2017年11月11日土曜日

FUSIONへの基板発注

前回に引き続き、今回もSeeedさんが運営する、Fusion PCBへ基板を注文してみました。
以前予告した通り、今回は基板注文の手順を解説してみます。

まず、Fusion PCBのホームページへアクセスします。
今は日本語ホームページが有るので、とても使いやすくなりましたね。

このトップページの右上に、ログインメニューがあります。

















ユーザー登録がまだの方は、ここから新規登録を済ませましょう。

ログイン出来たら、いよいよ基板発注を開始します。
「今すぐ発注」のボタンをクリックします。

















すると、こんな画面が開きます。

















ここが基板発注のページです。
まず一番最初に、基板のデーターを登録します。
上の方にある「ガーバーファイルを追加」のボタンを押します。
















すると、ファイル選択の窓が開きますので、基板データーを指定します。
この際の注意点は以下のようなところ。
・ガーバーデータ-とドリルデータ-はZIP形式で1つに圧縮しておく。
・ZIPファイル内には指定外のファイルは混ぜない。
・データーの種類は拡張子で判別するので、拡張子はFusionの指定通りに。
 拡張子の前の部分は、全て同一にしておく。

基板CADによっては、ガーバーデーターを出力した際に
出力結果のレポートファイルなんかを自動で吐き出すものがあります。
普通に考えたら、そういうファイルも添付してあげると、
基板屋さんが喜ぶと思いがちですが、Fusionでは自動処理の為、
そういうファイルは添付したらアカンことになっています。

あと紛らわしいのが、NC用のドリルデーターのファイル。
Fusionの場合、このファイルの拡張子は「TXT」にしなければなりません。
一般的には「DRL」等が使われておりますので、要注意です。

ガーバーデータ-の詳細仕様については ここでは割愛いたしますが、
一般的な拡張ガーバー形式ならば問題無いです。

データーの読み込みが無事完了すると、以下のような画面になります。
















ファイル指定ボタンの下に、ファイル名が表示されます。
ここに表示されるファイル名は、Fusion側が管理するファイル名ですので、
こちらからアップロードしたファイル名と同一ではありません。

このファイル名の横に、「ガーバービューワ」という項目が増えておりますね。
ここをポチると、今アップロードしたファイルを見ることができます。
ということになっているのですが、このビュワーソフトの能力がイマイチでして、
きちんと表示できるケースの方が少ない感じ。

もしここできちんと表示されなかったとしても、焦らないでください。(笑)

さてでは、発注基板の仕様指定を開始しましょう。
改めて先程の画面を見てみます。
















これがデーター取り込み直後の状態ですので、必要な箇所を変更していきます。
変更内容によっては金額が変わりますが、それはリアルタイムで右側に表示されます。

まず基板の「材質」は、「FR-4」のままでOK。
これが一般的なガラスエポキシ基板ですね。
ガラスエポキシ基板にも更に種類はあるのですが、それについては割愛します。


「層数」も2層のままでOK。
これがいわゆる両面基板ですね。
作りたい基板が片面基板の場合は1層を指定することになります。
ですが金額は変わりませんので、何か事情が無い限り、両面基板にすることをお勧めします。


「寸法」は作成したい基板の縦横寸法。
長方形ではない基板の場合は縦横の最大サイズを指定します。
ここはガーバーデーターから自動的に値が入るのですが、
なぜか改めて値を入れるよう言われる場合があるので、
自分で値を入力しておくと焦らずに済みます。


「製造枚数」は その名のとおり、作りたい基板の枚数。
変更する場合は右横のVを押すと、枚数を変更できます。
枚数は選択肢は決まっているので、これ以外の枚数は指定できません。


次は異種面付けする場合の指定。
複数の種類の基板を一度に製造する際に用いる指定です。
が、面付けについては 色々と面倒な話が出てくるので、ここでは割愛します。
基板単価を抑えたい場合に、異種面付けが活用されたりするものの、
Fusionさんの場合は そもそも安いですからねぇ。
無理して異種面付け製造する必要性は薄いと思います。


次の「板厚」というのは基板の厚み。
デフォルトは1.6mmになってて、これが一般的な基板の厚み。
これより厚いものを指定すると金額が上がりますが、薄くする分には金額は変わりません。
あまり薄くすると基板の反りという問題が発生するので、その点だけ要注意かな?


