2025年6月10日火曜日

つくまた2に出展しまーす。

 同人ハードのイベントで、今回で2回目の開催となる「つくまた2」に当選しました。
スペース数より応募の方が多かったので抽選となったそうですが、運良く当選できました。

前回に引き続き、オリジナルのキットを出す予定でして、
今回の新作は「1ゲートロジックIC変換基板キット」です

 

それと、キットとして纏めてはいないのですが、
X68K電源のダミーユニットを展示する予定です。 

これはX68000の電源ユニットをオーバーホール後、テスト稼働させる為のダミー負荷。 
いきなり本体に繋いで動作テストする方も多いようですが、
電源ユニットの異常で本体にトドメ刺したりすると、泣くに泣けないですからねぇ。

本体に繋がず、電源ユニットのみでも動作しますが、
無負荷だと症状が出ない不具合もあり得るわけです。 

そんなわけで作ったダミー負荷なのですが、
あくまで自分用に作ったものでして、他の方の需要は皆無かと(笑)
なのでキットとして出すつもりはないのですが、
もし興味をお持ちの方いらっしゃれば、部品をお出ししてもいいかなと。

当日、コンセントが使用できるようでしたら、実演も行うかもしれません。 

2025年5月19日月曜日

TPS2116のお試し実験

 同人向けハードにて、供給電源の系統切替をやりたくて情報収集してました。

2系統ある入力のどちらかでも供給可能にしたい場合、
一番簡単に思いつく回路はダイオードOR回路ですね。
パッシブ動作なので信頼性も高く、コストも低い良い方法なのですが、
ダイオードのVF分だけ供給電圧が下がってしまうという難点があります。
電圧低下が無視できるような回路であれば構いませんが、
USBからの供給も含む5V回路の場合、とても無視できない値になります。

それともう1つ、ダイオードOR回路の場合、
どちらの入力から供給されるかは入力電圧値で決まります。
入力がA・Bの2系統有ったとして、入力Bに電圧を供給した場合には、
電圧値に関わらず、必ずB側から給電されるようにしたい、
いわゆるプライオリティ動作の機能が欲しい場合、
ダイオードORでは無理なわけです。

 

ということで、出力イネーブル機能付きの理想ダイオードICなんかも試しつつ、
思考錯誤してきたわけですが、ここにきて理想の一品を発見!!
TI製のTPS2116という石です。

この石はまさに、上記の動作の為に作られた石です。

最近出たばかり・・・・というわけではないのですが、
TIの製品は非常に種類が多く、欲しい石を見つけるのに難儀するんですよね。

 TPS2116をデーターシートを確認すると、
ほぼ私が欲しい機能通りの事が書いてあるのですが、
こちらが想定している使い方のケースについては記載がありません。
ですので実際に実物で動作してみることにしました。

 

まず、TPS2116と変換基板を用意。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

この石は0.5mmピッチなので、電線を直結して実験はさすがに無理(笑)

 

変換基板にICを実装したのがこれ。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

レーザー刻印なので非常に視認性が悪い!!
しかし刻印以外で向きを確認する方法が無いという困ったちゃんです。

なんとか頑張って実装できたので、実験作業に進みましょう。

 

まず以下がTPS2116の基本的な繋ぎ。


 

 

 

 

 

 

 

 

入力を自動切替して欲しいので、MODEピンはV-IN1に接続。
PR1は切替動作のスレッショルド電圧を設定するピンですので、
本来は抵抗分圧した値を入力するのですが、
今回は厳密なスレッショルド値の設定は不要なのでV-IN1へ直結してます。
V1オープン時の不安定動作を回避する為、1.2KΩでプルダウンしてます。
STは入力選択状態を表す出力端子ですので、今回のテストでは不使用。

 

まず基本はデーターシートにも記載ある、V1へ5V供給している状態。 



 

 

 

 

 

V2の状態に関係無く、OUTには5Vが出てきます。

上記の状態からV2へも5Vを供給し、次にV1への供給を止めると、
供給源がV2に切り替わってOUTには引き続き5Vが出てきます。

またV1に5Vを供給してやると、供給源がV1に切り替わる・・・・
というのが この石の基本的な動作です。

 

さてでは、V1・V2ともに供給無しの状態からV2へ5Vを供給した場合??







 

これが今回確認したかった内容です。
普通に考えればV2からOUTへ供給されるだけ、と予想できますが、
データーシートには記載が無いんですね。
(データーシート記載は、V1供給からスタートする事例ばかり)

で、結果は予想通りOUTに5Vが出てきました。
つまりV2供給スタートでも問題無いという結論。

 

これ、V2にUSBから電源供給し、V1に外部供給する場合の想定なのです。
外部供給が無い場合はUSBバスパワーで動作するけど、
外部供給がある場合は常に外部供給で動く、というような設計です。

 

それともう1つ、電圧差についても調べてみました。

V2に5.05Vを供給した状態で、V1に5.0V供給した場合の挙動です。


 

 

 

 

 

これも結果は期待通りで、V1に5.0Vを供給すると、
OUTは5.05Vから5.0Vへ下がりました。
理想ダイオードを使った切替回路の場合、
この程度の微小電圧差では切替がうまくいかない場合があるそうなので、
念のために調べてみた次第。


