2023年12月22日金曜日

LP-168S用電源ユニットの製作 その1

 これまでにも部分的にネタを書いておりましたが、
改めて製作記事として纏めることにいたします。

LP-168SはLepy社が発売しているオーディオアンプで、
ステレオのメイン出力の他に、センターウーハー出力も備えている、
いわゆる2.1ch出力型のアンプです。
卓上使用を想定しているようで、出力も数W程度です。

一般的にオーディオアンプの電源と言えば、AC100Vを想定するでしょうけれど、
このアンプの電源はDC12~15Vなのです。
つまり、電源ユニットは別途用意する必要があるわけです。


そのような事情が出発点となり、電源ユニット製作を始めることとなりました。
わざわざ記事に纏めるほどの物?と疑問を感じる方もいらっしゃるかと。
確かに電気的な内容は特に目新しい点はありません。
見て頂きたいのは各部品を取付固定するベース部分についてです。

3Dプリンターにて出力した部品のみならず、
金属加工部品も登場して参ります。
この金属部品の調達にはmeviyを使用しているのです。
昨今、meviyは赤丸急上昇中で、耳にする機会も増えてまいりました。
過去には存在しなかった画期的なサービスであることは間違いありません。
しかしながらその内容上、通常の板金加工会社への発注時には
発生しなかった様な問題が出てくる場合が有ります。
今回の電源ユニット製作においても、その点が結構絡んできました。
皆さんにそれを知って頂きたいというのが、この記事の目的です。

 

まず、製作予定の電源ユニットの仕様は以下の通り。
入力 AC100V
出力 DC12~15V 2A
トランス式アナログ電源

全体回路は以下の通りです。


回路図



ご覧の通り、極一般的なトランス式電源です。
手持ちの電解コンデンサーの都合で、4700μFを2発使ってます。
電圧仕様が12~15Vのアナログ式なので、耐圧は16Vでも足ります。
昔は使用電圧の3倍を目安、という話もありましたが、
電解コン自体にも電圧マージンを持っているので、
ギリギリで使用しても特に問題はありません。
むしろ耐圧に比べ、非常に低い電圧で使用すると逆に悪影響が出る場合もあります。

要注意としては2点あります。
大きなリプルを含む電圧を加える場合、
リプル分のピークが電解コンの耐圧を超えてはなりません。
その場合は電解コンの耐圧を上げる必要があります。

もう1点、質の悪い中華製電解コンではマージンが無い可能性あるので、
ある程度余裕を見た方が良いでしょう。
そもそも中華製電解コンを電源に使うのはお勧めしかねるのですが・・・・

簡単なフィルターを構成させる為、インダクターと抵抗も挿入しています。
抵抗には突入電流抑制効果もあります。
電圧降下と発熱の観点から、抵抗値は調整しましょう。
今回は0.5Ωで設計を開始しました。
2A流れた場合、抵抗で2W消費することになります。

インダクターには470μHのトロイダルコア型を使用しました。
秋月電子の一番大きな物がこれだったからです。
トロイダルコア型は磁束が周りに漏れにくいのが特徴ですが、
コアの加熱には十分気を遣う必要があります。
電流容量には余裕を持つべきでしょう。

トランスも出力容量2A品を選定しました。
昨今、電源トランスの入手性が悪化していて、なかなか困った状況ですが、
運よく豊澄のHT-122が1個だけ手に入りました。

2A想定なので、ブリッジダイオードとしてPANJITのDXK810を選定。
DXK810はヒートシンク固定タイプ。
SDI2100等のショットキーバリア型ならば基板実装タイプで済むところですが、
整流後の電圧が15Vを超えさせない為、ショットキーバリア型ではなく、
通常のシリコンダイオード型を選んでおります。
また、突入電流の観点からもブリッジダイオードには余裕が欲しい感じです。


外観はこんな感じです。





外観






こんな感じで壁に吊り下げて使うことを想定してます。

左斜め下視点だと こんな感じ。




左斜め下視点





 

カバーは存在しません(笑)
市販目的ではなく個人使用なので、見た目は問題にならないからです。
AC100V架電部は最低限の絶縁がされますし、放熱の面でも有利です。

ベース板はABSにて3Dプリンターで製作します。
強度の観点からはPLAでも構わないと思いますが、
各部が発熱した場合、PLAだと変形の恐れがあります。

基板の奥にブリッジダイオードを取り付けた放熱器が見えます。
この放熱器はmeviyにて製作します。
アルミ製の板金部品で、黒アルマイト処理を予定してます。
放熱器固定はベース板裏側よりφ3×8mmのPタイト皿ビス4発にて留めます。
その為、皿もみ加工が必要となるわけですが、
3mmの皿ビス用の皿もみ加工をする場合、t2.0以上の板厚が必要です。
これはmeviyの仕様です。
一般の板金工場であればt1.2でも皿もみ加工してもらえますが、
meviyを使う場合は この点に要注意です。

ブリッジダイオードの固定にはM3のビスを使用します。
meviyにてM3のタップ加工まで行ってもらいます。
ただし、上記仕様でt2.0のアルミ板を使っている為、
バーリング加工は出来ません。
これもmeviyの仕様です。

要するに、皿もみ加工とバーリング加工を同時に施せる板厚は存在しません。
どうしても両方必要になる場合は、一般の板金工場を検討する必要があります。


以上のような感じで、とりあえず形にはなりそうですが、
ここで疑問が湧いてきます。
放熱器の製作代で、ベース板も含めた板金を作れるのでは??

黒アルマイトのアルミ板金って、決して安くはないんですね。
今回の場合、ABS製のベース板への負担を考慮し、
なるべく軽量なアルミを選択した次第。

ブリッジダイオードの発熱は さほど多くはないと思われるので、
ならばベース板と放熱器を一体にし、鉄やステンでも良い可能性が!

ということで、ここから長い話になっていくのです。

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