「レジスト色」は基板の両面に塗布される、ハンダレジストの色です。
両面とも、同一の色となります。
どの色を選んでも金額は変わりませんが、レジストの色に応じて、
シルク印刷の色が変わる点が要注意です。
具体的には、白色レジストの場合はシルク印刷が黒。
その他のレジスト色の場合は、シルク印刷は白です。
昔は緑色以外を選ぶと基板代が上がったもんですが、いい時代になりましたなぁ。(笑)


「基板の表面処理」というのは、ハンダ付けする為に露出している銅箔部の処理方法。
指定を変えると金額が変わります。


「有鉛ハンダレベラー」というのは、銅箔部を鉛入りのハンダで覆う処理。
昔から使われてる処理で一番安価ですが、当然鉛フリー扱いにはなりません。

「無鉛ハンダレベラー」は鉛入りハンダではなく、鉛フリーハンダで銅箔部を覆う処理です。
有鉛ハンダレベラーより金額は上がりますが、鉛フリー基板としては一番安価。
ただ、ウィスカのリスクが有る点だけは要注意です。

「無電解ニッケル/置換金メッキ」というのは、金フラッシュと呼ばれているもの。
更に金額は上がりますが、鉛フリーでウィスカの心配もありません。
ただ、メッキ処理工程が雑だと、実装部品が剥がれやすくなります。

「電解金メッキ」は、本格的な金メッキを施したもの。
金フラッシュより金のメッキ厚が厚いので、値段もガッツリ上がります。
ですが、上記3つの欠点を全て解消できる優れもの。

他の基板屋だと、「フラックス仕上げ」という指定も存在するのですが、
この選択肢には存在しません。(AdvancedPCBコースの方には存在しますが)


「最小ソルダレジストダム幅」はレジストの細かさの指定。
0.1mmにすると値段は上がりますが、実装リスクは減るのでお好みで。
ただ、ピン間1本クラスの設計ルールならば0.4mmままでも問題無いはず。
超細かい基板の場合のみ検討してみましょう。
ちなみに今回私が注文する基板も0.4mmのままです。


「銅箔厚」は、その名の通り銅箔の厚み。
指定変更すると金額が変わります。
通常は1oz(1オンス)で問題無いはず。
なお、1oz基板が35ミクロン基板に該当します。

「最小穴径」は、スルーホールやビア等、基板穴あけする際のサイズ仕様。
デフォルトの0.3mmより細かいものを指定すると金額が上がります。
このサイズが問題になるのはビアのサイズかと思います。
0.3mm未満のビアを使う基板というのは、かなりの微細基板です。
一般的に使われる代物でありませんので、ここは0.3mmのままが普通でしょう。
もちろん、基板の設計仕様に合わせて指定する必要がありますので、
もし極普通の基板なのに0.2mmのビアが使われていたりした場合は、
基板設計レベルから見直すべきかと・・・・・・


「最小パターン幅/パターン間隔」はいわゆる設計ルールです。
パターン設計時の仕様に合わせて指定します。
「6mil/6mil」というのはピン間3本ルールに該当しますので、一般的にはこれで十分なはず。


「ブラインドビア」は多層基板でのみ作れますので、片面基板や両面基板の場合は、
ここの指定は「なし」のままです。
もちろん、これを使うと金額が上がります。


「端面スルーホール」は基板端にスルーホール処理を行うもの。
一般的な基板では使うことは ほぼ無いかと。
もちろんこれもオプション料金が発生します。


最後の「インピーダンス制御」というのは、パターンのインピーダンス設計が必要な際、
Fusionの方で よしなに調整してくれるというオプションです。
自分でパターン設計に折込済みならば、特に使う必要はありません。
もちろんこれも、オプション料金が発生します。