最終結論として、私の期待通りに動いてくれる石だという事が確認できました。
今後愛用していくつもりです。

ちなみに入力系統切替はFETによるスイッチ式なので、
切替の際に僅かな出力電圧低下が起きるので、その点だけ留意が必要ですね。

2025年5月9日金曜日

BNCコネクター取付用の治具

 某組配案件にてパネル固定のBNCコネクターを使用。
複数取り付くのですが、きちんと向きを揃えなきゃならない。 

四角フランジが付いててビス4発で留めるタイプならば問題無いのですが、
今回取り付けるBNCコネクターはナット1個を締めて固定するタイプ。

一応、板金の開口はDカットが施されてるので、
大幅に捻じれて取り付くことはないものの、
穴のアソビのせいで若干捻じれてしまうのでした。

なので手調整で向きをなるべく揃えているわけですが、どうにも効率が悪い。

 

というわけで、治具を考えてみました。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

治具自体の傾きを防ぐため、2つのBNCコネクターを跨ぐような構造。
この治具を装着したまま、2つのBNCコネクターのナットを締めればOKなはず。 

これ、どちらもmeviyで見積。

2ピース構成になっていますが、奥の方が治具の本体。
(上図には描かれてませんが、M2.5の皿ビスで合体させます)

加工精度と ある程度の硬度が必要なので、本体はアルミの切削品です。
ステンでも作成は可能ですが、重さの点で作業性が問題なるかも。
3Dプリンターで自作を考える方も多いでしょう。
3Dプリンターでの造形自体は可能だと思います。
しかしABSやPET等で出力した場合、BNCコネクターを締めた際に
コネクターの突起が若干食い込んで、治具が抜けなくなると思います。
そういう意味で、硬度が必要という話なのでした。
無垢のアルミだと懸念が残るので、念のためアルマイト処理もかけています。
ちなみにポチコンで出力するならば3DプリンターでもOKかも?

BNCコネクターが嵌る部分は公差を設定してます。
ネックはBNCコネクターのロック用突起を嵌める溝。
仕様で、公差指定すると切削深さの制限が発生するんですね。
MAX4mmという仕様なので、深さ4mmで設計。

しかしこれだと治具がBNCコネクターの根元まで刺せず、
パネル面から浮いた状態になってしまうので、
前面にスペーサーのような板を付けるという構造になりました。

この前面板は切削ではなく板金で十分。
板金加工で樹脂が選択できるので、ポリカーボネートを選択。
これならBNCコネクターが取り付く板金の表面を傷つける可能性が減りますので、
一石二鳥の構造となりました。

 

気になるのはお値段ですが、通常納期でも、2つ合わせて1万円以下でした。
治具ですから単発の代物です。
それがこの値段で1つから作れるのですから、大助かりですね。


ネジの締め付けトルク

 あるお客さんから請けてる組配案件、全てのネジにの締め付けトルクが指定されています。
専用工具を用意し作業を開始したところ、あるネジで破損が発生。
黄銅製の六角スペーサーをバーリングタップ加工してある鉄板に組付けてる箇所でした。 

指定トルクで締めると一部の物は耐えられるのですが、
大抵の物は六角スペーサーの雄ネジが変形してしまい、
最悪の場合 規定トルクに達する前に雄ネジが潰れてしまいます。

お客さんが設定した締め付けトルクの根拠は、ヒロスギが公開している資料でした。
スペーサーの破断トルク

確かにこの表だと、お客さんの指定値には余裕があるように見えます。
しかしこのテスト、スペーサーの受け側が専用の台です。
六角スペーサーの雄ネジが全長に渡って嵌合するのです。

それに対し今回問題が発生した物はバーリングタップ。
せいぜい2山程度しか嵌合していません。
これなら当然、耐えられるトルクは変わってきますよね。

 メーカーの参考資料を用いるのは良いと思いますが、
実物との状態差異を考慮しなければならないという良い実例でした。

2025年4月29日火曜日

1ゲートロジック変換基板

 以前から告知しておりました、「1ゲートロジック変換基板」の正式発表です。

昨今 かなり幅を利かせてきた1ゲートロジックICですが、
表面実装タイプしか存在しない為、ユニバーサル基板やブレッドボードでの使用には、
ちと難儀する代物でした。
そこで今回の変換基板を作成する事にした次第です。 

 

実装可能な1ゲートロジックICはSOT-353パッケージなどと呼ばれている、
0.65mmピッチの物です。
東芝ですと、USVパッケージと呼称されています。

これを2.54mmピッチ、5ピンのSIP形式に変換するのが当基板です。

 以下が未実装基板の表面


 

 

 

 

 

 

 

 

実装部品は全て表面に載っています。

 

ちなみに以下が裏面です。









 

表面処理は金フラッシュメッキですので、
実装部品とハンダに留意すれば鉛フリー対応も可能です。


下側に5つ並んでいるパッド部は2.54mmピッチの足が付くところ。
ここにマックエイト製CB-1-3を実装します。
パッド中央にスルーホールが存在しますが、これはパッド強化の為で、
スルーホールに部品を差すことはありません。

 

この基板内の回路図は以下の感じ。










 

 

ロジックIC用のパスコンと、プルアップ/プルダウン用の抵抗も実装可能です。
サイズは全て1608です。(抵抗については2012も載せられます)

R1のパッドがアブノーマルな配置になっておりますが、
これはプルアップとプルダウンを実装によって選択可能にしている為です。
以下のようにチップ抵抗の実装位置によって、プルアップとプルダウンを選択可能です。




















 

なお、R2についてはプルアップのみ可能です。

 

