2017年1月20日金曜日

パルス長計測

気が付いたら しばらく書いていなかったのですねぇ。

さて、やっと1件片付きました。

超低周波を測定する案件でごさいます。

実はこれも、二転三転ありまして、
今週の17日のこと、東京都立産業技術研究センターへ行って来たのです。

ここは名前の通り、東京都の施設なのですが、
色んな機器が ごっそり揃っておりまして、それを有料で利用できるのです。

今回はその中から、キーサイトの53132Aというユニバーサルカウンターを利用しました。
今回私の目的は周波数カウンターの校正なので、基準発振器の精度がネックになるわけですが、
産業技術研究センターに在る53132Aには、010というオプションのタイムベースユニットが、
装備されているのです。

このタイムベースユニットは大変高精度でして、
私の周波数カウンターより2桁精度が上という代物。
こんなに いい装置なのに、2時間で2千円も かかりませんでした。
東京都、様様でございます。

かくして、周波数カウンターの校正は完了したのですが、
時間に余裕があるので、課題事項だった超低周波のパルス長測定も行ってしまいました。

私の周波数カウンターと異なり、トリガー条件が細かく設定できる為、
4秒くらいカウントも余裕でした。
(ただ、AUTO設定だとうまくトリガーがかからず、手動設定が必要でしたが)

これで超低周波測定の案件も終了かと思いきや、
その後、再度測定する必要が出てしまいまして、
改めて測定環境を用意することになってしまいました。

で、用意したのは、PICマイコンを使った測定治具です。

パルス長を測るだけならば、単純なカウンター機能だけで事足ります。
ベースとなるクロックには それなりの精度が必要となりますが、
今回校正してきた周波数カウンターには、OCXOのクロック出力機能がありますので、
それを利用すれば十分な精度のクロック源が用意できます。

ということで、まずはPICのマニュアルを ざっと眺めてみました。
今回使用するのはPIC16F1938です。
このTimer1なのですが、T1CKI端子からクロックを入力してやり、
T1G端子から測定信号を入れ、ゲート機能を利用すれば、
まんまパルス長の測定システムじゃないですか!!

正直、ここまでハードで機能が揃ってるとはビックリしました。

ただ、Timer1は16ビットのカウンターですので、
これ自体では65535までしかカウントできません。
カウント用の基準クロックが10MHzの場合、6553.5μsまでということになります。

今回は超低周波の測定が目的ですから、もちろんこれでは足りませんので、
ソフトウェアで桁数を増やしてやります。
具体的には、Timer1のオーバーフロー割込を使って、
2バイトほど桁を増やしました。
トータルで4バイト長ですので、4294967295までカウントできます。
10MHzの基準クロックで、400秒以上測れるわけです。

これだけの桁数となると、表示はLCDユニットを使ってしまうのが簡単ですね。
LCDユニットが繋がったPICが、なんと手元に余っていたのでした。
某案件用の冶具として準備したものの、必要なくなってしまったという悲しい代物。

図面を確認すると、T1CKIとT1Gが丁度利用できます。
ならば、これを流用するのが簡単。d

流用するにあたり、クロックと測定信号の入力部だけは追加する必要があります。
ということで、以下のようなアダプター基板を用意しました。































何ら難しいことはしておりません。
74HCT14で、基準クロックと測定信号を受け、PICへ渡すだけです。

74HC74も載っておりますが、入力信号を分周したい場合に備えたのですが、
結論としては 全く必要ありませんでした。(;;

これが、余っていた冶具の一部。
















左下に見えるヘッダーピンがPICに繋がっており、
スイッチ等がケーブルで接続されるという仕様なのですが、
ここに今回作成したアダプター基板を繋いでしまうというわけです。

ただこのヘッダーピンには電源が出ていない為、急遽別なコネクターを追加しました。
(8ピンのICソケットの左側に在る4ピンのコネクター)

この電源コネクターは、わざとメス側にしてあります。
+の電源が出ている為、ショート事故対策というわけです。

これにアダプター基板を裏返しで装着。

















まず、手始めにGPS受信機の1秒パルスを測定してみました。















最上位のゼロが表示されたままですが、これは わざと残してあります。
この方が、上の方の桁が見やすい感じしたもので。
まぁ、好みの問題ですね。(笑)

最下位の桁は0.1μs単位となります。
基準クロックが10MHzですから、これ以上細かくは測れないわけです。

表示値ですが、最下位桁が0と1の間をゆっくり ふらつく感じです。
デジタルの測定器では最下位桁の表示はアテにならないというのがお約束ですが、
予想以上に安定感があって、私もビックリ。
基準クロックの精度と、GPS信号の精度の成せる業ということでしょうか。

そしていよいよ本番。
















ある基板にて、PICとクリスタルで32.768KHzを発振させ、
それを基に4秒の信号を出力している代物を測っております。

この基板では、3216サイズのクリスタルを使用しているのですが、
そのクリスタルの指定コンデンサー容量は12.5pF。
ところが、12.5pFでは かなり周波数がずれておりまして、
写真の測定値は22pFのコンデンサーを実装しております。
(これでもまだ容量が不足している模様)

場合よっては時間のカウントが短くなっちゃうと、
クレームが発生する可能性がある案件なので、念のために測っておきましたが、
やっぱ、測ってみて正解だったなぁと感じたのでした。

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