そんな感じで、今回発注する基板の仕様を指定した後の状態がこれ。

















金額は約30ドルとなっておりますね。
更に下の方にスクロールしていくと、「実装サービス」と「メタルマスクサービス」という項目も。

















これらはそれぞれ、基板に部品を実装して貰う作業と、メタルマスクを作ってもらうサービスです。
今回は単に基板を作ってもらうだけですので、これらは不要なのでスルー。

仕様の指定が完了したので、「カートに追加」 ボタンを押して、カートに入れます。

















 ここまでで何も問題が無ければ、成功のメッセージが出て注文基板がカートに入るはず。

















すると、最初の基板仕様の指定画面に戻りますが、カート内の商品数が増えてるはずです。

















別な基板の注文を続ける場合は、再度作業を行えばいいのですが、
今回はこの基板のみの注文ですので、次にカート内の購入手続きへ進みます。

右上のカートをクリックすると、カートの画面が開きます。
















この画面に、「PayPal CHECK OUT}というボタンが存在するのですが、これは押さないように。
いきなりPayPalの決済画面に飛んでいってしまいます。
ここは「安全に支払い」というボタンの方をクリックするのが正解。

















すると、作った基板の発送先の指定画面になります。




既に1度基板を作っているので、発送先住所が登録されていたので、
上記の画面ではそれが表示されておりますが、初めての注文の場合には、
その住所の登録から始める必要があります。
要注意点としては、全て英語表記で記入すること。
海外からの発送ですので当然と言えば当然なのですが、
全角文字で記入しても登録自体は出来てしまうのが困りもの。
しかし後から これじゃダメと連絡が来ます。(笑)

あと、右の金額の項目にクーポン等の表記が見えますが、
この辺は発送先住所の指定が完了しないと いじれませんので慌てないでください。


発送先の指定が出来たら、次は配送業者の指定です。














デフォルトだと、{DHL」が指定されております。
配達時間と費用との兼ね合いで選択しましょう。
とは言え、DHLのままで 特に問題は無いかと思いますが・・・・・・

この段階でやっと、送料が判明します。
逆に言うと、ここまで来ないと送料がわかりません。
ちょっと不便な感じですね。

クーポンやプロモーションコードの欄も、この段階で いじることが出来ます。

私の場合、割引クーポンを1枚頂いておりました。
クーポンは全てオンラインで管理されておりますので、
使えるクーポンの数と種類が画面上に出てきます。

まずクーポンの頭にある、丸いボタンをクリックし、クーポンを使用する旨を指定します。
すると、その下に自分が使えるクーポンのリストが出てくるので、
その中から使いたいクーポンを選択します。

私の場合、使えるクーポンは1つしかなかったので、それを選択。

すると、クーポンの割引が適用されて、こうなりました。














5ドル割引されたわけです。


最後は支払い方法の指定です。

















デフォルトだと「PayPal」が指定されているはず。
PayPalを使わずに、Fusionに直接クレジット決済させる選択肢もありますが、
セキュリティの懸念がありますので、ここはぜひPayPalを使いましょう。

「請求先住所」はよほど特殊な事情が無いかぎり「配送先住所と同じ」のままに。

ここまで来たら次は決済処理です。
「お支払い手続きに進む」のボタンをクリックします。

















すると、PayPalの画面に飛びます。
PayPalのシステムに対して、ログイン手続きが必要ですので、
PayPalを一度使ったことが無い方は、まずPayPalのユーザー登録が必要。
ちょっと面倒だと感じるかもしれませんが、お金が絡む部分ですので、
セキュリティの観点から我慢我慢。

PayPalの画面については、個人情報バリバリなものでSS載せられませんでした。
ごめんなさい。

PayPalでの決済手続きが完了すると、またFusionのホームページに戻ってきます。

















これで発注は完了です。

あとは基板が届くのを待つだけ。

Fusionのホームページにログインすると、進歩状況を確認することが出来ますが、
製造段階の細かい状況までは反映されないので、あまり意味は無いかもです。
発送後はメールで通知が来ますので、DHLならば数日後には手持ちに届くかと。

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