実装可能な1ゲートロジックICは大きく3種類に分けられます。

1つ目は2入力ゲートタイプ 。
2つ目は1入力タイプ。
3つ目は3ステートバッファータイプです。

 どのタイプもパッケージ自体は共通で、
1入力タイプのみNCピンが存在するという形なので、
この変換基板で全て対応可能というわけです。

 2入力ゲートタイプを実装した場合、ピン接続は以下の様になります。
(図ではNANDゲートの例になっていますが、ANDやORゲート等も同様です)




 

次に1入力タイプを実装した場合。




 

IN2がNC扱いとなります。

 

 

最後に3ステートバッファータイプの場合。




IN2がゲート端子になります。

 

 

 

この変換基板はキットとして頒布いたします。
頒布品は基板3枚分が1セットです。
以下が内容物。








 

基板は3枚がVカット面付された状態ですので、使用時に各自で分割して頂きます。
※必ず基板分割してから部品を実装してください。
 実装後に分割する場合はVカットカッター等の専用工具を必ず使用してください。

現時点ではピンは5本連結品がが3つ同梱されます。
将来的に15本連結品が1本になるかもしれません。
その際は各自で5本ずつにカットして頂きます。

これ以外の表面実装部品は各自で用意して頂きます。
1ゲートロジックICはピン配とパッケージサイズが合致していれば、
メーカーや種類は問いません。

C1のパスコンは必須ですが、使用するロジックICの種類によって、
容量を調整してください。

R1とR2は必須ではありませんので、必要に応じて実装する感じです。

 

 

基板の作成

以下は実際にこの変換基板を作成したものです。

まず、表面実装部品をハンダ付けします。









 

 

今回実装したロジックICは東芝のTC7SH14FUです。
シュミットトリガー入力のインバーターですので、
使用形態としては1入力タイプになります。
IN2がNCになるので、必然的にR2も不要となります。

C1には0.1μFのチップコンを使用しました。
TC7SHはVHC相当なので、0.01~0.047μF位でも良いかも。

R1は10KΩでプルダウンする様に実装しています。

基板が小さい為、基板を両面テープ等で固定するとハンダ付けが楽でしょう。

 

ピンを差し込みます。










 

 

 

基板を表裏で挟み込む形状になっています。
もし変形していた場合は、ラジオペンチ等で修正し基板を差し込んでください。

ピンは2.54mmで連結されています。
必ず、連結された状態のまま実装してください。
個別に切り離してしまうとピッチが揃わなくなってしまいます。

 

ピンをハンダ付けします。










 

 

 

両面ともハンダ付けします。

 

 

最後にピンを切り離して完成です。










 

 

 

ピンの長さはお好みで構いません。

 

 

頒布について 

現時点での入手方法は直接問合せしかございませんが、
7/20に開催される「つくまた2」へ参加が決まれば、
そこで頒布を予定しております。

2025年4月10日木曜日

トルクレンチ選びで四苦八苦

 各部の締め付けにトルク指定が有るという組配案件が来ました。

当方も元請けさんもトルク管理案件を手掛けたことは無いので、
トルクレンチは持っていない為、そもそも工具を揃えるところからスタート。
ちなみにパナソニックの電動ドライバーは愛用していまして、
これには設定トルクで自動停止する機能があるものの、
トルクレンチよりは精度が落ちる代物なのです。

 

生産工程にてトルク管理を経験されてる方なら お解りでしょうけど、
本来一人で管理・作業を行うものではありませんよね。
しかし悲しいことに当方は一人。
管理と作業を全て行う必要があるのです。

すると問題になるのがトルクレンチの設定管理。
単一のボルトを締め続けるのであれば、一度設定すればOKなわけですが、
今回は複数の種類が存在するので、作業中にトルク設定値を変えなければなりません。

しかし一般的なトルクレンチは目盛線を引いてあって、
それを目安に調整する代物なので、油断すると設定ミスの確率高し。
なのでトルクテスターで設定値の確認まで行うのがセットなのでしょうが、
このトルクテスターが また高価なんですよね。

 

そんなわけでどうしたもんかと熟考していたわけですが、
直読式なら絶対とは言えないものの、ミスの可能性は減らせるという結論に。

トルクドライバーについては、KTC製のGLKシリーズを選択。
デジタル式なのでトルクが直読できます。
お値段も安いとは言いませんが、まぁ手が届くレベル。

トルクドライバーが使用できない箇所についてはトルクレンチの出番。
これがちと難儀していました。
全般的に指定トルク値が小さい為、工具の選択肢が少ないんです。

弱トルクのレンチだと東日製が割と幅を利かせてる雰囲気ですが、
東日のトルクレンチは先に書いた目盛式。
なのでトルクテスターが無いと厳しいんですよね。

結局、 TONE製T8D6という製品をチョイス。
これはデジタル式ではないのですが、設定値が直読できる様になってます。
これならトルクテスター無しでも行けそう。
お値段もお手頃です。

ただ、このT8D6の範囲値未満の指定トルクも存在するので、
それをどうするか 引き続き思案中なのでした。
デジタルタイプのトルクレンチは桁が1つ違うので、手が出せないんですよね。

2025年4月6日日曜日

組配外注の弊害

 組配の新案件の打診を頂いておりまして、見積・打合せの最中。
そこで気づいた点が有りましたので、明記することに。

 

