問題ありません。


キットとして頒布も考えておりますが、
キットに含まれるのは未実装基板とCB-1-3のみです。
ワンゲートロジックIC、チップコン、チップ抵抗は各自で用意して頂きます。

 

ユニバーサル基板やブレットボードにてワンゲートロジックが使えるのは便利なので、
私自身が早々に欲しいと思っている基板です。
近々手配をかける予定でございますが、汎用性を考慮し金フラッシュにする予定。
(これなら鉛フリー対応もOK)
その為、ちょっと金額が大きくなるので、懐具合を見ながら進めております。(笑)

 

3/11追記

IC1はSOT-23-5パッケージの予定と記載いたしましたが、
改めて現状を確認すると、選択肢がかなり厳しい模様。

当方はある程度のストックを持っているので さほど支障は無いものの、
これから購入される方は難儀される可能性が・・・・・

ということで、SOT-25-5ではなく、SOT-353パッケージにしようかと検討中です。
0.65mmピッチなので手付けは少々苦労しますが、
量産するわけではないのですし、何よりICが入手できなければ無意味ですので。

懐が許せば両タイプとも作りたいところですが、
片方だけの場合はSOT-353パッケージ用になりそうな感じです。

 

X68K電源ユニット用ダミーロード その5

 今回は3種類のラスト、Type3です。

と言っても特に新しい内容が有る代物ではなく、
基板部とヒートシンク部が分離していたType2を、1つに合体させたものです。

単にそれだけなのですが、現在製作を進めているのが このタイプ。
見た目はこんな感じ。


 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一体型という点ではType1と同じですが、ファンの音が直接耳に入ってしまいます。
ですので静音タイプのファンが必須と言えるでしょう。
とは言え、ヒートシンクを冷やしきれなくなるとマズいので、
現物調整が必要になりそうです。

 

Type2で全体を2つに分けた理由は3Dプリンターの出力サイズでした。
当方所有の3Dプリンターは やや大型ですので、
一般普及品よりは大きめの物が出力可能です。

このType3のベース部は約200×150mm。
当方では出力可能なサイズですが、厳しい方もいらっしゃるかも?

Type2だと基板部が電線に引っ張られてしまう事が考えられるので、
このType3の方が使い易いと思われます。

 

ともあれ、あとは完成後の試運転で、ファンの音の具合次第ですね。

2025年3月9日日曜日

ワンゲートの変換基板

 先の記事に書いたワンゲートロジック専用の変換基板、
とりあえず基板設計は上がったものの、その後 更に手を加えてました。

ロジックの入力にプルアップ抵抗が有ると便利なのでは?
と思いついたので、早速抵抗を追加してみました。
さすがに元のサイズでは収まらず、高さを延ばすことに。
前の基板は高さが8.5mmでしたが、約10mmになってしまいました。

これでバッチリかと思っていたら、CMOSロジックなのだから、
プルアップではなくプルダウンしたいケースも出てくるのでは??
というお告げが脳内に!!

早速プルダウンも可能に修正開始。
しかし、プルダウン抵抗を新たに追加するのは さすがに無理が。
基板サイズを延ばせば載りますが、それは避けたいところ。

通常、プルアップ抵抗とプルダウン抵抗を同時に実装することは無いはず。
(そういう回路も存在しないことはないが、レアケース)
ならばパッドを共用にして、どっちか片方しか実装できないにしよう。

これで基板サイズを変えずに、プルダウンも可能になりました。
パっと見、実装のしかたが解りづらいという難点はありますが、
量産で使う基板ではないので、勘弁して頂けるレベルかと。

PWMファンのドライブと、新変換基板の話

 先日からPWNファンを動かす為の実験を行ってます。
動かす実験と言っても、PWMファンの実物が手元に無いので、
サーミスターとPICのPWM機能を調べるのが主内容ですが。

 

PWMファンはパソコン用ファンでは4ピンタイプと呼ばれている代物。
電源の2ピンと、回転数検知のパルス出力の1ピン、
そしてPWM制御の為の1ピンという構成です。

このPWM制御ピンの具体的なドライブ方法を改めて調べてみました。
以前、WEBで簡単にググってみたところでは、
ファン内部でプルアップ処理されているので、
PWM制御側からはオープンコレクタでドライブすればOK、
みたいな感じで書いてあったんですね。

そこで以下のような回路で考えていました。



オープンコレクタドライブ

 

 

 (※実際の回路で必要となる抵抗等は省略しています)

 

ファンの大手メーカーである山洋電気さんのカタログに
この辺の技術資料が掲載されていました。
それで詳細が確認できた次第。
もしかしたら山洋電気さんのファンだけに適用される規格で、
他メーカーでは違うという可能性はゼロではないかも?

