2017年9月5日火曜日

デモ基板のカスタマイズ

先日設計したデモ基板、お客さんからの要望によりカスタマイズすることで、
サイズとコストを抑えられるようにも考えておりました。

カスタマイズの1パターンとして、PICマイコンの低電圧化を調べてみました。

今回のデモ基板でも使用しているような最近のPICマイコンは
最初から低電圧動作も考慮されているので、1.8Vでも動作可能なんですね。

通信モジュールのインターフェースが1.8V系ですから、
PICマイコンも1.8Vで動作させるケースを検討してみました。

まずそもそも、PICマイコンの電源をどうするかという点。
1.8Vという電源は通信モジュールから取り出すこともできるのですが、
厳密に供給能力が明示されているわけではないので、
基板全体に給電させるのは不安があります。
マニュアルを読む感じでは、そういう使い方は想定していない雰囲気。

ということで、通信モジュールとは別に1.8Vを生成することに。
このくらいの電圧となると、既成のDC/DCコンバーターは存在しないんですよね。
結局、3端子レギュレーターで生成することにしました。
丁度手頃な石が秋月にありました。
UT7500L-18-T92-B-Kという製品。
電流容量がMAX100mAしかありませんが、今回は足りるかと。

電源が1.8Vになったところで、各部の仕様を見ていきます。
まずPICマイコンですが、A/Dコンバーターが使用不可になってしまいました。
詳しくはデーターシートで確認して頂くとして、A/Dコンバーターを使用するならば、
PICの電源は最低2.5V必要なのでした。

ということで、アナログ入力回路は全て諦めです。
温度計測部も含め、アナログ回路部は全て削除です。

次にLEDのドライブ。
PICから抵抗を介して、直にLEDをドライブしていたわけですが、
1.8Vしか出ないのであれば、通常のLEDは電圧不足で点灯できません。(;;
仕方ないのでトランジスターをドライバーとして追加し、LEDを点灯させるようにしました。

RTCのRX-4803も1.8Vでは動作できません。
正確に言うと、1.8Vでは水晶発振器の精度が維持できないのです。
ですので、これは先日書いたNXPのPCF2129へ変更です。
秋月で入手可能ですし、単価も安いので、むしろ好都合かな?

通信モジュールとのインターフェース部、
電圧レベルが同レベルになったので、レベルシフトの為の石が不要になるかと思いきや、
そんなに甘くはありませんでした。(笑)

SPIバスにRTCもぶら下がっていることから、
通信モジュール側への信号線はバッファで切り離すようにしているもので、
バッファの数は少なくなったものの、完全にゼロにはならないのでした。
まぁ仕方無いところかな?

一番唸ったのは、RS-232インターフェース部。
ADM3202等のメジャーな石は1.8Vでは動作できないんですね。

幸い基板内には通信モジュールへの電源供給用として3.8Vがありますので、
それでADM3202を動かすとすると、今度はPICマイコンとのインターフェースの問題が!!

お気に入りのSN74LV1T125を使ったとしても、
3.8Vと1.8Vのレベルシフトはできないんですよね。(;;

ここは先日紹介したFETによるレベルシフトを使ってみることにしましょう。
単方向ですから、ダイオードは削除できます。
ADM3202側のプルアップ抵抗をいくつにするかが悩みどころ。
ここは実機調整が必要かもしれません。

と、暫定的に232のドライバー周りが出来たところで、
ふと1.8V用の232ドライバーが無いのか気になって調べてみたら・・・・・・
有りました!!
製品は少ないので選択肢は限られてしまいますが、入手性も問題無いレベル。
とりあえず見つかったのはこんなところ。
TI          TRS3122E
MAXIM   MAX218
LTC       LTC2801~2804

TRS3122はADM3202等と同様、セラコンを外付けするだけなのでお手軽。
なのですが、超小型のQFNパッケージしか存在しません。
マウンター実装する量産品ならともかく、手付け前提の基板には採用できませんね、これ。

MAXIMもLTCの製品もSOPやSSOPパッケージ品が存在するので、
手付けに関しては問題ありません。
ただ、どちらの製品も昇圧回路用にインダクターの外付けが必要なんですよね。
まぁスペースさえ問題無ければ、コスト的には許容できる範囲かと思いますが。


そんな感じで、一通り見直し完了しました。

正確なコストは まだ計算しておりませんが、アナログ回路部が無くなったことで、
元の回路よりは少し安くなってると思われます。

余談ですが、1.8V動作時のPICマイコンは、動作クロックに制限が発生します。
この基板だと最高速で動かす必要は無いはずなので、問題にはならないと思いますが・・・・

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