今回の組配案件、ボックス状の電子機器なのですが、
随所に締め付けトルクの指定が存在します。

すると同然、トルクドライバーやトルクレンチを使用する事になるわけですが、
それなりにコストが発生してくるわけです。

通常であれば、設計から上がってきたものを生産技術にて吟味し、
無駄なコストが発生すると思われる箇所は設計変更を依頼して、
いわゆる設計の最適化を行うかと。

 

しかし今回の案件、エンドのお客さんは組配を全て外注している模様。
その為、社内に生産技術部門が存在しません。
なので、上記のような最適化が行われず、外注先に組配の発注が行きます。

外注先が生産技術を代行できれば まだマシなのですが、
発注段階では設計内容が確定している状態。
なので最適化を行うことが不可能なのです。

すると、確定している設計内容に従って組配作業を行う必要があるわけで、
無駄なコストが複数発生してしまう、というわけです。

 

ピンと来ない方もいらっしゃるかと思うので、一例を。

D-subコネクターの固定金具にトルク指定されています。
この金具はインチネジタイプ、#4-40UNCのものです。
すると、六角の外形は3/16インチサイズを想定するのが普通でしょう。
ところが何故か、外径5mmサイズの個所が1箇所混ざっているのです。
(5mmでなければ理由は特に無い箇所)
通常の組配作業であればスルーして構わないとこですが、
このおかげでトルクレンチのソケットを2種類用意しなければなりません。
ちなみにD-subの金具用のソケットって既製品が存在しない模様。
なので特別に作製しなければなりません。
それが2個になってしまうので、無駄なコストアップというわけです。

 

組配を外注頼りする場合は、こんな弊害もあるという点に留意しましょう。

2025年3月28日金曜日

予告:1ゲート変換基板

 先の記事にて記載した「1ゲート変換基板」ですが、
汎用性を高める仕様変更を加え、基板の実物が届きました。

現在ちと取り込み中の為、暫くは手を付けられない感じですが、
4月中には詳細を記載し、リリース可能にいたします。

皆様どうぞよろしくお願いいたします。

2025年3月10日月曜日

1ゲート変換基板(1バッファー版)完成

先の記事で触れたワンゲートロジックの変換基板の設計が完了しました。
やはり、入力のプルアップ/プルダウン抵抗機能付きで行くこと。 

回路的にはこんな感じ。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IC1がワンゲートロジック。
回路図内ではインバーターになっていますが、
同パッケージ品ならバッファーも使用可能です。

C1はIC1に対するパスコン。
0.1μFと記載してますが、超高速ロジックを使用する場合には
0.01μFの方がいいかもしれません。 

R1が入力のプルアップ/プルダウン抵抗です。
R1は必須ではありませんので、実装はお好みで。

 

基板の見た目はこんな感じ。


 










 

下側の4つのパッドに、マックエイト製CB-1-3をハンダ付けします。

IC1はSOT-23-5パッケージにしました。
大きい方が実装作業が楽なので。
ただ、昨今はICのシュリンク化が進んでいるので、
このサイズのICがディスコンになりつつある感じ。
入手性が問題になる様でしたら、1サイズ下のパッケージ用の基板も別に検討します。

C1は1608もしくは2012サイズのチップコンが実装可能ですが、
推奨は1608サイズです。

R1のパッド形状が面白い形になっています。
これはプルアップとプルダウンを実装位置で選択するという仕組み。
右寄りに実装すればプルアップ、
左寄りに実装すればプルダウンになります。
適合チップ抵抗は1608もしくは2012サイズです。
チップ抵抗については どちらのサイズでも問題ありません。


キットとして頒布も考えておりますが、
キットに含まれるのは未実装基板とCB-1-3のみです。
ワンゲートロジックIC、チップコン、チップ抵抗は各自で用意して頂きます。

 

ユニバーサル基板やブレットボードにてワンゲートロジックが使えるのは便利なので、
私自身が早々に欲しいと思っている基板です。
近々手配をかける予定でございますが、汎用性を考慮し金フラッシュにする予定。
(これなら鉛フリー対応もOK)
その為、ちょっと金額が大きくなるので、懐具合を見ながら進めております。(笑)

 

3/11追記

IC1はSOT-23-5パッケージの予定と記載いたしましたが、
改めて現状を確認すると、選択肢がかなり厳しい模様。

当方はある程度のストックを持っているので さほど支障は無いものの、
これから購入される方は難儀される可能性が・・・・・

ということで、SOT-25-5ではなく、SOT-353パッケージにしようかと検討中です。
0.65mmピッチなので手付けは少々苦労しますが、
量産するわけではないのですし、何よりICが入手できなければ無意味ですので。

懐が許せば両タイプとも作りたいところですが、
片方だけの場合はSOT-353パッケージ用になりそうな感じです。

 

X68K電源ユニット用ダミーロード その5

 今回は3種類のラスト、Type3です。

と言っても特に新しい内容が有る代物ではなく、
基板部とヒートシンク部が分離していたType2を、1つに合体させたものです。

単にそれだけなのですが、現在製作を進めているのが このタイプ。
見た目はこんな感じ。


 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一体型という点ではType1と同じですが、ファンの音が直接耳に入ってしまいます。
ですので静音タイプのファンが必須と言えるでしょう。
とは言え、ヒートシンクを冷やしきれなくなるとマズいので、
現物調整が必要になりそうです。

 

Type2で全体を2つに分けた理由は3Dプリンターの出力サイズでした。
当方所有の3Dプリンターは やや大型ですので、
一般普及品よりは大きめの物が出力可能です。

このType3のベース部は約200×150mm。
当方では出力可能なサイズですが、厳しい方もいらっしゃるかも?