 

山洋電気さん の資料によると、
PWM入力端子はプルアップ&プルダウンされた、
トランジスター受けの入力端子だそうな。

 




ファン内部

 

 

 

 

こういう回路という事ですね。

 

オープンコレクタにてドライブも可能だけど、
トーテムポール出力でのドライブも可能だそうです。
(PWMのパルスは5V振幅と謳われているので、TTLロジックだと厳しいかも)

入出力電流値は約1mAとの規定。
この値ならばPICマイコンのI/Oでも余裕ですね。


 

 PIC直結

 

 

非常にシンプルで良いと思ったのですが、
1つ気になる点が出てきました。

それはコールドブート直後の話です。

コールドブート直後はPICの全I/Oが入力ピンになります。
するとPWM信号線がPWMファン内のプルアップ抵抗の影響でHレベルとなり、
PWMファンがMAX速度で回転することになるんですね。
確かにそんな場面を見かけたことがある気がします。

機械的に何か問題があるか?と問われると問題は無いと思うのですが、
個人的にブート後はMIN速度から起動して欲しいと思いませんか?(笑)

 

そこで いくつかの回路を考えてみました。
要は、PIC側がフローティング状態の時に、
ファンのPWM端子がローレベルになれば良いわけです。

単純に上記のPIC直結式回路にプルダウン抵抗を追加するだけでは厳しいです。
流れ出てくる1mAの電流を吸収して、ローレベルの閾値である0.5V以下に抑える為には、
大きくても500Ωの抵抗でプルダウンする必要があります。
余裕を見るなら330Ωくらいでしょうか。

330Ωのプルダウン抵抗が付いた状態でPICのPWM出力が動作開始すると、
Hレベル時にPICからの出力電流が15mAくらいになってしまうわけです。
PICのI/Oポート自体は25mAくらいまでドライブできるので、
PICが焼けてしまうことはありません。
問題はそこではなくて、15mAものパルス動作を続けているデバイスがあると、
同じ電源下で動作するサーミスターの値に影響が出てしまう可能性があります。
それを避けるためにはサーミスターへの供給電源を分離する、
なんて事になると余計な部品が増えてしまいますね。


私が思いつく もっともベターな方法はCMOSロジックでのドライブです。






この図では一例として、トーテムポール出力のバッファータイプである、
74HC17を使ってみました。
74HCシリーズならば電圧レベル的にも入出力電流値的にもPWMファンに直結可能です。
74HCの入力は高インピーダンスなので、ローレベルに引っ張る場合でも、
せいぜい10K~47KΩくらいのプルダウン抵抗で十分です。
この程度のプルダウン抵抗ならば流れる電流は微々たるものなので、
+5Vの電源系統への影響も無視できるでしょう。 

ではこの回路で・・・・・・と言いたいところですが、
74HCロジックだと最低でも14ピンパッケージになってしまいます。
ロジック1つしか使わないのに、これは邪魔ですよね。

かと言ってワンゲートロジックICは表面実装タイプしか存在しません。
ユニバーサル基板での実験には不向きなわけです。

 

そこで思いつきました。

ワンゲートロジックICの変換基板が有れば便利なのでは?? 

表面実装部品をDIPタイプに変換する基板というのは既に存在していますが、
パスコンも考慮すると専用の方が使い易いでしょう。

電源と入出力ですから全部で4ピン。
DIPタイプのダイオードブリッジみたいな感じになるでしょうか。

それはそれで有りなのですが、変換基板を立ててしまった方がスマートじゃね?
と閃きました。
そのアイディアに基づき、早速基板設計。
すると、だいたい8.5×10mmくらいのサイズに収まりました。
この高さなら十分に実用的ですよね。
厚みは基板と部品の分ですので、2~3mm程度。

想定しているワンゲートロジックICはSOT23-5パッケージで、
2番ピン  ロジック入力
3番ピン  GND
4番ピン  ロジック出力
5番ピン  VDD
というタイプです。
バッファー及びインバーターとしては一般的なスタイルなので、汎用性は高いと思います。

PWMファンの話に使用するなら、東芝のTC7SH17Fなんかが使えます。 


この変換基板は結構重宝しそうなので、近日中に製作予定です。
例の如く同人ハード扱いにするので機会が有れば頒布も考えますが、
現時点では具体的には不明。
気になる方は私まで直接問合せください。

