2023年12月4日月曜日

PCBAについての注意点

 PCBAとはプリント基板アッセンブリーのこと。
つまり、プリント基板製造から、それに部品を実装する事までを含みます。

最近、中国の基板屋が個人でも使いやすくなってきたことに伴い、
その基板屋にアッセンブリーまで依頼するケースが増えてきた模様。

それに関し、私から注意喚起で少し記述してみます。

まず最初に心に留めておかなければならない点は、
中国で基板を作る場合、材料は主に中国国内生産品である事。

これはとても重要なポイントで、以下の2つに繋がります。
1:中国国外製造部品の使用は ほぼ不可能。
2:材料や部品の品質は中国の常識にならうことになる。

もうちょっと詳しく書きますね。
まず1つ目ですが、基本的に中国国内で一般流通してる部品というのは、
中国国内で生産された物なのです。
もちろん中国以外で製造された部品というのも流通しているのですが、
これらは輸入商社が特別な対応を取っているもの。
特別な対応というのは、察してください。

日本であれば こんなややこしい話は存在しませんので、
国内製造/海外製造にかかわらず、同様に選択することが可能です。
しかし中国の場合、あちらの国内で流通している部品しか選択は不可能です。
中国国内で流通していない部品を選んで設計し、
それを中国の業者にPCBAを依頼するとしたら、
あちらで入手不可な部品は日本から送ればいいのでは?
と思われるかもしれませんが、これはほぼ不可能なのです。

例えこちらが個人であっても、中国にとっては部品の輸入扱いになってしまうので、
税関で厳しく対処されることになります。
単に重い税率を載せられるのみならず、
色々と理由をつけられて通関を邪魔されるんですね。
なので手間を考慮すると割りが合わないので、
この選択肢は事実上無しなのです。


次に2つ目の話

中国国内の部品市場のリスクは皆さん既に耳にしてると思います。
PCBAを行っている会社も例外ではありません。
メーカーから直接部品を仕入れている会社なんてほぼ無いわけでして、
通常は一般市場から部品を調達するわけです。

すると当然ながら、不良部品が実装されるリスクが出てくるわけですね。

日本国内の業者にPCBA依頼する場合は気にする必要がありませんが、
中国業者にPCBAを依頼する場合は、それを踏まえた対処が必要となるのです。

では基板不良の可能性を踏まえた具体的対処は以下のようになります。
1:全数詳細検査を行い、不良品を洗い出す。
2:抜き取り検査を行い、最低限のチェックを行う。
3:数量等のチェックだけに留め、事実上検査は行わない。

出荷品全て不良率ゼロに近づけたいという製品の場合は、「1」を選びます。
日本の製品では このレベルのものが多い感じですね。
ここで留意しなければならないのは、全数詳細検査のコストです。
部品ですら偽物の可能性があるわけですから、検査内容は多岐に渡ります。
基板の規模にもよりますが、日本国内で製造した方が安くなる場合もあり得るかと。

ある程度の不良率は見込んだ上で製品流通させるという場合は、
「2」の選択肢ということなるでしょう。
ただ、最低限のチェックでは判明しなかった不良が存在した場合は、
あとで全数交換なんていうトホホな状況になる可能性もゼロではありません。
入荷時の検査コストは そこそこで抑えられますが、
リスクがゼロではない点に留意が必要ですね。

最後は不良品が含まれているのを承知で、そのまま流通させる選択肢です。
これが「3」の選択です。
一瞬だけ聞くと悪徳業者の所業の様にも聞こえますが、
そうではなく、不良品が含まれている事を想定し、
それに対するサポート体制を整えておく前提の話です。
なのでお客さんから不良品の連絡が来たら、即時代替品を送るという対応です。
入荷検査に費用を使う代わりに、顧客サポートに費用を使う感じですね。
余談ですが、中国では この体制を取ってる会社が多いと聞きました。
考え方の違いが顕著に表れてますね。
日本では この体制を取るところは少ないと思いますが、
たぶん100均ショップは この体制じゃないかと思います。


自分が使う代物であれば、あまり問題にはならないと思いますが、
販売するエンドユーザーが別に存在する場合は、
市場対応の方針を考慮した上で、PCBA業者を選ぶべきだと思います。

参考までに「MMCじょい君」や「じょいぽーとU君」は
基板は中国製造ですが、部品実装は日本国内で行っています。

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