Type2だと基板部が電線に引っ張られてしまう事が考えられるので、
このType3の方が使い易いと思われます。

 

ともあれ、あとは完成後の試運転で、ファンの音の具合次第ですね。

2025年3月9日日曜日

ワンゲートの変換基板

 先の記事に書いたワンゲートロジック専用の変換基板、
とりあえず基板設計は上がったものの、その後 更に手を加えてました。

ロジックの入力にプルアップ抵抗が有ると便利なのでは?
と思いついたので、早速抵抗を追加してみました。
さすがに元のサイズでは収まらず、高さを延ばすことに。
前の基板は高さが8.5mmでしたが、約10mmになってしまいました。

これでバッチリかと思っていたら、CMOSロジックなのだから、
プルアップではなくプルダウンしたいケースも出てくるのでは??
というお告げが脳内に!!

早速プルダウンも可能に修正開始。
しかし、プルダウン抵抗を新たに追加するのは さすがに無理が。
基板サイズを延ばせば載りますが、それは避けたいところ。

通常、プルアップ抵抗とプルダウン抵抗を同時に実装することは無いはず。
(そういう回路も存在しないことはないが、レアケース)
ならばパッドを共用にして、どっちか片方しか実装できないにしよう。

これで基板サイズを変えずに、プルダウンも可能になりました。
パっと見、実装のしかたが解りづらいという難点はありますが、
量産で使う基板ではないので、勘弁して頂けるレベルかと。

PWMファンのドライブと、新変換基板の話

 先日からPWNファンを動かす為の実験を行ってます。
動かす実験と言っても、PWMファンの実物が手元に無いので、
サーミスターとPICのPWM機能を調べるのが主内容ですが。

 

PWMファンはパソコン用ファンでは4ピンタイプと呼ばれている代物。
電源の2ピンと、回転数検知のパルス出力の1ピン、
そしてPWM制御の為の1ピンという構成です。

このPWM制御ピンの具体的なドライブ方法を改めて調べてみました。
以前、WEBで簡単にググってみたところでは、
ファン内部でプルアップ処理されているので、
PWM制御側からはオープンコレクタでドライブすればOK、
みたいな感じで書いてあったんですね。

そこで以下のような回路で考えていました。



オープンコレクタドライブ

 

 

 (※実際の回路で必要となる抵抗等は省略しています)

 

ファンの大手メーカーである山洋電気さんのカタログに
この辺の技術資料が掲載されていました。
それで詳細が確認できた次第。
もしかしたら山洋電気さんのファンだけに適用される規格で、
他メーカーでは違うという可能性はゼロではないかも?

 

山洋電気さん の資料によると、
PWM入力端子はプルアップ&プルダウンされた、
トランジスター受けの入力端子だそうな。

 




ファン内部

 

 

 

 

こういう回路という事ですね。

 

オープンコレクタにてドライブも可能だけど、
トーテムポール出力でのドライブも可能だそうです。
(PWMのパルスは5V振幅と謳われているので、TTLロジックだと厳しいかも)

入出力電流値は約1mAとの規定。
この値ならばPICマイコンのI/Oでも余裕ですね。


 

 PIC直結

 

 

非常にシンプルで良いと思ったのですが、
1つ気になる点が出てきました。

それはコールドブート直後の話です。

コールドブート直後はPICの全I/Oが入力ピンになります。
するとPWM信号線がPWMファン内のプルアップ抵抗の影響でHレベルとなり、
PWMファンがMAX速度で回転することになるんですね。
確かにそんな場面を見かけたことがある気がします。

機械的に何か問題があるか?と問われると問題は無いと思うのですが、
個人的にブート後はMIN速度から起動して欲しいと思いませんか?(笑)

 

そこで いくつかの回路を考えてみました。
要は、PIC側がフローティング状態の時に、
ファンのPWM端子がローレベルになれば良いわけです。

単純に上記のPIC直結式回路にプルダウン抵抗を追加するだけでは厳しいです。
流れ出てくる1mAの電流を吸収して、ローレベルの閾値である0.5V以下に抑える為には、
大きくても500Ωの抵抗でプルダウンする必要があります。
余裕を見るなら330Ωくらいでしょうか。

330Ωのプルダウン抵抗が付いた状態でPICのPWM出力が動作開始すると、
Hレベル時にPICからの出力電流が15mAくらいになってしまうわけです。
PICのI/Oポート自体は25mAくらいまでドライブできるので、
PICが焼けてしまうことはありません。
問題はそこではなくて、15mAものパルス動作を続けているデバイスがあると、
同じ電源下で動作するサーミスターの値に影響が出てしまう可能性があります。
それを避けるためにはサーミスターへの供給電源を分離する、
なんて事になると余計な部品が増えてしまいますね。


私が思いつく もっともベターな方法はCMOSロジックでのドライブです。






この図では一例として、トーテムポール出力のバッファータイプである、
74HC17を使ってみました。
74HCシリーズならば電圧レベル的にも入出力電流値的にもPWMファンに直結可能です。
74HCの入力は高インピーダンスなので、ローレベルに引っ張る場合でも、
せいぜい10K~47KΩくらいのプルダウン抵抗で十分です。
この程度のプルダウン抵抗ならば流れる電流は微々たるものなので、
+5Vの電源系統への影響も無視できるでしょう。 

ではこの回路で・・・・・・と言いたいところですが、
74HCロジックだと最低でも14ピンパッケージになってしまいます。
ロジック1つしか使わないのに、これは邪魔ですよね。

かと言ってワンゲートロジックICは表面実装タイプしか存在しません。
ユニバーサル基板での実験には不向きなわけです。

 

そこで思いつきました。

ワンゲートロジックICの変換基板が有れば便利なのでは?? 