2025年3月8日土曜日

X68K電源ユニット用ダミーロード その4

 前回はType1を解説しましたが、今回は2つ目のType2です。

Type1で十分実用性は有るのですが、ワイメイク性が強い感じ。
meviyで作る板金部品だけで8千円を超えてしまいます。(通常納期の場合)
するとトータルで1万円を軽くオーバーしてしまうことに。

この金額自体は特に高いわけではありません。
むしろ、単発としては安いかもしれません。

しかし業務用途ではなく、趣味用途として見た場合、
もっとお安く出来ないかなぁ?というのが、今回のType2の出発点。

趣味ベースでお安くモノづくり、となると真っ先に思い浮かぶのは3Dプリンター。
3Dプリンターを活用してお安く纏めてみることにします。

 

さて、ではどんな構造にするかから再検討。
趣味用途で3Dプリンターを使うとなると、
ホビーユースで普及している3Dプリンターを念頭に置く必要がありますね。

すると、Type1のような一体構造はサイズ的に厳しそうな予感。
メイン基板部とヒートシンク部を分割してしまえば、
Type1よりはサイズを個々の部品サイズ抑えられます。
そもそもメイン基板とヒートシンク部の間は
抵抗へ繋がる電線と冷却ファンの電源線しか繋がっていないので、分割は容易です。

 

ではまずメイン基板部。

ここは単に、基板を床から浮かせて保持するだけで用は足りますね。
ですので以下の様な部品を設計。







 

 

サイズ的には110×80mm位なので、大抵の3Dプリンターで出力可能でしょう。
素材もPLAで十分と思います。

これにメイン基板をタッピングビスで取付け、
裏側にはゴム足をタッピングビスで取付けし、完成。











さて次はヒートシンク部です。

Type1ではヒートシンクを垂直配置しましたが、
さすがにあの形状のまま奥行きを縮めるのは ちと安定感が悪くなってしまいます。

そこでやむを得ず、ヒートシンクを水平配置することにします。
なお、ヒートシンク上のメタルクラッド抵抗の配置については全タイプ共通です。

思案の結果、決まったのが以下の構造。

まず、このような板金部品を用意します。







 

 

 

これはFANベースという部品です。
ちなみに裏側はこんな感じ。









 

これもやはりmeviyで製作可能です。
というか、こういう板金部品を1個単位で作ろうとしたらmeviyは欠かせません。


まずは このFANベースに冷却ファンを取付けます。
固定はトラスビスとフランジナットのセットにて。
Type1では板金の内側にファンを取付ましたが、
Type2では板金の外側に取付けます。
こうすることで板金の高さが減り、単価が若干落ちます。

冷却ファンの反対面にはファンガードを取り付けます。
これもトラスビスとフランジナットのセットにて。

Type1の時はファンガードと板金、冷却ファンを1本ビスで締めてましたが、
Type2で別々のビスで留める構造になってしまいます。
リブ付きのファンならば、1本のビスで行けるんですけどねぇ・・・・

ともあれ、ここまでで こんな感じに。









 

次に、板金部品の中に抵抗付きのヒートシンクを差し込みます。












裏から見ると こんな感じ。











 

 

ヒートシンクは差し込んだだけで、板金部品とビス留めしてません。

そして、これらを載せるのが、このベース部品。








 

 

3Dプリンターで作る部品です。
サイズ的には150×120mm位なので、大抵の3Dプリンターで大丈夫なはず。
素材はABSかPET辺りがお勧めですが、PLAでも実用にはなるかと。

ちなみに裏側はこんな感じ。












 

先程の板金部品とヒートシンクのセットを、このベース部品に載せ、
長いトラスビスでベース部品・板金部品・ヒートシンクを一気貫通で留めます。












 

最後にゴム足をビス留めします。
ここで使うゴム足は、タカチのA14-6です。
Type1で使ったA21-8だと ちょっと大きすぎな感じ。











 

 

これでヒートシンク部も完成です。











 

前側に謎な突き出しと穴が2個存在しますが、
これは電線類を片サドルで留められるようにと用意したもの。
留めた方がベターですが、まぁお好みかなと。

 

このType2だと、板金部品の費用が半分以下になります。
総額で1万円を切るでしょう。
板金部品を3Dプリンター出力品にすると?という疑問が出ますが、
コの字形状をこの薄さで1発出力するのは まず無理なので、
パーツ分割して組み合わせ、という感じになるでしょう。
すると現在よりゴツくなってしまうので、スマートさに欠けるかもしれません。
私ならば、ここだけはmeviyの板金部品を選択するかなぁ。