表面実装部品をDIPタイプに変換する基板というのは既に存在していますが、
パスコンも考慮すると専用の方が使い易いでしょう。

電源と入出力ですから全部で4ピン。
DIPタイプのダイオードブリッジみたいな感じになるでしょうか。

それはそれで有りなのですが、変換基板を立ててしまった方がスマートじゃね?
と閃きました。
そのアイディアに基づき、早速基板設計。
すると、だいたい8.5×10mmくらいのサイズに収まりました。
この高さなら十分に実用的ですよね。
厚みは基板と部品の分ですので、2~3mm程度。

想定しているワンゲートロジックICはSOT23-5パッケージで、
2番ピン  ロジック入力
3番ピン  GND
4番ピン  ロジック出力
5番ピン  VDD
というタイプです。
バッファー及びインバーターとしては一般的なスタイルなので、汎用性は高いと思います。

PWMファンの話に使用するなら、東芝のTC7SH17Fなんかが使えます。 


この変換基板は結構重宝しそうなので、近日中に製作予定です。
例の如く同人ハード扱いにするので機会が有れば頒布も考えますが、
現時点では具体的には不明。
気になる方は私まで直接問合せください。

2025年3月8日土曜日

X68K電源ユニット用ダミーロード その4

 前回はType1を解説しましたが、今回は2つ目のType2です。

Type1で十分実用性は有るのですが、ワイメイク性が強い感じ。
meviyで作る板金部品だけで8千円を超えてしまいます。(通常納期の場合)
するとトータルで1万円を軽くオーバーしてしまうことに。

この金額自体は特に高いわけではありません。
むしろ、単発としては安いかもしれません。

しかし業務用途ではなく、趣味用途として見た場合、
もっとお安く出来ないかなぁ?というのが、今回のType2の出発点。

趣味ベースでお安くモノづくり、となると真っ先に思い浮かぶのは3Dプリンター。
3Dプリンターを活用してお安く纏めてみることにします。

 

さて、ではどんな構造にするかから再検討。
趣味用途で3Dプリンターを使うとなると、
ホビーユースで普及している3Dプリンターを念頭に置く必要がありますね。

すると、Type1のような一体構造はサイズ的に厳しそうな予感。
メイン基板部とヒートシンク部を分割してしまえば、
Type1よりはサイズを個々の部品サイズ抑えられます。
そもそもメイン基板とヒートシンク部の間は
抵抗へ繋がる電線と冷却ファンの電源線しか繋がっていないので、分割は容易です。

 

ではまずメイン基板部。

ここは単に、基板を床から浮かせて保持するだけで用は足りますね。
ですので以下の様な部品を設計。







 

 

サイズ的には110×80mm位なので、大抵の3Dプリンターで出力可能でしょう。
素材もPLAで十分と思います。

これにメイン基板をタッピングビスで取付け、
裏側にはゴム足をタッピングビスで取付けし、完成。











さて次はヒートシンク部です。

Type1ではヒートシンクを垂直配置しましたが、
さすがにあの形状のまま奥行きを縮めるのは ちと安定感が悪くなってしまいます。

そこでやむを得ず、ヒートシンクを水平配置することにします。
なお、ヒートシンク上のメタルクラッド抵抗の配置については全タイプ共通です。

思案の結果、決まったのが以下の構造。

まず、このような板金部品を用意します。







 

 

 

これはFANベースという部品です。
ちなみに裏側はこんな感じ。









 

これもやはりmeviyで製作可能です。
というか、こういう板金部品を1個単位で作ろうとしたらmeviyは欠かせません。


まずは このFANベースに冷却ファンを取付けます。
固定はトラスビスとフランジナットのセットにて。
Type1では板金の内側にファンを取付ましたが、
Type2では板金の外側に取付けます。
こうすることで板金の高さが減り、単価が若干落ちます。

冷却ファンの反対面にはファンガードを取り付けます。
これもトラスビスとフランジナットのセットにて。

Type1の時はファンガードと板金、冷却ファンを1本ビスで締めてましたが、
Type2で別々のビスで留める構造になってしまいます。
リブ付きのファンならば、1本のビスで行けるんですけどねぇ・・・・

ともあれ、ここまでで こんな感じに。









 

次に、板金部品の中に抵抗付きのヒートシンクを差し込みます。












裏から見ると こんな感じ。











 

 

ヒートシンクは差し込んだだけで、板金部品とビス留めしてません。

そして、これらを載せるのが、このベース部品。








 

 

3Dプリンターで作る部品です。
サイズ的には150×120mm位なので、大抵の3Dプリンターで大丈夫なはず。
素材はABSかPET辺りがお勧めですが、PLAでも実用にはなるかと。

ちなみに裏側はこんな感じ。












 

先程の板金部品とヒートシンクのセットを、このベース部品に載せ、
長いトラスビスでベース部品・板金部品・ヒートシンクを一気貫通で留めます。












 

最後にゴム足をビス留めします。
ここで使うゴム足は、タカチのA14-6です。
Type1で使ったA21-8だと ちょっと大きすぎな感じ。











 

 

これでヒートシンク部も完成です。











 

前側に謎な突き出しと穴が2個存在しますが、
これは電線類を片サドルで留められるようにと用意したもの。
留めた方がベターですが、まぁお好みかなと。

 

このType2だと、板金部品の費用が半分以下になります。
総額で1万円を切るでしょう。
板金部品を3Dプリンター出力品にすると?という疑問が出ますが、
コの字形状をこの薄さで1発出力するのは まず無理なので、
パーツ分割して組み合わせ、という感じになるでしょう。
すると現在よりゴツくなってしまうので、スマートさに欠けるかもしれません。
私ならば、ここだけはmeviyの板金部品を選択するかなぁ。

X68K電源ユニット用ダミーロード その3

 今回からはユニット全体の組立について触れていきます。

VCC2以外の電源の負荷にはメタルクラッド抵抗を使用します。
大電力用なので高価な抵抗ですが、秋月電子に安価な物が売っているので、
それを利用することにいたします。

当然ながらメタルクラッド抵抗には放熱機構が必要となります。
今回はヒートシンクに取付けし、ヒートシンクをDCファンにて強制空冷します。

ヒートシンクも それなりの値段する代物ですが、
うちには以前いただいた、没品のヒートシンクが有ります。
こんな代物。



 

 

表面

 

 

 


 

 

 

 裏面 



 

 

諸事情で没になり、本来なら産廃ゴミになるはずの物を頂いたという経緯。
その為、既に穴あけ加工済みなのですが、その穴を避ければ良いだけで、
ヒートシンクとしての能力は問題無いわけです。
今回はこれを利用して材料費節約です。

 

メタルクラッド抵抗に合わせ、上のヒートシンクに取付穴を加工します。
アルミ製のヒートシンクなので、加工は割と楽なのですが、注意するとすれば穴位置。

何も考慮せずに位置を決めて穴あけすると、
当然ながらフィンの位置に穴が来る場合があります。
そこそこ太いドリルであれば さほど問題にはならないのですが、
細いドリルの場合、折れてしまう懸念が有るのですね。

そこで今回はフィンの間の谷間部分に穴あけする様に設計。
このヒートシンクのフィンピッチは6mmで、谷間部の隙間は4mmあります。

メタルクラッド抵抗の取付穴が丁度6mmの倍数であれば、綺麗に収まりますが、
当然ながら そんな上手い話は無いわけでして・・・・・
ですので抵抗を斜めに傾けて、取付穴を6mmピッチに合わせます。

そんな感じで取付できたのが以下。






抵抗取付後

 

 

 

 

 

 

見た目としては抵抗の向きが揃っている方が良いわけで、
売り物であれば 当然そうするところですね。
しかし今回は自分用なので、見た目は重視しない方向で行きます。

上の図では、3種類のメタルクラッド抵抗を使っています。
10Wタイプ、25Wタイプ、50Wタイプの3つです。
秋月電子からはメーカー提供の図面が配布されているのですが、これが曲者。
なんと現物と図面が異なるのです!!

特に問題になったのが25Wタイプ。


 

 

 

 







縦寸法はほぼ問題が無いのですが、問題は横寸法。
各穴が1mm以上ズレているのです。
するとトータルで2mm以上のズレになるわけで、これでは全く穴が合いません。

結局、ヒートシンクに追加の穴あけを行い、無事に取付を終えたという経緯。
日本メーカーの抵抗ならば まず考えられない話ですが、
中華製部品ならば ありがちな話ですね。

 

このヒートシンク部と冷却ファン、そしてメイン基板を纏めるわけですが、
最終的に合計3つのパターンを考えました。
以降、順に1パターンずつ解説して参ります。
(ヒートシンクと抵抗については、どのパターンも共通です)

 

まずは1つ目のパターン(Type1)

全体を纏めるベースとなるシャーシが以下の物。







ベース板





 

t1.2の板金加工品で、meviyにて製作可能です。

 

次にヒートシンク部を固定する為のパーツがこれ。






HSステー

 

 

 

 

 

 

これもt1.2の曲げ板金部品で、meviyにて製作可能。
上端はコの字曲げになっていますが、
こういう形状は寸法次第で曲げ機の歯に干渉してしまい、
加工不可となる場合があります。
今回の金具の様に奥行きが広く、曲げ先も短ければ ほぼ大丈夫です。
meviyの場合、干渉を自動チェックして見積時に指摘してくれるので安心ですね。

 

この金具2本をヒートシンクにビス留めし、それをシャーシにビス留めしたのが以下。












あとはシャーシに六角スペーサーを使ってメイン基板を取り付け。
シャーシに冷却ファンとファンガードをビス留め。
シャーシの底面にゴム足をビス留め。

すると以下の様な感じで完成です。


 


















 

 

冷却ファンは92mm角、25mm厚というサイズ。
ヒートシンクの幅が約100mmなので、それに近い最大サイズを選択。
このサイズだと25mm厚の製品がパソコンのケース用として流通しているので、
それを流用することにしました。
山洋電気等の一流メーカー品でも安く入手可能なのです。
しかもケーブルにコネクターも付いてます。

ただ残念なのは、ケース用ファンはどれもリブ無しタイプなのです。
パソコン用のケースファンを購入すると、
大抵、ファン取付用としてタッピングビスが付属してきます。
ところが、少なくとも山洋電気ではリブ無しタイプを
タッピングビスにて固定するのはNG扱いになっています。
(リブ有りならタッピングビス留め可能)

他のメーカーならば大丈夫、ということはないと思われるので、
リブ無しをタッピングビス留めするのは自己責任扱いになると思われます。

取付けの手間を考慮するとタッピングビスを使いたいところですが、
リブ有りのDCファンは高価なので断念し、
リブ無し品をトラスビスとフランジナットで固定しています。

 

ゴム足はタカチ製A21-8です。
このシリーズはエラストマ製の為、ゴムの様な悪影響が発生しません。
取付もビス留めなので、ズレたり剥がれたりという懸念がありません。

 

今回解説したType1のメリットは冷却ファンの騒音
使用者はメイン基板側に居るわけですが、
すると冷却ファンがヒートシンクの陰になるので、
冷却ファンの音がある程度遮られるわけですね。
X68K電源ユニットのテスト時、ファンの音が煩いと、
電源ユニットからの異音が解りにくくなってしまいます。 


最後に板金の材料についての話。
このタイプでは t1.2の曲げ板金を使っていますが、
この t1.2の板というのは一般的に鉄板材で使われる厚みです。
もし上記の板金部品を鉄で作った場合、
塗装なりメッキなりの表面加工が必須となります。

ところがmeviyでは t1.2のステン材を用意しているので、
この板金部品をSUS304で作ることが可能です。

一番安価なのはSUS304(2B)という素材ですが、
見た目がそれなりなので売り物にする場合は要注意ですが、
自分用のツールで見た目を気にしないならば、有用な選択肢となるでしょう。
なお、SUS304へのビス留めはステンビスが必要な点に注意が必要です。

2025年3月6日木曜日

X68K電源ユニット用ダミーロード その2

 前回は全体仕様までを記載いたしましたが、
ここからは実際の製作物についての話です。

 

先の全体回路図の内、ヒートシンク部以外は1枚の基板に纏めます。
既に基板の設計は上がっていて、もう発注済みです。

しかし世の中は便利になったもので、
実物が出来上がる前に、3D-CADによるモデルを見る事ができます。
それがこちら。









これで十分、メイン基板の雰囲気がお解り頂けるかと。
基板サイズに対し部品配置が疎なのは、
大電流を流す為にパターン幅を広めに確保しているからです。

基板奥手にヒートシンク部に繋がる端子台が並んでいます。
ヒロスギ製のHP-03423という製品で、
M3ネジにて圧着端子を止める、基板実装型の端子です。
もちろんサトーパーツ等の一般的な基板用端子台でも問題ありませんが、
手持ちの関係で これを使ったという次第。

端子の右隣にはヒートシンクの冷却ファン用電源コネクターが有ります。
MOLEXの5046-03Aという製品なのですが、
巷に流通しているパソコンのケースファンが そのまま接続できます。
この基板にはPWM制御の機能が無いので、3ピンタイプのファン用です。

基板の左端にはX68K電源ユニットからのケーブルを挿すコネクターが2つ並んでます。
手前は日圧のB6P-VH、奥はMOLEXの5273-02Aです。
コネクター2つに分かれるので、+5Vが10A近く流せるというわけですね。

基板の手前側の左寄りが、X68K電源ユニットの起動スイッチ。
日開のA-12HBを使っています。
これも単に手持ちが有ったからという理由。
X68K電源ユニットの起動操作信号はmAオーダーの電流しか流れませんので、
できれば微小電流用スイッチの方が好ましいわけです。
その点では日開のAシリーズもしくはBシリーズがお勧めです。
このA-12HBの端子穴は2.54mmピッチになっているので、
ピッチが合うものならば代用も可能です。
秋月電子扱いならば、2MS1-T2-B4-M2-Q-E-Sなんかも合うでしょう。
しかしこれは微小電流タイプではないので、その点は留意する必要があります。

スイッチの右隣はVCC2系統の表示LED。 

更にその右側にはブースト動作用の照光タクトスイッチがあります。
これも秋月で売ってるTS-ALGWRH-Gという製品。
在庫限りだそうですが、手持ちが有るので採用しました。
ブースト中はスイッチ中央のLEDが点灯します。

そして一番右端のLEDが+5V系統の表示LEDです。

このLEDの奥手の方にちょっと大きな抵抗が居ますが、
これはVCC2の負荷抵抗です。
3Dモデルだと基板にベタ載せですが、単に手抜きモデリングしてるだけでして、
実際の実装時は基板から少し浮かせる様にいたします。

この抵抗は3Wの酸金抵抗。
丁度、秋月電子で赤羽電具製の酸金抵抗を扱っているので採用してみました。
赤羽電具の抵抗は質が良いそうです。
秋月電子に推薦してくれた方に感謝ですね。

そして最後、基板中央 左寄りのところに、フォトMOSリレーがあります。
ブースト動作の電流回路ON/OFFの要です。

回路図で東芝のTLP3543Aと記載してますが、他社同等品でも構いません。
この基板ではC接続で使用しているので、最大10Aまで流せます。
この時のオン抵抗は僅か5mΩ。
ブースト動作中に流れる電流は約2.5Aですから、12.5mVしかドロップしません。
なんとも凄いですね。
メカニカルリレーの肩身が狭くなるばかりです。(;;

 

以上、メイン基板については こんな感じでございます。